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これはただのおとぎ話なのでは?!
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愛を貴び、花と歌に溢れた美しいアルカルディア王国。
この国には、国民のために心を砕き、奉仕や献身を自ら行う強い心を持ち、しかし相反して儚く可憐な容姿から『宝石姫』と国民に呼ばれ愛されるお姫様がいました。
そんな皆から愛され、皆を愛した宝石姫には、心から愛する『特別な人』がいました。
その人は、アルカルディア王国建国以来最も勇猛果敢な『王国の守護騎士』と呼ばれる、黒い鎧を身に纏った凛々しくも強く美しい聖騎士でした。
王国の守護騎士と言われた彼もまた、お姫様の事が好きでした。
二人が国民のために姿を見せる際に時折垣間見られるその恋心のじれったさは、二人の恋は両家の親・貴族・騎士たちはおろか国民みんなが知るところとなり、国民の応援もあって二人は婚礼を上げることとなりました。
そして婚礼の日。
その日は目にも鮮やかな雲一つない蒼天に、純白の小鳥が舞い謳い、花びらが溢れた二人の幸せを祝福するかのように美しい日でした。
それにふさわしく新郎新婦も美しい婚礼衣装を身に纏い、その姿を一目見よう、お祝いを告げようと国民が押し寄せる王国一の大聖堂に仲睦まじく登場しました。
しかしその時です。
蒼空は黒雲に、
小鳥とその声は稲光と雷鳴に、
祝福の花吹雪は戦火を知らせる火の粉と変わったのです。
同盟2国の裏切りにより封印されていた魔王が復活。
大聖堂は魔王軍の前に瓦解と化し、その場にいた王家も、貴族も、神官も、国民も、瓦礫の下敷きになりました。
もちろん、愛し合う二人も。
最後の瞬間、騎士の腕の中で姫は微笑み言いました。
来世でも、共に、と。
姫を腕に騎士は静かにうなずき約束しました。
来世では、必ず、と。
こうして、一瞬でアルカルディア王国は亡国となり、同盟2国は他の同盟国に糾弾され亡国となり、魔王は立ち上がった勇者によって退治されて再び平和な世界となりました。
元凶となった2国と魔王が消えた後のアルカルディア王国は、その城と町の廃墟を守るように緑と花に覆い隠され、かつて栄えた王国があったとは思えないほど静かで美しい翡翠の森へと変貌を遂げ、その最奥にある白と黒の墓標が、世界の平和を静かに見守り続けたのでした。
「……で、なんでこうなった……の?」
捕まった瞬間に横止めしてきた黒塗りの、テレビでしか見たこともないような巨大な高級車の後部座席(規格外のロングソファ)にに押し込められ、そんなおとぎ話の絵本を片手に、私の事を抱きしめてはなさない大男にしっかりと抱きかかえられ……いや、羽交い絞めにされたまま、私はがっくり頭を下げたのでした。
この国には、国民のために心を砕き、奉仕や献身を自ら行う強い心を持ち、しかし相反して儚く可憐な容姿から『宝石姫』と国民に呼ばれ愛されるお姫様がいました。
そんな皆から愛され、皆を愛した宝石姫には、心から愛する『特別な人』がいました。
その人は、アルカルディア王国建国以来最も勇猛果敢な『王国の守護騎士』と呼ばれる、黒い鎧を身に纏った凛々しくも強く美しい聖騎士でした。
王国の守護騎士と言われた彼もまた、お姫様の事が好きでした。
二人が国民のために姿を見せる際に時折垣間見られるその恋心のじれったさは、二人の恋は両家の親・貴族・騎士たちはおろか国民みんなが知るところとなり、国民の応援もあって二人は婚礼を上げることとなりました。
そして婚礼の日。
その日は目にも鮮やかな雲一つない蒼天に、純白の小鳥が舞い謳い、花びらが溢れた二人の幸せを祝福するかのように美しい日でした。
それにふさわしく新郎新婦も美しい婚礼衣装を身に纏い、その姿を一目見よう、お祝いを告げようと国民が押し寄せる王国一の大聖堂に仲睦まじく登場しました。
しかしその時です。
蒼空は黒雲に、
小鳥とその声は稲光と雷鳴に、
祝福の花吹雪は戦火を知らせる火の粉と変わったのです。
同盟2国の裏切りにより封印されていた魔王が復活。
大聖堂は魔王軍の前に瓦解と化し、その場にいた王家も、貴族も、神官も、国民も、瓦礫の下敷きになりました。
もちろん、愛し合う二人も。
最後の瞬間、騎士の腕の中で姫は微笑み言いました。
来世でも、共に、と。
姫を腕に騎士は静かにうなずき約束しました。
来世では、必ず、と。
こうして、一瞬でアルカルディア王国は亡国となり、同盟2国は他の同盟国に糾弾され亡国となり、魔王は立ち上がった勇者によって退治されて再び平和な世界となりました。
元凶となった2国と魔王が消えた後のアルカルディア王国は、その城と町の廃墟を守るように緑と花に覆い隠され、かつて栄えた王国があったとは思えないほど静かで美しい翡翠の森へと変貌を遂げ、その最奥にある白と黒の墓標が、世界の平和を静かに見守り続けたのでした。
「……で、なんでこうなった……の?」
捕まった瞬間に横止めしてきた黒塗りの、テレビでしか見たこともないような巨大な高級車の後部座席(規格外のロングソファ)にに押し込められ、そんなおとぎ話の絵本を片手に、私の事を抱きしめてはなさない大男にしっかりと抱きかかえられ……いや、羽交い絞めにされたまま、私はがっくり頭を下げたのでした。
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