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私は伝説の聖女テルミコ?そんな力は私にはないよぉ〖第6話〗
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それから無事、ルートちゃんは調理場でサーチェが発見した。犯人とおぼしきドアマンは、忽然と姿を消した。
────────────
「マミ姉さま~!怖かったです。怖かった。真っ暗は嫌です。
昔を思い出します。
ここの国は兄上とサーチェと3人から始まりました。そしてそのとき街の泉から現れた聖女の占いで反乱分子として都から追放になった、貴族や国民たちです。
辺境の地への転封でした。それから昔から住んでいる獣人さんと仲良くさせてもらって、小さな国を作りました。
ですが王さ……父上が、獣人は野蛮だと仲良くするなと御触れをだしたと。お兄様が大層怒って、王様へ命をかけて『じかだんぱん』に王都へ行き、獣人の権利を取り戻そうとしたけれど、うまく行かなかったと。そして誰も知らない秘密のこの城塞に戻り、獣人さん一人一人に、謝り、頭を下げたとそう聞いてます。
私はまだ幼く、お役にはたちませんが、
私も天の聖女マミさまに忠誠を誓います」
「僕も!天の聖女マミさまに忠誠を誓います!」
「ルートちゃん!サーチェくん。
私は『聖女』なんて呼ばれるほどできた人間じゃないよ?
こんな私でいいの?
美人でもないし、可愛くもない。
スレンダーでもない、チョイぽちゃ。
お酒も好きだよ?」
「僕たちは、マミさまが、どんな姿でもマミさまを見つけます。だから、ありのままのマミさまでいて下さい」
「もちろん我々も。獣人は、聖女マミさま、リクト王子、ルート王女、サーチェ神官に忠誠を。ところで、王子。ネズミを一匹捕まえたのですがどう料理しましょう?」
「城塞の外に皆を集めよ」
──────────────
縄で縛られ広間に放られた無惨な被り物貴族。
「私達の鼻は人の50倍利くんです」
獣人のコック長さんは、自慢げに言った。
「お前の調理法は、お前の密偵行為、またはそれに附随する任務によるな」
スパイは、拷問もされてないのに、恐ろしいことを軽口のように吐いた。
森の聖なる泉。ここの城塞の水源となっているこの泉に毒を入れて、城塞の皆を皆殺しにする計画だった。
しかもそれは、ルートを人質に、ルートを目の前で亡き者にするか、水源に人口分の毒をいれるか。それをリクト王子に選ばせるものだった。
「なん……だと…!?」
王子が怒りに震えている。自分だけに飽きたらず、小さなこの国の人たち全てを亡き者としたことに、悲しいほどに怒ってる。
しかも、命令したのは紛れもない『父親』
こんなことって、あんまりだ!
人の所業じゃない!
穢い
穢い
穢い!
私は思わず、
「誰の命令?どれだけ残酷なことをしているか解ってんの!国王さま?それともアバズレのクソ聖女?」
私は目の前のスパイの襟首を掴み揺さぶった。
「アバズレ?あの聖なる方がアバズレ?お前の間違いじゃないか?この事を国王陛下に進言したのはユイ様だよ。聖女ユイ様。ユイ様はあんたのことならなんでもご存じだぁ。必ずお伝えしろと言われたことがあるよ。あんたが天下の『Tだい?』出身なのに、『しゅうかつ?苦労してたなぁ』って。全部ぱぱに潰してもらってたってさ。一喜一憂が面白かったって。それと、『じょうきゅうこくみん』に逆らったり、『はいすぺ』な彼と同棲したり、身の程を知れって楽しそうに話してくれたよ。だから無惨な死に方してに新聞に載るんだよって言ってた。あと、いつも邪魔だったって」
偽の聖女なんて怖くねぇ。ユイ様こそ真の聖女。
雨が降ったのは偶然。氷は何かカラクリがあるんだろ?
皆騙されるなよ~!この偽物聖女は前世、無惨な死に方をしたんだぞ~!お前達もそうなるぞ~!きゃはははは!
「マミをこれ以上侮辱するな!」
こんな時に変だけど、嬉しかった。庇ってくれる、人がいるって。
でも、こころの奥は怒りしかなかった。
声が、出ない
本当の怒りは、白だ。
身体が焼ける。
何故か涙を流しながら怒りに全身を震わせた。身体の中が沸騰しそう。
熱い
熱い
燃える──!
身体が、焼ける!
助けて!助けて!助けて!誰か!
『天の裁きを』
誰かが勝手に、私の口を使って喋った!どうなってるのよぅ!
無意識に私は右手を高く上げる。
身体の熱が右手に集まり大きなまるい灼熱の、巨大な太陽の様な光る玉となる。
放り投げたそれは天へと吸い込まれていった。
「へへッビビらせやがって。何にも起きねぇじゃねえかインチキ聖女!それとな、ユイ聖女さまはお前をご所望だぜ、リクト王子。遥か昔『ぜんせ?』のユイ聖女様の好いてた男とあんたが瓜二つなんだとよ。水鏡を使われていつでも世界中をご覧になってる。それをこの偽物聖女が寝盗ったんだってよ!この世界でもリクト王子は、偽物聖女のこいつと、早々といかがわしい関係らしいぞ。皆!ふしだらな聖女といかがわしい王子はいらねぇよなぁ!」
リクト王子は怒りでワナワナ震えてる。
私も怒鳴り散らしたいけど声が出ない。
民や獣人、貴族。皆揺れてる。こいつの嘘八百のせいで。
『真の聖女マミ。我が名はテルミコ。この泉を守るもの。この者への鉄槌を望むか』
頭の中で声がする。私はこころの中で端的に言った。
『望みます。この者に鉄槌を』
『ユイは魔女ミトーと手を組んだ。あやつは聖なる山に封印されたが、誰かによって解かれたか。ユイが呼ばれて解いたか……。まあ、私はそなたが気に入ったのじゃ。ダメだと思ったら我が名を呼べ。力を貸そう。ああ、下衆の掃除か。面倒じゃが、そなたの願いだからな。久しぶりじゃ、加減は出来ぬ。それでもよいな?』
『……はい。天の裁きを』
キリリとした女性の声。
暗い夜空から落ちる巨大な炎の玉。スパイ目掛けて墜ちた。クレーターができて、火の玉は隕石だったことが解る。スパイの全ては塵と化した。
「天の裁きの火だ!伝説は本当だったんだ」
「古の伝説の聖女さまが我々にはついている!」
皆が聖女だと、天の聖女だと騒ぎ立てる。私は普通のアラサー女子なのに。
皆違うよぉ
私はこんなことできないよぉ
ただ、この泉の守り神さまが、私を気に入ってくれただけなのに。
────────────
────────────
私はあの火の玉で軽い火傷をした。私はまた意識を失い、気がついたら、このベッド
だった。あれから平穏が訪れた。
ルート王女と、サーチェ王子は、私に懐いてくれている。二人は厨房に出入りし、料理を料理長から習っているらしい。
でも、リクト王子の姿はずっと見ていない。
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