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枯れたジキタリスの花
〖第5話〗手の中に想い出を集めてな(ー
しおりを挟むリュートの青い瞳を見つめ僕は軽い嘲笑を口許に浮かべ言った。
『お誘いは、断らないよ。ちなみに相手が僕を『誘う』んじゃない。僕が相手を選らんで『誘わせる』決定権は僕だよ。
ここは紳士の国だからね。みんな品性がある。
それにあとからちゃんとあとから病気の検査もするよ。日本の行儀知らずとは違ってベッドのマナーは守るし。
素敵な人も多い。一夜限りの恋人のスタンスだね。クラムチャウダーごちそうさま』
僕はそう言いスープカップをベッドサイドの小物入れの棚にのせた。
『自棄になるな。その先輩のこと、悔しくて、恨んだろ。でも、それは、先輩がどうしても好きで忘れられない人だからなんだろ?
もう『遊び』はやめろよ。
多分アキのことだから『遊び』って言っても他の皆が言うような感じじゃないと思う。
新しい恋をしろ。誰かを探せ。
見つからなかったら、趣味や没頭できる研究を見つけろ。身体を大事にしろ。
思い出の中で生きるのはまだ早すぎるだろ。
遊び人の風体なんて一番似合ってない!』
──────────
噂には尾ひれがつく。遊んだと言っても、両手を広げてオーバーする位だ。
それに、全部貴族で、リュートに言った通り、僕が選んだ。
誰彼構わず、僕が声をかけているなんて迷惑な噂がある。
僕は狙った相手に自分を『選ばせる』それくらいの技術はある。
もう、下ばかり向いていた昔の僕とは違う。
おどおどして、周りを気にして怯えていた僕なんかとは違う。
僕は有毒です。
ジキタリスです。
使い方を間違えたら黄泉の国へ突き落とす。
あなたが教えた。だから僕も真似をする。
そういえば僕が医学部の同期に声をかけると皆、真っ赤になる。
准教授のマチルダに相談すると、爽やかに笑った。
『あなたは手が届きそうで届かない、禁忌の金色の林檎だからってとこかしら。
薄いブラウンの巻き毛なんてギリシアの少年の彫刻みたいね』
──────────
『リュート、今の僕をみたら、先輩はがっかりするかな』
『大丈夫、アキは変わらない。やさしくて、頑張り屋さんだから。
俺しかいない、泣いてもいい』
リュートの腕と胸を借りた。少し、先輩に似てる。すらりとしているが丁度良くついた筋肉。
さらさらの前髪、
少し厚い胸板、
綺麗な指。
ひんやりとした手。
ずっと帰りたかった。泣きたかった。
『やっとあなたに追いつきました』
その一言が言いたかった。
──────────next Episode
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