14 / 71
13・穏やかに過ぎる日々と、訪れる前兆
しおりを挟む
春に修道院に入った私のそれからは、毎日代わり映えなく、張り合いのあるものだった。
優しい院長先生に、先輩シスター、いつもいろいろ教えてくれる皆さんたちに、すくすく成長するかわいいだけじゃないけれど、とても可愛い赤ちゃん。
一日中絶えずご機嫌で、ミルクもたっぷり、ねんねもたっぷりの時もあれば、誰の手で抱っこしても全く泣き止まなかったり、午前中は皆ご機嫌だったのに、夕暮れ時に全員で大泣きしてみたり。
そんな時は、皆で協力して、散り散りになって思いのままにゆらゆら揺れながら歩いたり、高い塀の檻の中にある狭いお庭をお散歩しながら頑張ってあやす。
夜当番で、皆眠っているのにバビーだけが深夜に目覚めてから、いくらたっても寝そうで寝ない、とか、アニーが抱っこしているときにはねてくれるのに、ベッドに置くと大泣きしてしまうときは、やっぱり辛くて泣いてしまった。
泣きながら、必死にずっとあやしている中、気がついたら窓の外が明るくなっていたときには、ほっとしたのと同時に、結局朝までかかっちゃったという絶望で、椅子に座ったままただ明るくなり始めた空を眺めていた。
そこに、お手伝いのノーマ(白髪に茶色い瞳、褐色の肌でがっちりと体格のいいダリアさんと同じくらいの女性)が少し早めに来てくれた時には、その安心感から大泣きしてしまい、ノーマが片手に赤ちゃん、もう片手に私を抱っこしてよしよし、としてくれたこともあった。
それでも少しずつ、私は貴族のいない、赤ちゃんのいる生活に慣れて行った。
そうして時間はゆっくり流れ、シンシアの首が座り、アニーとバビーが匙を使ってまだミルクの方が多いパン粥を食べる練習がはじまった初夏。
「昔なら、日傘をお使いくださいませと、よく言われたものよね。」
そう言いながら、私はお日様が照り付ける小さな庭に、洗濯物を入れるからっぽの籠を両手に抱えて歩いていた。
「今日はいいお天気だから、よく乾きそう!」
台の上に洗濯物を置き、うん、と背伸びした時だった。
聖堂からの渡り廊下に、院長先生のお姿があった。
「あら、院長せんせ……」
声を掛けようとした私は、その後に続く人影を見つけ、慌てて大きな木の陰に隠れた。
そこから、そっと顔をのぞかせる。
(……あれは……お客様? それにしては何か違和感が……一体誰かしら?)
ぱっと見は、隣接する騎士団の制服に身を包んでいるため、隣からのお客様かと思ったが、それにしては帽子を深く被り、背を丸くして顔を隠している。
歩き方も、大きく歩幅を取る騎士様とは違い、音を立てないように気遣っているが騎士靴は履きなれていないのか何度か躓いている。
しかしその他の、身のこなしやわずかに聞こえる受け答えの仕方から、彼は騎士ではなく高位貴族ではないかと思い立つ。
(高位貴族の、しかも本来は立ち入りを許可されない男性が……この中まで入られるなんて何ごとかしら? 私に関する事でなければいいけれど。)
首を傾げてから、今度弟に手紙を書いてみようかしら? と思う。
騎士団で検閲は受けるものの、アリア修道院では肉親との手紙のやり取りは禁止されていない。
週に一度、大丈夫か、元気にしているか、還俗の日を心待ちにしている等と、父母やアルフレッドから手紙は来るが、それ以上の事は書いていなかった。
(厄介ごとでなければいいけれど……)
その騎士まがいの人が院長先生と院長室に入ったのを確認した私は、咄嗟に隠れた木の影から陽だまりに出ると、午前中に干しておいた洗濯物を取り込み始めた。
「ミーシャ。」
洗濯物を取り込みリネン庫に届ける、を始めて3往復目。
庭で、乾いたおむつを取り込んでいた私に、渡り廊下から誰かが声をかけて来た。
「はい?」
振り返ると、そこに立っていたのは私に向かって手招きする院長先生だけだった。
お客様は、私が洗濯物を抱えてリネン庫を往復しているうちに帰られたのかもしれない。
私は手に持っていたお日様の匂いのする小さな肌着を籠に入れると、院長先生に近づき会釈をする。
「院長先生。 どうなさいました?」
問えば、院長先生はわずかにため息をついて私を見、それから要件を告げた。
「洗濯物を取り込んでからでいいから、院長室に来てくれないかしら?」
「はい、解りました。」
ありがとう、と言って院長室に戻って行かれた院長先生の背中を見送った私は、慌てて残りの洗濯物を取り込んで行く。
「呼び出されるなんて……やはり外で何かあったのかしら?」
取り込み終わったたくさんの肌着やおむつを籠に押し込むようにいれると、それを両手に抱えて院長室に向かった。
院長室の前に立った私は、コンコンと扉をノックし、中から応じる声が聞こえてから静かに扉を開けた。
「失礼いたします、院長先生。 ミーシャです。」
「あぁ、呼び出してごめんなさいね。 どうぞ、こちらに座って頂戴。」
「はい。」
洗濯物を扉の当たらない端の方に置いてから、私は勧められた椅子に座った。
「リネン庫に運んでからでもよかったのに。」
「あの籠の中は赤ちゃんの物だけなので養育室に持っていく物なのです。 それよりも院長先生、何かございましたか?」
問えば、院長先生がひとつ、溜息と共に私に言われた。
「ミーシャ。 貴女は社交界に顔が知れていますし、その逆もしかりだと思っています。 だから先に話し、そのうえで確認しておきたいのですが……実は今日の深夜、とある令嬢がこちらに入られます。」
「……とある、令嬢でございますか?。」
そう言われたわたしが繰り返し答えると、院長先生は頷いた。
「マーガレッタ・ローレンハム伯爵令嬢です。」
その名前に、私は一人の令嬢を思い浮かべ、頷いた。
「存じ上げておりますわ。 王宮の文官をなさっているローレンハム伯爵の御息女で、ご年齢は私の一つ下だったと思います。 同じ伯爵家の婚約者がいらっしゃる、とても穏やかで優しい方ですわ。」
そこまで言って、私はその人が今日ここに来ると言われた違和感に院長先生の顔を見た。
「先生? まさか……。 マーガレッタ嬢はとても真面目ですし、お相手の伯爵令息の事も存じ上げておりますが、その方も、とても実直で貴族の決まり事をお破りになるような方ではございませんわ。」
そう言った私に、院長先生は静かに首を振った。
「それがいらっしゃるのですよ、ミーシャ。 事の子細を詳しく話すことは出来ませんが、マーガレッタ嬢は大変に身も心も傷ついてここに来られます。 しばらくはお部屋から出ることもままならぬ状態だろうという判断から、侍女を一人連れてこられます。 皆にもこれから話をしますが、貴女も、お相手の方から接触してこない限りは、いつも通りに。 接触されても公爵令嬢ではなく、ミーシャとして、接してあげてください。」
「……かしこまりました。」
私は静かに頭を下げ、洗濯物が山盛りに入った籠を両手で抱えると、院長室を出た。
その足で、養育室へ向かう中、ふと、最後に見たマーガレッタ嬢の顔を思い出した。
半年くらい前だっただろうか。 とある侯爵家の夜会の席だったと覚えている。
互いの瞳の衣装を纏い、婚約者と共に穏やかに微笑んでいたはずだ。
「一体、何がおありになったのかしら?」
私は誰に聞かせるでもなくそう、つぶやいた。
養育室に戻り、おむつや肌着などの洗濯物をたたんでいた私は、パンパン、と、手を叩かれ、顔を上げた。
「みんなに話があります。 あぁ、仕事の手は止めなくて大丈夫ですよ。」
私がここに戻ってきたころ合いに、院長先生もこちらに向かってきたようだ。
先ほど聞いた件だろう、と思いながらおむつを順序良くたたんでいた私は、それでも一旦手を止めて院長先生の方に体を向けた。
赤ちゃんにミルクを上げているマーサさん、マーナさん、ダリアさんはミルクをあげながら顔だけをどちらに向け、シスター・サリアはベビーベッドを整えていた手を止めた。
「今日の深夜、宿舎棟に寄進者がお入りになります。 部屋は一番奥で、侍女も1人だけ連れてこられます。 皆さん、よろしくお願いしますね。」
院長先生の言葉に皆が頷く。
「その方の事は便宜上『ローリエ』、侍女の方は『シモン』と呼ぶ様にしてください。 ローリエは気鬱の状態ですので、今回は侍女の付き添いを認めました。 明日の朝から顔を合わせることになるでしょうが、みなさん、よろしくおねがいいたしますね。」
「はい、院長先生。」
頭を下げた皆の中で、シスター・サリアが問いかける。
「ローリエさんは、いま何か月かとお伺いしても?」
「産み月までは3か月ほどだと医師の診断書にはありました。」
「かしこまりました。 では、食事もそのように用意いたしましょう。」
「お願いしますね。 では、本日のその方の対応は私が行いますので、皆さんは通常通りお勤めを行ってください。 手を止めてしまってごめんなさいね。」
そう言って出て行った院長先生に連れられて、頭から真っ黒のマントを被った女性が2人、寄宿棟に入ったのは日付が変わったころの時間だった。
優しい院長先生に、先輩シスター、いつもいろいろ教えてくれる皆さんたちに、すくすく成長するかわいいだけじゃないけれど、とても可愛い赤ちゃん。
一日中絶えずご機嫌で、ミルクもたっぷり、ねんねもたっぷりの時もあれば、誰の手で抱っこしても全く泣き止まなかったり、午前中は皆ご機嫌だったのに、夕暮れ時に全員で大泣きしてみたり。
そんな時は、皆で協力して、散り散りになって思いのままにゆらゆら揺れながら歩いたり、高い塀の檻の中にある狭いお庭をお散歩しながら頑張ってあやす。
夜当番で、皆眠っているのにバビーだけが深夜に目覚めてから、いくらたっても寝そうで寝ない、とか、アニーが抱っこしているときにはねてくれるのに、ベッドに置くと大泣きしてしまうときは、やっぱり辛くて泣いてしまった。
泣きながら、必死にずっとあやしている中、気がついたら窓の外が明るくなっていたときには、ほっとしたのと同時に、結局朝までかかっちゃったという絶望で、椅子に座ったままただ明るくなり始めた空を眺めていた。
そこに、お手伝いのノーマ(白髪に茶色い瞳、褐色の肌でがっちりと体格のいいダリアさんと同じくらいの女性)が少し早めに来てくれた時には、その安心感から大泣きしてしまい、ノーマが片手に赤ちゃん、もう片手に私を抱っこしてよしよし、としてくれたこともあった。
それでも少しずつ、私は貴族のいない、赤ちゃんのいる生活に慣れて行った。
そうして時間はゆっくり流れ、シンシアの首が座り、アニーとバビーが匙を使ってまだミルクの方が多いパン粥を食べる練習がはじまった初夏。
「昔なら、日傘をお使いくださいませと、よく言われたものよね。」
そう言いながら、私はお日様が照り付ける小さな庭に、洗濯物を入れるからっぽの籠を両手に抱えて歩いていた。
「今日はいいお天気だから、よく乾きそう!」
台の上に洗濯物を置き、うん、と背伸びした時だった。
聖堂からの渡り廊下に、院長先生のお姿があった。
「あら、院長せんせ……」
声を掛けようとした私は、その後に続く人影を見つけ、慌てて大きな木の陰に隠れた。
そこから、そっと顔をのぞかせる。
(……あれは……お客様? それにしては何か違和感が……一体誰かしら?)
ぱっと見は、隣接する騎士団の制服に身を包んでいるため、隣からのお客様かと思ったが、それにしては帽子を深く被り、背を丸くして顔を隠している。
歩き方も、大きく歩幅を取る騎士様とは違い、音を立てないように気遣っているが騎士靴は履きなれていないのか何度か躓いている。
しかしその他の、身のこなしやわずかに聞こえる受け答えの仕方から、彼は騎士ではなく高位貴族ではないかと思い立つ。
(高位貴族の、しかも本来は立ち入りを許可されない男性が……この中まで入られるなんて何ごとかしら? 私に関する事でなければいいけれど。)
首を傾げてから、今度弟に手紙を書いてみようかしら? と思う。
騎士団で検閲は受けるものの、アリア修道院では肉親との手紙のやり取りは禁止されていない。
週に一度、大丈夫か、元気にしているか、還俗の日を心待ちにしている等と、父母やアルフレッドから手紙は来るが、それ以上の事は書いていなかった。
(厄介ごとでなければいいけれど……)
その騎士まがいの人が院長先生と院長室に入ったのを確認した私は、咄嗟に隠れた木の影から陽だまりに出ると、午前中に干しておいた洗濯物を取り込み始めた。
「ミーシャ。」
洗濯物を取り込みリネン庫に届ける、を始めて3往復目。
庭で、乾いたおむつを取り込んでいた私に、渡り廊下から誰かが声をかけて来た。
「はい?」
振り返ると、そこに立っていたのは私に向かって手招きする院長先生だけだった。
お客様は、私が洗濯物を抱えてリネン庫を往復しているうちに帰られたのかもしれない。
私は手に持っていたお日様の匂いのする小さな肌着を籠に入れると、院長先生に近づき会釈をする。
「院長先生。 どうなさいました?」
問えば、院長先生はわずかにため息をついて私を見、それから要件を告げた。
「洗濯物を取り込んでからでいいから、院長室に来てくれないかしら?」
「はい、解りました。」
ありがとう、と言って院長室に戻って行かれた院長先生の背中を見送った私は、慌てて残りの洗濯物を取り込んで行く。
「呼び出されるなんて……やはり外で何かあったのかしら?」
取り込み終わったたくさんの肌着やおむつを籠に押し込むようにいれると、それを両手に抱えて院長室に向かった。
院長室の前に立った私は、コンコンと扉をノックし、中から応じる声が聞こえてから静かに扉を開けた。
「失礼いたします、院長先生。 ミーシャです。」
「あぁ、呼び出してごめんなさいね。 どうぞ、こちらに座って頂戴。」
「はい。」
洗濯物を扉の当たらない端の方に置いてから、私は勧められた椅子に座った。
「リネン庫に運んでからでもよかったのに。」
「あの籠の中は赤ちゃんの物だけなので養育室に持っていく物なのです。 それよりも院長先生、何かございましたか?」
問えば、院長先生がひとつ、溜息と共に私に言われた。
「ミーシャ。 貴女は社交界に顔が知れていますし、その逆もしかりだと思っています。 だから先に話し、そのうえで確認しておきたいのですが……実は今日の深夜、とある令嬢がこちらに入られます。」
「……とある、令嬢でございますか?。」
そう言われたわたしが繰り返し答えると、院長先生は頷いた。
「マーガレッタ・ローレンハム伯爵令嬢です。」
その名前に、私は一人の令嬢を思い浮かべ、頷いた。
「存じ上げておりますわ。 王宮の文官をなさっているローレンハム伯爵の御息女で、ご年齢は私の一つ下だったと思います。 同じ伯爵家の婚約者がいらっしゃる、とても穏やかで優しい方ですわ。」
そこまで言って、私はその人が今日ここに来ると言われた違和感に院長先生の顔を見た。
「先生? まさか……。 マーガレッタ嬢はとても真面目ですし、お相手の伯爵令息の事も存じ上げておりますが、その方も、とても実直で貴族の決まり事をお破りになるような方ではございませんわ。」
そう言った私に、院長先生は静かに首を振った。
「それがいらっしゃるのですよ、ミーシャ。 事の子細を詳しく話すことは出来ませんが、マーガレッタ嬢は大変に身も心も傷ついてここに来られます。 しばらくはお部屋から出ることもままならぬ状態だろうという判断から、侍女を一人連れてこられます。 皆にもこれから話をしますが、貴女も、お相手の方から接触してこない限りは、いつも通りに。 接触されても公爵令嬢ではなく、ミーシャとして、接してあげてください。」
「……かしこまりました。」
私は静かに頭を下げ、洗濯物が山盛りに入った籠を両手で抱えると、院長室を出た。
その足で、養育室へ向かう中、ふと、最後に見たマーガレッタ嬢の顔を思い出した。
半年くらい前だっただろうか。 とある侯爵家の夜会の席だったと覚えている。
互いの瞳の衣装を纏い、婚約者と共に穏やかに微笑んでいたはずだ。
「一体、何がおありになったのかしら?」
私は誰に聞かせるでもなくそう、つぶやいた。
養育室に戻り、おむつや肌着などの洗濯物をたたんでいた私は、パンパン、と、手を叩かれ、顔を上げた。
「みんなに話があります。 あぁ、仕事の手は止めなくて大丈夫ですよ。」
私がここに戻ってきたころ合いに、院長先生もこちらに向かってきたようだ。
先ほど聞いた件だろう、と思いながらおむつを順序良くたたんでいた私は、それでも一旦手を止めて院長先生の方に体を向けた。
赤ちゃんにミルクを上げているマーサさん、マーナさん、ダリアさんはミルクをあげながら顔だけをどちらに向け、シスター・サリアはベビーベッドを整えていた手を止めた。
「今日の深夜、宿舎棟に寄進者がお入りになります。 部屋は一番奥で、侍女も1人だけ連れてこられます。 皆さん、よろしくお願いしますね。」
院長先生の言葉に皆が頷く。
「その方の事は便宜上『ローリエ』、侍女の方は『シモン』と呼ぶ様にしてください。 ローリエは気鬱の状態ですので、今回は侍女の付き添いを認めました。 明日の朝から顔を合わせることになるでしょうが、みなさん、よろしくおねがいいたしますね。」
「はい、院長先生。」
頭を下げた皆の中で、シスター・サリアが問いかける。
「ローリエさんは、いま何か月かとお伺いしても?」
「産み月までは3か月ほどだと医師の診断書にはありました。」
「かしこまりました。 では、食事もそのように用意いたしましょう。」
「お願いしますね。 では、本日のその方の対応は私が行いますので、皆さんは通常通りお勤めを行ってください。 手を止めてしまってごめんなさいね。」
そう言って出て行った院長先生に連れられて、頭から真っ黒のマントを被った女性が2人、寄宿棟に入ったのは日付が変わったころの時間だった。
56
あなたにおすすめの小説
婚約破棄が聞こえません
あんど もあ
ファンタジー
私は、真実の愛に目覚めた王子に王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言されたらしいです。
私には聞こえないのですが。
王子が目の前にいる? どこに?
どうやら私には王子が見えなくなったみたいです。
※「承石灰」は架空の物質です。実在の消石灰は目に入ると危険ですのでマネしないでね!
『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』
鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」
その一言で、私は婚約を破棄されました。
理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。
……ええ、どうぞご自由に。
私は泣きません。縋りません。
なぜなら——王家は、私を手放せないから。
婚約は解消。
けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。
失ったのは殿下の隣の席だけ。
代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。
最初は誰もが疑いました。
若い、女だ、感情的だ、と。
ならば証明しましょう。
怒らず、怯えず、排除せず。
反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。
派手な革命は起こしません。
大逆転も叫びません。
ただ、静かに積み上げます。
そして気づけば——
“殿下の元婚約者”ではなく、
“揺れない王”と呼ばれるようになるのです。
これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。
王冠の重みを受け入れた一人の女性が、
国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる