15 / 71
14・手付かずの食事。
しおりを挟む
「申し訳ございません、こちらをお返しに参りました。」
厨房の入り口で、私と同じ見習いの修道服に身をつつみ、昼食のトレイを持って頭を下げたのは、表向き新入り見習い修道女のシモンだった。
洗い終わった食器を拭き上げていた私は、その手を止めてそのトレイを受け取ると、カトラリーの位置すら動いていない、まったく手つかずのトレイに気が付いて、俯いたままその場を去ろうとしたシモンに声をかけた。
「シモン。 トレイを見る限り、ローリエは何も食べていないようにみうけますが、お加減はいかがですか?」
すると、ビクッと体を震わせたシモンは、ややあって俯き加減のままこちらを振り返ると、戸惑うように床に視線を彷徨わせてから、深く頭を下げた。
「せっかく作っていただいておりますのに、手つかずのままお返しして申し訳ございません。 お嬢様……いえ、ローリエは食欲がない、と。」
びくつきながらもそう返答するシモンは彼女の侍女だ。 主人の命令ならば彼女はその身を案じながらも聞くしかないだろう。 もしかしたら私に声を掛けられて責められている気持ちになっているかもしれない。
これ以上何かを問いかけても可哀想だと思った私は、ごめんなさい、と、ひとつ謝ってから、顔を上げたシモンに笑いかけた。
「いいえ、大丈夫です。 ちょっと心配になっただけですので。 リネン室にお二人の洗濯物が仕上がっていますから、持って行ってください。 それと、シモンの昼食は食堂に用意してありますので、ちゃんと召し上がってくださいね。」
「……ありがとう、ございます。」
ほっとしたような顔をして、深く頭を下げてから、逃げるように厨房を出て行ったシモンを見送る。
彼女たちが寄宿棟に入棟してから、私はローリエことマーガレッタ嬢に会った事はない。 シスター・サリアは一度、夜中のお手洗いであった、と言っていたがそのような時しか自分の部屋から出ていないようで、扉も、窓のカーテンも閉め切っていることから、私達が彼女の様子を知ることは出来ない。
先程の様に侍女であるシモンが、日に3度、養護棟にある厨房から彼女の部屋に運び、手つかずの食事を厨房に返却後、自分の食事を食べてから彼女の元に戻る。 それから日に1度、洗濯物など、そのほかの雑用を行いにやって来るのを繰り返すのみ。
人の生活を伺いみるようで行儀の良い事ではないが、下着や衣類、シーツなどはちゃんと日に一度洗濯をされているし、飲み水用のピッチャーは空になってくるので、水分補給と身の回りの事は、自分でやっているか、もしくはシモンが手伝っておこなえていることだけはわかった。
「……大丈夫ですかね。」
手つかずのトレイを見てため息をついた私の横から同じようにトレイを覗き込んだ、本日の厨房当番のノーマが、やれやれ、と、困ったようなため息をついた。
「新入りのお嬢様はまともに食事を食べないね。 さぁ、どうしたもんか。 もうここにきて4日目たつし、そろそろちゃんと食べないと、母親もだけど、赤ちゃんも栄養不足で参っちまうんだけどねぇ。」
「そうなんですか?」
首を傾げた私に、ノーマは頷いた。
「あぁ、そうだよ。 院長先生が仰るには、ローリエって子は生み月まで3か月しかないんだろう? ってことは腹の子は7か月か8か月か……。 どちらにせよ、腹の中の子が大きくなるのには、親がちゃんとご飯を食べて、腹の中の赤ちゃんにちゃんと栄養をまわしてあげなきゃいけないんだよ。」
「妊娠すると気持ちが悪くて食べられないときがあると、本で読みましたけど。」
「あぁ、でもそれは人によるね。 一概にみんながそうとは言えない。 大抵は腹に子が宿ってから3~4か月くらいまでは悪阻があるけどね。 でも、全然感じないって人もいるし、生まれるまでずっとそれに悩まされる人もいる。 初期ならねぇ、まだ母親の体の『蓄え』だけでも乗り切れるとは言うけれど、それでも、食べられるものを少しずつ食べるんだよ。」
「まぁ、それは大変ですね。」
「仕方ない。 自分の腹で別の人間を宿し育てるっていう大仕事をしているんだからね。 味覚が変わるのも、気持ちが落ち着かないのも当然なんだよ。 まぁよく聞くのは酸っぱいものだと平気、とかかねぇ。 他にもパンだと食べられるとか、肉しか食べられないとか、本当に様々だよ。 だから、そう言う時には自分の体に耳を傾けてやって、食べられそうなものを選んで、食べられるだけ食べるんだよ。」
そう言われて思い出すのは、王宮での王子妃教育の内容だ。
子を宿すことは、はっきりとは言わないまでも王子妃・王太子妃の義務である。 そのため褥教育の延長で、腹に子が宿った後の生活について、という事で簡単に習った覚えがある。 しかし習った事は、『ただ安静に、子を一番に考え行動し、王宮の料理人がお出しする毒見後のお食事のみをお食べください』とだけ言われたと思い出す。
産んだ後の育児についても『ひと月の間は授乳以外はお体の回復を促すために休息を。 お生まれになった御子のお世話はすべて乳母にお任せください。』とだけ言われただけだった。 だから、まさか育児がこんなに大変なことだとは、実際に赤ちゃんに触れるまで、まったく考えてなかったくらいだ。
(王侯貴族の育児はそんなものよ、とみんな言ってくれたけれど、ちょっと恥ずかしかったわ。 王子妃、王太子妃が受ける最高の教育を受けても、知らないことは本当に多いのね。 前世でも赤ちゃんに触れることなかったし。)
ノーマの言葉になるほどと頷いた私に、でもねぇ、と食器を片付けていたシスター・サリアが困ったように笑った。
「食べられるものを食べるだけというのは、悪阻の時だけ。 基本食事は、取りすぎも良くないし、好きだからと言ってそればかり食べるような偏りも良くないの。 パンだけでも駄目、お野菜だけでも駄目、お肉だけでも駄目。 全てをバランスよく食べることが必要なのよ。」
食器を片付け終え、私が途中でやめていた食器拭きを始めたシスター・サリアは、キュッキュと皿を磨きながら続ける。
「よく、母親だからいっぱい食べてお腹の中に栄養上げなきゃ! っていう人もいるけれど、そう言って食べ過ぎると、今度は赤ちゃんの体もお母さんの体も大きくなりすぎてしまうの。 そうすると、お母さんの方は産道に肉がついてしまうし、太り過ぎはそもそも体にも悪い。 お腹の中の赤ちゃんは、大きく成りすぎてしまうといざ出産のときに、頭や肩が産道に引っかかってしまって難産になる……。 つまり、赤ちゃんもお母さんもお産の時にとっても長く苦しむ事になるの。」
「……とらなくてもダメ、とってもだめって、すごく難しいですね。」
う~んと考え込んでしまったわたしに、ノーマが笑った。
「お腹に赤ちゃんがいない時よりも、何時もよりバランスよく、ほんの少し多く、そしてよく噛んで食べると言うのがコツだよ。 ほら、目の前の物と、今日自分がお昼に自分が食べたご飯、何が違うか見てごらん?」
「……は、はぁ……。」
ノーマさんの言葉に、私は手に持った手つかずの食事を見、自分の昼食を思い出した。
トレイの上には私たちと同じ、ちょっと茶色い小さめのロールパン2つに、チキンとたくさんの根菜の入ったミルクシチュー。 それから、牛の乳を発酵させて造らせたというヨーグルトに旬の果物が刻んで入れてあるフルーツサラダ。 ここまでは一緒だが、トレイにはもう一つ、小さなオムレツが乗っていた。
「オムレツが多い。 そっか、おんなじ食事に卵料理が増えているんですね。」
そういえば、ノーマさんは笑う。
「そう。 みんなと同じバランスのいい食事に、滋養があって栄養のバランスのいい卵が追加されてるのさ。」
ちなみに夜は、チーズが増えるのさと言ったノーマさんに、なるほどと頷く私に、シスター・サリアはひとつ、溜息をついた。
「そうして考えて作っていても、食べられない物は仕方がないの。 でもね……ここにきてもう4日目。 水分だけは取っているようだけど、体に良くないわ。 気鬱もあるという事だし、私たちから何かを言うよりも、院長先生からすこし声をかけてもらいましょうね。 もしかしたらまだ悪阻なのかもしれないしね。 ミーシャ、トレイを貸してちょうだい。」
「は、はい。」
私の手からトレイを受け取ったシスター・サリアは、それをもって院長室へ行くわ、と、厨房を出て行った。
「大丈夫ですかね?」
「心配だけど、よくある事さ。 さ、ミーシャ。 お勉強はここらで終いにして仕事しましょう。 そこの食器を片付けて、庭の洗濯物を取り込みに行った方がいいよ。」
「あ、そうでした!」
シスター・サリアが拭き上げてくれた食器を決められた棚に片付けた私は、夕食の仕込みを始めたノーラと別れると、洗濯籠をもって庭に向かった。
お日様が眩しい庭から見える彼女の部屋のカーテンは、隙間なくぴっちりと閉じられたままだった。
厨房の入り口で、私と同じ見習いの修道服に身をつつみ、昼食のトレイを持って頭を下げたのは、表向き新入り見習い修道女のシモンだった。
洗い終わった食器を拭き上げていた私は、その手を止めてそのトレイを受け取ると、カトラリーの位置すら動いていない、まったく手つかずのトレイに気が付いて、俯いたままその場を去ろうとしたシモンに声をかけた。
「シモン。 トレイを見る限り、ローリエは何も食べていないようにみうけますが、お加減はいかがですか?」
すると、ビクッと体を震わせたシモンは、ややあって俯き加減のままこちらを振り返ると、戸惑うように床に視線を彷徨わせてから、深く頭を下げた。
「せっかく作っていただいておりますのに、手つかずのままお返しして申し訳ございません。 お嬢様……いえ、ローリエは食欲がない、と。」
びくつきながらもそう返答するシモンは彼女の侍女だ。 主人の命令ならば彼女はその身を案じながらも聞くしかないだろう。 もしかしたら私に声を掛けられて責められている気持ちになっているかもしれない。
これ以上何かを問いかけても可哀想だと思った私は、ごめんなさい、と、ひとつ謝ってから、顔を上げたシモンに笑いかけた。
「いいえ、大丈夫です。 ちょっと心配になっただけですので。 リネン室にお二人の洗濯物が仕上がっていますから、持って行ってください。 それと、シモンの昼食は食堂に用意してありますので、ちゃんと召し上がってくださいね。」
「……ありがとう、ございます。」
ほっとしたような顔をして、深く頭を下げてから、逃げるように厨房を出て行ったシモンを見送る。
彼女たちが寄宿棟に入棟してから、私はローリエことマーガレッタ嬢に会った事はない。 シスター・サリアは一度、夜中のお手洗いであった、と言っていたがそのような時しか自分の部屋から出ていないようで、扉も、窓のカーテンも閉め切っていることから、私達が彼女の様子を知ることは出来ない。
先程の様に侍女であるシモンが、日に3度、養護棟にある厨房から彼女の部屋に運び、手つかずの食事を厨房に返却後、自分の食事を食べてから彼女の元に戻る。 それから日に1度、洗濯物など、そのほかの雑用を行いにやって来るのを繰り返すのみ。
人の生活を伺いみるようで行儀の良い事ではないが、下着や衣類、シーツなどはちゃんと日に一度洗濯をされているし、飲み水用のピッチャーは空になってくるので、水分補給と身の回りの事は、自分でやっているか、もしくはシモンが手伝っておこなえていることだけはわかった。
「……大丈夫ですかね。」
手つかずのトレイを見てため息をついた私の横から同じようにトレイを覗き込んだ、本日の厨房当番のノーマが、やれやれ、と、困ったようなため息をついた。
「新入りのお嬢様はまともに食事を食べないね。 さぁ、どうしたもんか。 もうここにきて4日目たつし、そろそろちゃんと食べないと、母親もだけど、赤ちゃんも栄養不足で参っちまうんだけどねぇ。」
「そうなんですか?」
首を傾げた私に、ノーマは頷いた。
「あぁ、そうだよ。 院長先生が仰るには、ローリエって子は生み月まで3か月しかないんだろう? ってことは腹の子は7か月か8か月か……。 どちらにせよ、腹の中の子が大きくなるのには、親がちゃんとご飯を食べて、腹の中の赤ちゃんにちゃんと栄養をまわしてあげなきゃいけないんだよ。」
「妊娠すると気持ちが悪くて食べられないときがあると、本で読みましたけど。」
「あぁ、でもそれは人によるね。 一概にみんながそうとは言えない。 大抵は腹に子が宿ってから3~4か月くらいまでは悪阻があるけどね。 でも、全然感じないって人もいるし、生まれるまでずっとそれに悩まされる人もいる。 初期ならねぇ、まだ母親の体の『蓄え』だけでも乗り切れるとは言うけれど、それでも、食べられるものを少しずつ食べるんだよ。」
「まぁ、それは大変ですね。」
「仕方ない。 自分の腹で別の人間を宿し育てるっていう大仕事をしているんだからね。 味覚が変わるのも、気持ちが落ち着かないのも当然なんだよ。 まぁよく聞くのは酸っぱいものだと平気、とかかねぇ。 他にもパンだと食べられるとか、肉しか食べられないとか、本当に様々だよ。 だから、そう言う時には自分の体に耳を傾けてやって、食べられそうなものを選んで、食べられるだけ食べるんだよ。」
そう言われて思い出すのは、王宮での王子妃教育の内容だ。
子を宿すことは、はっきりとは言わないまでも王子妃・王太子妃の義務である。 そのため褥教育の延長で、腹に子が宿った後の生活について、という事で簡単に習った覚えがある。 しかし習った事は、『ただ安静に、子を一番に考え行動し、王宮の料理人がお出しする毒見後のお食事のみをお食べください』とだけ言われたと思い出す。
産んだ後の育児についても『ひと月の間は授乳以外はお体の回復を促すために休息を。 お生まれになった御子のお世話はすべて乳母にお任せください。』とだけ言われただけだった。 だから、まさか育児がこんなに大変なことだとは、実際に赤ちゃんに触れるまで、まったく考えてなかったくらいだ。
(王侯貴族の育児はそんなものよ、とみんな言ってくれたけれど、ちょっと恥ずかしかったわ。 王子妃、王太子妃が受ける最高の教育を受けても、知らないことは本当に多いのね。 前世でも赤ちゃんに触れることなかったし。)
ノーマの言葉になるほどと頷いた私に、でもねぇ、と食器を片付けていたシスター・サリアが困ったように笑った。
「食べられるものを食べるだけというのは、悪阻の時だけ。 基本食事は、取りすぎも良くないし、好きだからと言ってそればかり食べるような偏りも良くないの。 パンだけでも駄目、お野菜だけでも駄目、お肉だけでも駄目。 全てをバランスよく食べることが必要なのよ。」
食器を片付け終え、私が途中でやめていた食器拭きを始めたシスター・サリアは、キュッキュと皿を磨きながら続ける。
「よく、母親だからいっぱい食べてお腹の中に栄養上げなきゃ! っていう人もいるけれど、そう言って食べ過ぎると、今度は赤ちゃんの体もお母さんの体も大きくなりすぎてしまうの。 そうすると、お母さんの方は産道に肉がついてしまうし、太り過ぎはそもそも体にも悪い。 お腹の中の赤ちゃんは、大きく成りすぎてしまうといざ出産のときに、頭や肩が産道に引っかかってしまって難産になる……。 つまり、赤ちゃんもお母さんもお産の時にとっても長く苦しむ事になるの。」
「……とらなくてもダメ、とってもだめって、すごく難しいですね。」
う~んと考え込んでしまったわたしに、ノーマが笑った。
「お腹に赤ちゃんがいない時よりも、何時もよりバランスよく、ほんの少し多く、そしてよく噛んで食べると言うのがコツだよ。 ほら、目の前の物と、今日自分がお昼に自分が食べたご飯、何が違うか見てごらん?」
「……は、はぁ……。」
ノーマさんの言葉に、私は手に持った手つかずの食事を見、自分の昼食を思い出した。
トレイの上には私たちと同じ、ちょっと茶色い小さめのロールパン2つに、チキンとたくさんの根菜の入ったミルクシチュー。 それから、牛の乳を発酵させて造らせたというヨーグルトに旬の果物が刻んで入れてあるフルーツサラダ。 ここまでは一緒だが、トレイにはもう一つ、小さなオムレツが乗っていた。
「オムレツが多い。 そっか、おんなじ食事に卵料理が増えているんですね。」
そういえば、ノーマさんは笑う。
「そう。 みんなと同じバランスのいい食事に、滋養があって栄養のバランスのいい卵が追加されてるのさ。」
ちなみに夜は、チーズが増えるのさと言ったノーマさんに、なるほどと頷く私に、シスター・サリアはひとつ、溜息をついた。
「そうして考えて作っていても、食べられない物は仕方がないの。 でもね……ここにきてもう4日目。 水分だけは取っているようだけど、体に良くないわ。 気鬱もあるという事だし、私たちから何かを言うよりも、院長先生からすこし声をかけてもらいましょうね。 もしかしたらまだ悪阻なのかもしれないしね。 ミーシャ、トレイを貸してちょうだい。」
「は、はい。」
私の手からトレイを受け取ったシスター・サリアは、それをもって院長室へ行くわ、と、厨房を出て行った。
「大丈夫ですかね?」
「心配だけど、よくある事さ。 さ、ミーシャ。 お勉強はここらで終いにして仕事しましょう。 そこの食器を片付けて、庭の洗濯物を取り込みに行った方がいいよ。」
「あ、そうでした!」
シスター・サリアが拭き上げてくれた食器を決められた棚に片付けた私は、夕食の仕込みを始めたノーラと別れると、洗濯籠をもって庭に向かった。
お日様が眩しい庭から見える彼女の部屋のカーテンは、隙間なくぴっちりと閉じられたままだった。
56
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる