5 / 6
『続編』中編
しおりを挟む
通学を始めて3か月目の、授業の合間の小休憩の時間。
ふぅ、と、私は小さく小さく溜息をつきながら鏡を見た。
3か月もたてば、事件の事はあまり騒がれず、かといって忘れられたわけでもない感じだが変わったことがある。
主に私の『元婚約者と幼馴染大好きフィルター』が外れたおかげで、学園内での状況や、令嬢の派閥、その交友関係にパワーバランスが解ったのだ。
ちなみに私は底辺というかボッチ。 いかにあの3人組……という名の真の恋人とおまけ1人の状況が異質だったかわかった。
私は本当にバカだったようだ。 情けなくって腹が立つ。
(これは、婚約者作る前に友達作りが先だわ……社交界で生きていけない!)
と、シフトチェンジ(5速→1速ね! AT車限定じゃわからないわよ!)をした。
上位貴族(伯爵以上)の方たちは状況をよくわかってくださっていて、互い距離を測っていたが、小さなことの積み重ねによる日々の努力によって、ようやくお友達と呼べるような令嬢もでき始めた。
しかし、地味~な嫌がらせや陰口に針の筵は相変わらずだ。 主に低位貴族(子爵・男爵)。 裁かれたのが同じ爵位の令息・令嬢という連帯意識があるのかは知らないが、まぁチクチクと陰口、嫌がらせを毎日毎時間仕掛けてくる。
(だっるっ! こちとら今世と前世合わせたら30オーバーだぞ!? そんなちんけな虐めにまけるか!ぼけ!)
と思いつつ、決定打を待つため、そして心に傷を負った儚い深窓の令嬢を装うべく、常に穏やかに静観を続けている。
が。
今日は直接的だったなぁと、水を止めてハンカチを絞る。
清楚で可憐で慎ましい、守ってあげたい系令嬢の演出も込みで、休憩時間も静かに本を読んでいたのだが(跡取り娘だから領地経営学の本だけど、侍女に可愛くレースのブックカバーを作ってもらって令嬢感アップも忘れない!)そんな私に、絡んで来たのは元婚約者の類友たち。
今までは登校前に私の机の上に牛乳をぶちまけたり、インクをぶちまけたり、わざわざ私の前で浮気された女が悪いみたいな話をしたりしていたのだが、今日はわざわざ、座って本を読んでいるところに花瓶の水をかけにきてくれたのだ。
「みっともねぇな、捨てられた女は! 頭でっかちだから嫌われるんだろ。 伯爵令嬢がそんなに偉いのかよ!」
というセリフ付きで。
『少なくともお前たちよりは偉いんだよっ!!!』
と、怒りで意識が飛びそうになるのを必死にこらえ、拳を握りそうになるのを咄嗟にハンカチを取り出して机の周りを拭くことで堪え、それらを終えた私をなお笑ってる類友を見たくなくて、「少し気分が……失礼しますね。」と周りの人たちを巻き込まないように、汚れたハンカチを洗いがてら、お花畑に来たのだ。
(やれやれ……とうとう直接攻撃してきたわね。 うんうん。 キンノー子爵令息にレタナハ男爵令息、ルガリシ男爵令嬢とユールマタ子爵令嬢……それにお父様商会の下請けをしているポッラカム=ツオ男爵のところの双子、ね。 我慢も限界だったし、そろそろ抗議文でもお父様に書いてもらおうっと。)
ただいま絶賛娘溺愛中のお父様だ。 されたことを過少にお話しても、『おいこら、われ。 なに調子こいとんじゃ、こっちは伯爵位ぞ? 一代成金とはいえ国一番の商会の会長ぞ? うちの娘に何しとんじゃい!? 取引停止するぞ!(要約)』くらいは書いてくれるはずである。
ふぅっと、もう一度控えめに小さくため息をついて(誰に見られているかわからないから、自室以外演技は継続中!)お花畑(笑)から出ようとした時だった。
「クロス伯爵令嬢様。」
お花畑で、汚れたハンカチを洗っていた私に声をかけてくれたのは、この国では最も有名な辺境伯令嬢で、私はひゅっ!っと、演技も忘れて息をのんでしまった。
「ナキテス辺境伯令嬢様。 大丈夫ですか?」
慌てて私は静かにスカートの端を摘んで頭を下げた。
「お目汚しをしてしまいました。 申し訳ございません。」
「そのようなことはありません。 それよりも、大丈夫ですか? 話は聞きました、お顔の色が悪いですわ。」
「えぇ、御心配をおかけしました。 少しびっくりしただけです。 大丈夫ですわ。」
「いいえ、ご無理なさらないで。 保健室に行きましょう?」
私の事を追ってきてくださったのは、イデーレ・ナキテス辺境伯令嬢。
ナキテス辺境伯家の令嬢で、現王太子殿下の婚約者。 私の在籍するクラスの委員長をしていらっしゃる方だ。 銀色の髪に赤い瞳がとても素敵な方で、湖に落ちる前の私の憧れの人だった。
(いえ、本当に大丈夫で! 貴方様が目の前にいるから緊張してるんです! ……なんて言えない!)
ここ4か月の演技のお陰で、彼女はしっかり騙されてくださっているが「王太子の婚約者様をだました」ことで不敬にならないかだけが私は心配だ。
そんなことを考えていると、彼女はそっと背に手を当てて、お花畑を出ると私を保健室へを促してくださる。
「さ、参りましょう? 付き添いますわ。」
「お気遣いありがとうございます。」
「かまいません。 それより、なぜ言い返さなかったのですか? 貴女に非はありませんのに。」
(さっきの事かしら?)
たしかに私はただ黙って机を拭き、床を拭いたのだから、それを言いたかったのだろう。
(あれ? でもあの時教室にはこの方はいなかったはずだけど……)
不思議に思いながらも、私は俯き、フルフルと頭を振った。
「確かに、元婚約者たちは罪を犯しました。 ですが、その友達があのように言うという事は、私にも非があったのでしょう。」
(そんなこと本当はこれっぽっちも思ってなくて、あのままだとくそムカつく顔面殴りそうだったから逃げ込んで来ただけだけどね!)
本音を飲み込みながらそういうと、彼女は痛ましげに目元を細めた。
「あ、保健室につきましたわ。」
そこでそっと彼女の手を離れた私は、静かに頭を下げた。
「ここまで送ってくださって本当にありがとうございます。 おかげで助かりました。 このお礼は改めて後日させていただきます。」
「そんなことはよろしいのよ。」
「いえ……私のためにお心を砕いてくださり、本当にありがとうございました。 もう授業の時間ですので、どうぞ教室に戻られてくださいませ。」
もう一度頭を下げ、保健室に入ろうとした私にナキテス辺境伯令嬢は悲しげな顔をなさってから、それでも教室へ戻っていった。
(は~~~~~、ほんとに緊張した!)
心の中で大きくため息をついてから、私は保健室の先生に診察していただき、その日は先生の勧めもあり早退することになり、そのお陰でお父様に物凄く心配されたため、憂うように「私は仲良くしたいのに出来ないんです」と告げ口したところ、ちょっと持ちこたえた頭を真っ赤にして、ものすごい勢いで執事と共に執務室に走っていった。
その後、般若顔のお父様が、みっちりと嫌味をこめた盛大な文章の抗議文が超高速で各家々に叩きつけられたことを聞いた時は、心の中で思いっきり『YESっ! お父様、頭皮が沸騰しててもかっこいいっ!』と思いつつ、夕食時に、『自分のためにお父様の手を煩わせてしまって申し訳ありません』と謝ったら、なんていい子なんだと泣いてしまった。
(……少々やりすぎてしまったかもしれない。)
反省しつつ、デザートをいただきながら、私はそういえば、と、お母様を見た。
「あの、お母様……。 ご相談なのですが、お礼の御品をお送りしたい場合、どうしたらよいのでしょうか?」
「お礼のお品? 何かあったの?」
「えぇ。 今日、体調を崩した時にナキテス辺境伯令嬢様に助けていただいて……その、お礼をと思ったのですが……こういう時どうしていいのか、私にはわからなくて。」
(流石にこんな重い話を相談するお友達はまだいないんです! しかも相手、格上だし!)
そう思って申し訳なさそうにお母さまを見ると、カトラリーを持ったまま立ち上がって呆然としているし、お父様は飲んでいた珈琲をこぼしている。
「お、お父様! 火傷してしまいます。 お母様も……。」
あわてて声をかけると、傍にいた侍女たちが慌ててお父さまの方へ駆け寄り、お母様を座るように促している。
「あ、あの、ご迷惑を……。」
「そんなことはどうだっていいのわっ! あ、あなた、へ、辺境伯家にお礼状を!」
「そ、そうんだな! すぐ、すぐに用意する。 あぁえぇと、は、感謝の花束と共にまずは御使者を! よろしければお礼の挨拶に伺いたいと連絡をするんだ!」
「お父様? お母様?」
コーヒーのかかった服のまま、お父様は執務室に走って行き、お母様はそれを追って出て行ってしまった。
「……あら? 私もしかして間違ってしまったのかしら……?」
みんないなくなってしまった食堂で、私は今のうちに、と、デザートを久々に大きなお口を開けて食べた。
まさか、翌日辺境伯家に伺うことになるとはこれっぽっちも気が付かずに。
ふぅ、と、私は小さく小さく溜息をつきながら鏡を見た。
3か月もたてば、事件の事はあまり騒がれず、かといって忘れられたわけでもない感じだが変わったことがある。
主に私の『元婚約者と幼馴染大好きフィルター』が外れたおかげで、学園内での状況や、令嬢の派閥、その交友関係にパワーバランスが解ったのだ。
ちなみに私は底辺というかボッチ。 いかにあの3人組……という名の真の恋人とおまけ1人の状況が異質だったかわかった。
私は本当にバカだったようだ。 情けなくって腹が立つ。
(これは、婚約者作る前に友達作りが先だわ……社交界で生きていけない!)
と、シフトチェンジ(5速→1速ね! AT車限定じゃわからないわよ!)をした。
上位貴族(伯爵以上)の方たちは状況をよくわかってくださっていて、互い距離を測っていたが、小さなことの積み重ねによる日々の努力によって、ようやくお友達と呼べるような令嬢もでき始めた。
しかし、地味~な嫌がらせや陰口に針の筵は相変わらずだ。 主に低位貴族(子爵・男爵)。 裁かれたのが同じ爵位の令息・令嬢という連帯意識があるのかは知らないが、まぁチクチクと陰口、嫌がらせを毎日毎時間仕掛けてくる。
(だっるっ! こちとら今世と前世合わせたら30オーバーだぞ!? そんなちんけな虐めにまけるか!ぼけ!)
と思いつつ、決定打を待つため、そして心に傷を負った儚い深窓の令嬢を装うべく、常に穏やかに静観を続けている。
が。
今日は直接的だったなぁと、水を止めてハンカチを絞る。
清楚で可憐で慎ましい、守ってあげたい系令嬢の演出も込みで、休憩時間も静かに本を読んでいたのだが(跡取り娘だから領地経営学の本だけど、侍女に可愛くレースのブックカバーを作ってもらって令嬢感アップも忘れない!)そんな私に、絡んで来たのは元婚約者の類友たち。
今までは登校前に私の机の上に牛乳をぶちまけたり、インクをぶちまけたり、わざわざ私の前で浮気された女が悪いみたいな話をしたりしていたのだが、今日はわざわざ、座って本を読んでいるところに花瓶の水をかけにきてくれたのだ。
「みっともねぇな、捨てられた女は! 頭でっかちだから嫌われるんだろ。 伯爵令嬢がそんなに偉いのかよ!」
というセリフ付きで。
『少なくともお前たちよりは偉いんだよっ!!!』
と、怒りで意識が飛びそうになるのを必死にこらえ、拳を握りそうになるのを咄嗟にハンカチを取り出して机の周りを拭くことで堪え、それらを終えた私をなお笑ってる類友を見たくなくて、「少し気分が……失礼しますね。」と周りの人たちを巻き込まないように、汚れたハンカチを洗いがてら、お花畑に来たのだ。
(やれやれ……とうとう直接攻撃してきたわね。 うんうん。 キンノー子爵令息にレタナハ男爵令息、ルガリシ男爵令嬢とユールマタ子爵令嬢……それにお父様商会の下請けをしているポッラカム=ツオ男爵のところの双子、ね。 我慢も限界だったし、そろそろ抗議文でもお父様に書いてもらおうっと。)
ただいま絶賛娘溺愛中のお父様だ。 されたことを過少にお話しても、『おいこら、われ。 なに調子こいとんじゃ、こっちは伯爵位ぞ? 一代成金とはいえ国一番の商会の会長ぞ? うちの娘に何しとんじゃい!? 取引停止するぞ!(要約)』くらいは書いてくれるはずである。
ふぅっと、もう一度控えめに小さくため息をついて(誰に見られているかわからないから、自室以外演技は継続中!)お花畑(笑)から出ようとした時だった。
「クロス伯爵令嬢様。」
お花畑で、汚れたハンカチを洗っていた私に声をかけてくれたのは、この国では最も有名な辺境伯令嬢で、私はひゅっ!っと、演技も忘れて息をのんでしまった。
「ナキテス辺境伯令嬢様。 大丈夫ですか?」
慌てて私は静かにスカートの端を摘んで頭を下げた。
「お目汚しをしてしまいました。 申し訳ございません。」
「そのようなことはありません。 それよりも、大丈夫ですか? 話は聞きました、お顔の色が悪いですわ。」
「えぇ、御心配をおかけしました。 少しびっくりしただけです。 大丈夫ですわ。」
「いいえ、ご無理なさらないで。 保健室に行きましょう?」
私の事を追ってきてくださったのは、イデーレ・ナキテス辺境伯令嬢。
ナキテス辺境伯家の令嬢で、現王太子殿下の婚約者。 私の在籍するクラスの委員長をしていらっしゃる方だ。 銀色の髪に赤い瞳がとても素敵な方で、湖に落ちる前の私の憧れの人だった。
(いえ、本当に大丈夫で! 貴方様が目の前にいるから緊張してるんです! ……なんて言えない!)
ここ4か月の演技のお陰で、彼女はしっかり騙されてくださっているが「王太子の婚約者様をだました」ことで不敬にならないかだけが私は心配だ。
そんなことを考えていると、彼女はそっと背に手を当てて、お花畑を出ると私を保健室へを促してくださる。
「さ、参りましょう? 付き添いますわ。」
「お気遣いありがとうございます。」
「かまいません。 それより、なぜ言い返さなかったのですか? 貴女に非はありませんのに。」
(さっきの事かしら?)
たしかに私はただ黙って机を拭き、床を拭いたのだから、それを言いたかったのだろう。
(あれ? でもあの時教室にはこの方はいなかったはずだけど……)
不思議に思いながらも、私は俯き、フルフルと頭を振った。
「確かに、元婚約者たちは罪を犯しました。 ですが、その友達があのように言うという事は、私にも非があったのでしょう。」
(そんなこと本当はこれっぽっちも思ってなくて、あのままだとくそムカつく顔面殴りそうだったから逃げ込んで来ただけだけどね!)
本音を飲み込みながらそういうと、彼女は痛ましげに目元を細めた。
「あ、保健室につきましたわ。」
そこでそっと彼女の手を離れた私は、静かに頭を下げた。
「ここまで送ってくださって本当にありがとうございます。 おかげで助かりました。 このお礼は改めて後日させていただきます。」
「そんなことはよろしいのよ。」
「いえ……私のためにお心を砕いてくださり、本当にありがとうございました。 もう授業の時間ですので、どうぞ教室に戻られてくださいませ。」
もう一度頭を下げ、保健室に入ろうとした私にナキテス辺境伯令嬢は悲しげな顔をなさってから、それでも教室へ戻っていった。
(は~~~~~、ほんとに緊張した!)
心の中で大きくため息をついてから、私は保健室の先生に診察していただき、その日は先生の勧めもあり早退することになり、そのお陰でお父様に物凄く心配されたため、憂うように「私は仲良くしたいのに出来ないんです」と告げ口したところ、ちょっと持ちこたえた頭を真っ赤にして、ものすごい勢いで執事と共に執務室に走っていった。
その後、般若顔のお父様が、みっちりと嫌味をこめた盛大な文章の抗議文が超高速で各家々に叩きつけられたことを聞いた時は、心の中で思いっきり『YESっ! お父様、頭皮が沸騰しててもかっこいいっ!』と思いつつ、夕食時に、『自分のためにお父様の手を煩わせてしまって申し訳ありません』と謝ったら、なんていい子なんだと泣いてしまった。
(……少々やりすぎてしまったかもしれない。)
反省しつつ、デザートをいただきながら、私はそういえば、と、お母様を見た。
「あの、お母様……。 ご相談なのですが、お礼の御品をお送りしたい場合、どうしたらよいのでしょうか?」
「お礼のお品? 何かあったの?」
「えぇ。 今日、体調を崩した時にナキテス辺境伯令嬢様に助けていただいて……その、お礼をと思ったのですが……こういう時どうしていいのか、私にはわからなくて。」
(流石にこんな重い話を相談するお友達はまだいないんです! しかも相手、格上だし!)
そう思って申し訳なさそうにお母さまを見ると、カトラリーを持ったまま立ち上がって呆然としているし、お父様は飲んでいた珈琲をこぼしている。
「お、お父様! 火傷してしまいます。 お母様も……。」
あわてて声をかけると、傍にいた侍女たちが慌ててお父さまの方へ駆け寄り、お母様を座るように促している。
「あ、あの、ご迷惑を……。」
「そんなことはどうだっていいのわっ! あ、あなた、へ、辺境伯家にお礼状を!」
「そ、そうんだな! すぐ、すぐに用意する。 あぁえぇと、は、感謝の花束と共にまずは御使者を! よろしければお礼の挨拶に伺いたいと連絡をするんだ!」
「お父様? お母様?」
コーヒーのかかった服のまま、お父様は執務室に走って行き、お母様はそれを追って出て行ってしまった。
「……あら? 私もしかして間違ってしまったのかしら……?」
みんないなくなってしまった食堂で、私は今のうちに、と、デザートを久々に大きなお口を開けて食べた。
まさか、翌日辺境伯家に伺うことになるとはこれっぽっちも気が付かずに。
191
あなたにおすすめの小説
これで、私も自由になれます
たくわん
恋愛
社交界で「地味で会話がつまらない」と評判のエリザベート・フォン・リヒテンシュタイン。婚約者である公爵家の長男アレクサンダーから、舞踏会の場で突然婚約破棄を告げられる。理由は「華やかで魅力的な」子爵令嬢ソフィアとの恋。エリザベートは静かに受け入れ、社交界の噂話の的になる。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
『龍の生け贄婚』令嬢、夫に溺愛されながら、自分を捨てた家族にざまぁします
卯月八花
恋愛
公爵令嬢ルディーナは、親戚に家を乗っ取られ虐げられていた。
ある日、妹に魔物を統べる龍の皇帝グラルシオから結婚が申し込まれる。
泣いて嫌がる妹の身代わりとして、ルディーナはグラルシオに嫁ぐことになるが――。
「だからお前なのだ、ルディーナ。俺はお前が欲しかった」
グラルシオは実はルディーナの曾祖父が書いたミステリー小説の熱狂的なファンであり、直系の子孫でありながら虐げられる彼女を救い出すために、結婚という名目で呼び寄せたのだ。
敬愛する作家のひ孫に眼を輝かせるグラルシオ。
二人は、強欲な親戚に奪われたフォーコン公爵家を取り戻すため、奇妙な共犯関係を結んで反撃を開始する。
これは不遇な令嬢が最強の龍皇帝に溺愛され、捨てた家族に復讐を果たす大逆転サクセスストーリーです。
(ハッピーエンド確約/ざまぁ要素あり/他サイト様にも掲載中)
もし面白いと思っていただけましたら、お気に入り登録・いいねなどしていただけましたら、作者の大変なモチベーション向上になりますので、ぜひお願いします!
聖女じゃない私の奇跡
あんど もあ
ファンタジー
田舎の農家に生まれた平民のクレアは、少しだけ聖魔法が使える。あくまでもほんの少し。
だが、その魔法で蝗害を防いだ事から「聖女ではないか」と王都から調査が来ることに。
「私は聖女じゃありません!」と言っても聞いてもらえず…。
婚約破棄された氷の令嬢 ~偽りの聖女を暴き、炎の公爵エクウスに溺愛される~
ふわふわ
恋愛
侯爵令嬢アイシス・ヴァレンティンは、王太子レグナムの婚約者として厳しい妃教育に耐えてきた。しかし、王宮パーティーで突然婚約破棄を宣告される。理由は、レグナムの幼馴染で「聖女」と称されるエマが「アイシスにいじめられた」という濡れ衣。実際はすべてエマの策略だった。
絶望の底で、アイシスは前世の記憶を思い出す――この世界は乙女ゲームで、自分は「悪役令嬢」として破滅する運命だった。覚醒した氷魔法の力と前世知識を武器に、辺境のフロスト領へ追放されたアイシスは、自立の道を選ぶ。そこで出会ったのは、冷徹で「炎の公爵」と恐れられるエクウス・ドラゴン。彼はアイシスの魔法に興味を持ち、政略結婚を提案するが、実は一目惚れで彼女を溺愛し始める。
アイシスは氷魔法で領地を繁栄させ、騎士ルークスと魔導師セナの忠誠を得ながら、逆ハーレム的な甘い日常を過ごす。一方、王都ではエマの偽聖女の力が暴かれ、レグナムは後悔の涙を流す。最終決戦で、アイシスとエクウスの「氷炎魔法」が王国軍を撃破。偽りの聖女は転落し、王国は変わる。
**氷の令嬢は、炎の公爵に溺愛され、運命を逆転させる**。
婚約破棄の屈辱から始まる、爽快ザマアと胸キュン溺愛の物語。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。
しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。
王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。
絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。
彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。
誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。
荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。
一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。
王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。
しかし、アリシアは冷たく拒否。
「私はもう、あなたの聖女ではありません」
そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。
「俺がお前を守る。永遠に離さない」
勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動……
追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる