4 / 6
『続編』前編
しおりを挟む
「クロス伯爵家、アンリエッタ嬢。 私は貴方のその奥ゆかしさ、清楚で美しい佇まい……そして、その奥にある強さに恋をしたのです。 貴方に相応しい男になると誓います。 どうかこの手を取ってくださいませんか?」
私の目の前で、膝をつき、胸に手を当て、空いた手で私の手を取り口づける男性に。
胸の高まりが収まらない。
わたしを見つめる綺麗な青紫色の瞳も。
さらさらと流れる白銀の綺麗な髪も。
あぁ、どうしたらいいんだろう、こんなの望んでいなかったのに。
きょろきょろとあたりを見ても、目が合ったお父様とお母様はもうちょっと役に立たない状況になっているし
やっとできた大切なお友達たちも、目をキラキラさせてこちらを見ているけど、助けてくれそうにない。
まって、まって!?
本当にちょっと待って。
違うの、そんなつもりはなかったの。
私は本当に倒れそうになりながら、この状況を考えた。
10年も共にいた、脳内に菜の花畑とモンシロチョウが飛び交う婚約者とその幼馴染にあっさり騙され湖に突き落とされ、湖に沈む中前世の記憶をゲット〇ZE!した私は、『〇h!N〇! ジャパニーズ! S〇 クレ〇ジー!』と、バチクソ最恐ジャパニーズホラー映画を見せられた外国籍の友人に、パンチと共に罵られた映画の主人公宜しく、池から這いずり出、にっこり笑って彼らを追い詰めた後、発熱と筋肉痛と関節痛に寝込みながらも目が覚めたのは2週間前。
学院なんか、もうしばらく少し休んでもいいんだよ? というお父様とお母様を『もう元気ですし、学業は貴族の嗜みの一つ。 そんなわけにはいきませんわ。』と笑顔で丸め込んだ私は、3週間ぶりに制服を身に着けた。
紺色のセーラー襟に袖が長く、丈もくるぶしまである真っ白のワンピースの様な制服は、はっきり言ってとても可愛い。
この私に超絶似合う(自分調べ)。
(よし、落ち着いて。)
ちょっと興奮していたようで、私は胸に手を当て、2つ、3つと深呼吸した。
「お嬢様、無理なさらなくても大丈夫ですよ?」
「ちょっと……緊張しているだけよ、大丈夫。 心配してくれてありがとう。」
そんな様子を見ていた侍女が心配げに鏡越しに言ってくれたことに微笑んでそう返す。
「……お嬢様……。」
あ、口元押さえてちょっと涙ぐんでる。 やりすぎちゃったかな?
私はちょっと反省しながら、ゆっくりと鏡の中の自分を見た。
柔らかな裾だけ白い黒髪は、侍女によって丁寧に『ゆるふわウェ~ブ』にしてもらい、ハーフアップにしたうえで髪には、今まで元婚約者から貰った宝石のついた髪飾りなどを止めてもらったが、柔らかな白のリボンにレースをあしらった物を結んでもらう。
今まではあまり気にしなかったお化粧も、ふんわり柔らかで甘やかな『砂糖菓子のような雰囲気』にすれば……。
(うん、かんっぺき! なんじゃないかしら?)
と、心の中でガッツポーズをとった。
「いかがですか? お嬢様。」
「うん、とても素敵。 綺麗にしてくれてありがとう。」
そうやってふんわり笑えば、侍女は嬉しそうに笑ってくれた。
「いいえ。 以前と比べてお化粧も薄くなりましたが、こちらの方が素敵ですわ。 よくお似合いです。」
「貴女の腕がいいからよ。 本当にありがとう。」
そう言われれば、今までであれば嬉しくて「ありがとう!」と笑っていたところだが、可憐に微笑みながらそういうと、侍女はまた、口元を押さえてと悶えている。
『お嬢様は、私達が気を使わないように、ずっと元気そうに振舞ってらっしゃるわ……なんてけなげな。』
『おいたわしい、お嬢様……。』
『我ら使用人一同、お嬢様をお守りするぞ!』
『『『おーっ!』』』
等と、使用人たちが言っているのが聞こえている。
寝込んでいた1週間をぬいた残りの2週間で、『婚約者たちに裏切られ、心に傷を負ってしまったのに、皆を気遣う可憐なお嬢様』として父母と使用人と騙す演技に専念してきた。
言葉少なげに
誰に対しても丁寧に
声のトーンは控えめに
笑うときは決して口を開けたりしない
などなど……たくさん実践してきたのだ。
(この努力! 必ずや学園で披露してみせる! そして目指せ、素敵な婚約者!)
その努力の甲斐あって、今までならみんな、こけても楽しく遊んでても見守っていますよ、微笑ましく……と、生暖かい視線を向けていてくれただけなのに、ここにきて一気に溺愛モードに突入してくれた。
敵を騙すにはまず味方から。
(そう、生まれ変わった私は本気モードよ。)
そう、私は『傷物令嬢』なんて言葉に負けない! そして素敵な婚約者に捕まえてもらうべく、今日から学園に通うのだ!
(がんばるぞ、おー!)
表面上ぎゅっと行動したいのを抑え込みながら、皆に手を小さく振って家を出た私は、馬車に乗って学園へと向かうのだった。
『婚約者とその幼馴染に湖に墜とされて殺されかけた令嬢』
その噂は、瞬く間に学院中に広がって、3週間たった今では、知らない者はいないほどのようだ。
その雰囲気を感じたのは、馬車の昇降場所で私が馬車から降りた瞬間に肌で感じた。
突き刺すような視線と、耳に聞こえるひそひそ声。
(ん~、思ったよりも広がってるわね。 まぁ、仕方ないわ。 だって、全員同じ学院に通っていたんだもん。)
内心溜息をつきながら、私はただ俯き、学舎の方へと足を進めるが、遠巻きにみんなひそひそ言っていても、誰も声はかけてこない。
腫れ物にでも触るような雰囲気だ。 いや、実際腫れものだけど。
私たちは3人同じ学院、同じ学年だった。
仲良く一緒に過ごしていた時は天国だと思っていたが、こうなってくると最低にもほどがある。
いつも3人で過ごしていて、他に親しい人もいないくらい……と思っていたけれど、よく考えたらあの2人には友達がいたのだろう、明らかに敵視している視線もある。 そしてひそひそとした囁きは、私の悪口ばかりでよっぽど耳障りだ。
(もう、言われたい放題だわ……昔の私のお馬鹿さん!)
ちょっと湖の中で反省して来いと思う、したけれど。
1人孤立しているわ、こうして敵意は向けられるわ。 あの2人をほんとに信用していた自分は視界が狭すぎた。
元婚約者の友達が何を言おうとも、その幼馴染の友達が何をしてこようとも、こっちは間違いなく完全なる被害者だ。
(作戦のために)ため息をつくわけにもいかず、私は静かに教室に入ると、視線と嘲笑を浴びながら静かに自分の席に座った。
多所でたくさんアクセス頂いたので、調子に乗って公開します
18時、20時、22時で完結です
思ったのと違う……となると思いますが、楽しんでいただけると幸いです
私の目の前で、膝をつき、胸に手を当て、空いた手で私の手を取り口づける男性に。
胸の高まりが収まらない。
わたしを見つめる綺麗な青紫色の瞳も。
さらさらと流れる白銀の綺麗な髪も。
あぁ、どうしたらいいんだろう、こんなの望んでいなかったのに。
きょろきょろとあたりを見ても、目が合ったお父様とお母様はもうちょっと役に立たない状況になっているし
やっとできた大切なお友達たちも、目をキラキラさせてこちらを見ているけど、助けてくれそうにない。
まって、まって!?
本当にちょっと待って。
違うの、そんなつもりはなかったの。
私は本当に倒れそうになりながら、この状況を考えた。
10年も共にいた、脳内に菜の花畑とモンシロチョウが飛び交う婚約者とその幼馴染にあっさり騙され湖に突き落とされ、湖に沈む中前世の記憶をゲット〇ZE!した私は、『〇h!N〇! ジャパニーズ! S〇 クレ〇ジー!』と、バチクソ最恐ジャパニーズホラー映画を見せられた外国籍の友人に、パンチと共に罵られた映画の主人公宜しく、池から這いずり出、にっこり笑って彼らを追い詰めた後、発熱と筋肉痛と関節痛に寝込みながらも目が覚めたのは2週間前。
学院なんか、もうしばらく少し休んでもいいんだよ? というお父様とお母様を『もう元気ですし、学業は貴族の嗜みの一つ。 そんなわけにはいきませんわ。』と笑顔で丸め込んだ私は、3週間ぶりに制服を身に着けた。
紺色のセーラー襟に袖が長く、丈もくるぶしまである真っ白のワンピースの様な制服は、はっきり言ってとても可愛い。
この私に超絶似合う(自分調べ)。
(よし、落ち着いて。)
ちょっと興奮していたようで、私は胸に手を当て、2つ、3つと深呼吸した。
「お嬢様、無理なさらなくても大丈夫ですよ?」
「ちょっと……緊張しているだけよ、大丈夫。 心配してくれてありがとう。」
そんな様子を見ていた侍女が心配げに鏡越しに言ってくれたことに微笑んでそう返す。
「……お嬢様……。」
あ、口元押さえてちょっと涙ぐんでる。 やりすぎちゃったかな?
私はちょっと反省しながら、ゆっくりと鏡の中の自分を見た。
柔らかな裾だけ白い黒髪は、侍女によって丁寧に『ゆるふわウェ~ブ』にしてもらい、ハーフアップにしたうえで髪には、今まで元婚約者から貰った宝石のついた髪飾りなどを止めてもらったが、柔らかな白のリボンにレースをあしらった物を結んでもらう。
今まではあまり気にしなかったお化粧も、ふんわり柔らかで甘やかな『砂糖菓子のような雰囲気』にすれば……。
(うん、かんっぺき! なんじゃないかしら?)
と、心の中でガッツポーズをとった。
「いかがですか? お嬢様。」
「うん、とても素敵。 綺麗にしてくれてありがとう。」
そうやってふんわり笑えば、侍女は嬉しそうに笑ってくれた。
「いいえ。 以前と比べてお化粧も薄くなりましたが、こちらの方が素敵ですわ。 よくお似合いです。」
「貴女の腕がいいからよ。 本当にありがとう。」
そう言われれば、今までであれば嬉しくて「ありがとう!」と笑っていたところだが、可憐に微笑みながらそういうと、侍女はまた、口元を押さえてと悶えている。
『お嬢様は、私達が気を使わないように、ずっと元気そうに振舞ってらっしゃるわ……なんてけなげな。』
『おいたわしい、お嬢様……。』
『我ら使用人一同、お嬢様をお守りするぞ!』
『『『おーっ!』』』
等と、使用人たちが言っているのが聞こえている。
寝込んでいた1週間をぬいた残りの2週間で、『婚約者たちに裏切られ、心に傷を負ってしまったのに、皆を気遣う可憐なお嬢様』として父母と使用人と騙す演技に専念してきた。
言葉少なげに
誰に対しても丁寧に
声のトーンは控えめに
笑うときは決して口を開けたりしない
などなど……たくさん実践してきたのだ。
(この努力! 必ずや学園で披露してみせる! そして目指せ、素敵な婚約者!)
その努力の甲斐あって、今までならみんな、こけても楽しく遊んでても見守っていますよ、微笑ましく……と、生暖かい視線を向けていてくれただけなのに、ここにきて一気に溺愛モードに突入してくれた。
敵を騙すにはまず味方から。
(そう、生まれ変わった私は本気モードよ。)
そう、私は『傷物令嬢』なんて言葉に負けない! そして素敵な婚約者に捕まえてもらうべく、今日から学園に通うのだ!
(がんばるぞ、おー!)
表面上ぎゅっと行動したいのを抑え込みながら、皆に手を小さく振って家を出た私は、馬車に乗って学園へと向かうのだった。
『婚約者とその幼馴染に湖に墜とされて殺されかけた令嬢』
その噂は、瞬く間に学院中に広がって、3週間たった今では、知らない者はいないほどのようだ。
その雰囲気を感じたのは、馬車の昇降場所で私が馬車から降りた瞬間に肌で感じた。
突き刺すような視線と、耳に聞こえるひそひそ声。
(ん~、思ったよりも広がってるわね。 まぁ、仕方ないわ。 だって、全員同じ学院に通っていたんだもん。)
内心溜息をつきながら、私はただ俯き、学舎の方へと足を進めるが、遠巻きにみんなひそひそ言っていても、誰も声はかけてこない。
腫れ物にでも触るような雰囲気だ。 いや、実際腫れものだけど。
私たちは3人同じ学院、同じ学年だった。
仲良く一緒に過ごしていた時は天国だと思っていたが、こうなってくると最低にもほどがある。
いつも3人で過ごしていて、他に親しい人もいないくらい……と思っていたけれど、よく考えたらあの2人には友達がいたのだろう、明らかに敵視している視線もある。 そしてひそひそとした囁きは、私の悪口ばかりでよっぽど耳障りだ。
(もう、言われたい放題だわ……昔の私のお馬鹿さん!)
ちょっと湖の中で反省して来いと思う、したけれど。
1人孤立しているわ、こうして敵意は向けられるわ。 あの2人をほんとに信用していた自分は視界が狭すぎた。
元婚約者の友達が何を言おうとも、その幼馴染の友達が何をしてこようとも、こっちは間違いなく完全なる被害者だ。
(作戦のために)ため息をつくわけにもいかず、私は静かに教室に入ると、視線と嘲笑を浴びながら静かに自分の席に座った。
多所でたくさんアクセス頂いたので、調子に乗って公開します
18時、20時、22時で完結です
思ったのと違う……となると思いますが、楽しんでいただけると幸いです
168
あなたにおすすめの小説
これで、私も自由になれます
たくわん
恋愛
社交界で「地味で会話がつまらない」と評判のエリザベート・フォン・リヒテンシュタイン。婚約者である公爵家の長男アレクサンダーから、舞踏会の場で突然婚約破棄を告げられる。理由は「華やかで魅力的な」子爵令嬢ソフィアとの恋。エリザベートは静かに受け入れ、社交界の噂話の的になる。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
『龍の生け贄婚』令嬢、夫に溺愛されながら、自分を捨てた家族にざまぁします
卯月八花
恋愛
公爵令嬢ルディーナは、親戚に家を乗っ取られ虐げられていた。
ある日、妹に魔物を統べる龍の皇帝グラルシオから結婚が申し込まれる。
泣いて嫌がる妹の身代わりとして、ルディーナはグラルシオに嫁ぐことになるが――。
「だからお前なのだ、ルディーナ。俺はお前が欲しかった」
グラルシオは実はルディーナの曾祖父が書いたミステリー小説の熱狂的なファンであり、直系の子孫でありながら虐げられる彼女を救い出すために、結婚という名目で呼び寄せたのだ。
敬愛する作家のひ孫に眼を輝かせるグラルシオ。
二人は、強欲な親戚に奪われたフォーコン公爵家を取り戻すため、奇妙な共犯関係を結んで反撃を開始する。
これは不遇な令嬢が最強の龍皇帝に溺愛され、捨てた家族に復讐を果たす大逆転サクセスストーリーです。
(ハッピーエンド確約/ざまぁ要素あり/他サイト様にも掲載中)
もし面白いと思っていただけましたら、お気に入り登録・いいねなどしていただけましたら、作者の大変なモチベーション向上になりますので、ぜひお願いします!
聖女じゃない私の奇跡
あんど もあ
ファンタジー
田舎の農家に生まれた平民のクレアは、少しだけ聖魔法が使える。あくまでもほんの少し。
だが、その魔法で蝗害を防いだ事から「聖女ではないか」と王都から調査が来ることに。
「私は聖女じゃありません!」と言っても聞いてもらえず…。
婚約破棄された氷の令嬢 ~偽りの聖女を暴き、炎の公爵エクウスに溺愛される~
ふわふわ
恋愛
侯爵令嬢アイシス・ヴァレンティンは、王太子レグナムの婚約者として厳しい妃教育に耐えてきた。しかし、王宮パーティーで突然婚約破棄を宣告される。理由は、レグナムの幼馴染で「聖女」と称されるエマが「アイシスにいじめられた」という濡れ衣。実際はすべてエマの策略だった。
絶望の底で、アイシスは前世の記憶を思い出す――この世界は乙女ゲームで、自分は「悪役令嬢」として破滅する運命だった。覚醒した氷魔法の力と前世知識を武器に、辺境のフロスト領へ追放されたアイシスは、自立の道を選ぶ。そこで出会ったのは、冷徹で「炎の公爵」と恐れられるエクウス・ドラゴン。彼はアイシスの魔法に興味を持ち、政略結婚を提案するが、実は一目惚れで彼女を溺愛し始める。
アイシスは氷魔法で領地を繁栄させ、騎士ルークスと魔導師セナの忠誠を得ながら、逆ハーレム的な甘い日常を過ごす。一方、王都ではエマの偽聖女の力が暴かれ、レグナムは後悔の涙を流す。最終決戦で、アイシスとエクウスの「氷炎魔法」が王国軍を撃破。偽りの聖女は転落し、王国は変わる。
**氷の令嬢は、炎の公爵に溺愛され、運命を逆転させる**。
婚約破棄の屈辱から始まる、爽快ザマアと胸キュン溺愛の物語。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜
鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アリシア・ルナミアは、幼い頃から「癒しの聖女」として育てられ、オルティア王国の王太子ヴァレンティンの婚約者でした。
しかし、王太子は平民出身の才女フィオナを「真の聖女」と勘違いし、アリシアを「偽りの聖女」「無能」と罵倒して公衆の面前で婚約破棄。
王命により、彼女は辺境の荒廃したルミナス領へ追放されてしまいます。
絶望の淵で、アリシアは静かに真実を思い出す。
彼女の本当の能力は「呪い解き」——呪いを吸い取り、無効化する最強の力だったのです。
誰も信じてくれなかったその力を、追放された土地で発揮し始めます。
荒廃した領地を次々と浄化し、領民から「本物の聖女」として慕われるようになるアリシア。
一方、王都ではフィオナの「癒し」が効かず、魔物被害が急増。
王太子ヴァレンティンは、ついに自分の誤りを悟り、土下座して助けを求めにやってきます。
しかし、アリシアは冷たく拒否。
「私はもう、あなたの聖女ではありません」
そんな中、隣国レイヴン帝国の冷徹皇太子シルヴァン・レイヴンが現れ、幼馴染としてアリシアを激しく溺愛。
「俺がお前を守る。永遠に離さない」
勘違い王子の土下座、偽聖女の末路、国民の暴動……
追放された聖女が逆転し、究極の溺愛を得る、痛快スカッと恋愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる