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君ハ蛇ノ運命のヒト【第2章】
ウカノへの『コイ』③
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『コウ、この、ぷりん?って言う食べ物ってすごく美味しい。あったかくて、柔らかくて。しなもんみるくこーひーも、すぱいすってコウが言ったしなもんが美味しい。私『真の巳』にならなくても良い。天界なんか帰らない。コウと結婚して下界に、人間の世界に住む!』
僕は困る。仕方がないから話をずらす。
『ウカノ。二人で水浴びに行ってこない?』
『私、人型になっちゃうかも………人型になったら。力を奪って』
『どうして?』
『お前は醜い。皆お前を見たら嫌う。そう言われてきた。
お前の『運命のヒト』は不運だな。そう言われて育ったの。
コウは私の姿を見たら嫌うわ。生まれたときから言われてきたの。
私、コウが好きよ。
だから、『コウは私の運命のヒト』っていうのは、無しにして。結婚も。
………嫌われたく、ないの。もうこれ以上、醜いって言われたくない。
だから運命のヒトは私はいらない。
結婚もしない。
それに、ヘビの姿の時には、運命のヒトは必要ないから。
私が人型になったら力を奪ってヘビにして。
みんな、私が嫌い。
なら私もみんなを嫌い。
だから私は独りで生きる。
ここにいるヒトはいいヒトだから好きよ』
悲しい顔を見られないように身をよじる、ウカノは可愛い。そして哀しい。
『解った。まずは、水浴びだ。』
僕は中2だけど、初恋はまだ。
可愛いなって思う子はいる。
でもそれだけ。
目で追うこともない。
でも、さっきの『嫌い』って。
───神様に嫌われたらかなりの対価を支払わなければならない。
そう言えば父さんは形によって心の年齢が違うけど、ウカノはどうなんだろう。
……………………………………………
桐でつくった、たらいで気持ち良さそうに君が泳ぐ姿。
僕はそんな風に一緒にウカノと指先で遊ぶことを考えていたけれど、
ウカノがのが全身をたらいの水に身体を浸した瞬間、
金色の霧が立ち上った。
霧が晴れ、あらわれたのは、絹の赤い襦袢姿の美しい少女。ひどく怯えて、桐のたらいにへたりこんでいた。襦袢から見える透き通る白い肌はアザだらけ傷だらけ。
「もう、叩かないで。お願い──」
頭を何もない宙から、華奢な白い腕で守り、瞳から落ちる涙は宝石のようにきらめいていた。
あまりにも美しい、けれど何処か妖しい美しさににコウは見惚れる。
「叩いたりしないよ。ここにいるヒトはウカノに手を上げたりしない!」
コウは、ウカノの両手をやさしく握りしめた。
理由が解らない不思議な切なさが沸き上がって瞳が潤んだ。
それでもウカノはコウの力に、非力に逆らいながら、見えない手から自分を庇うように、
「助けて」
と繰り返しながら涙を零しづける。
「僕が守るから。君を守るから」
コウは腕ごとウカノを抱きしめた。コウはウカノが悲しくて、憐れで、この痛みを変わってあげたいと思って、泣きたくなった。
「どうして?コウ」
そして何となく解った。
「僕は、君の事が、好きみたい。いや………好きなんだ」
僕は、コイに落ちた。
僕は困る。仕方がないから話をずらす。
『ウカノ。二人で水浴びに行ってこない?』
『私、人型になっちゃうかも………人型になったら。力を奪って』
『どうして?』
『お前は醜い。皆お前を見たら嫌う。そう言われてきた。
お前の『運命のヒト』は不運だな。そう言われて育ったの。
コウは私の姿を見たら嫌うわ。生まれたときから言われてきたの。
私、コウが好きよ。
だから、『コウは私の運命のヒト』っていうのは、無しにして。結婚も。
………嫌われたく、ないの。もうこれ以上、醜いって言われたくない。
だから運命のヒトは私はいらない。
結婚もしない。
それに、ヘビの姿の時には、運命のヒトは必要ないから。
私が人型になったら力を奪ってヘビにして。
みんな、私が嫌い。
なら私もみんなを嫌い。
だから私は独りで生きる。
ここにいるヒトはいいヒトだから好きよ』
悲しい顔を見られないように身をよじる、ウカノは可愛い。そして哀しい。
『解った。まずは、水浴びだ。』
僕は中2だけど、初恋はまだ。
可愛いなって思う子はいる。
でもそれだけ。
目で追うこともない。
でも、さっきの『嫌い』って。
───神様に嫌われたらかなりの対価を支払わなければならない。
そう言えば父さんは形によって心の年齢が違うけど、ウカノはどうなんだろう。
……………………………………………
桐でつくった、たらいで気持ち良さそうに君が泳ぐ姿。
僕はそんな風に一緒にウカノと指先で遊ぶことを考えていたけれど、
ウカノがのが全身をたらいの水に身体を浸した瞬間、
金色の霧が立ち上った。
霧が晴れ、あらわれたのは、絹の赤い襦袢姿の美しい少女。ひどく怯えて、桐のたらいにへたりこんでいた。襦袢から見える透き通る白い肌はアザだらけ傷だらけ。
「もう、叩かないで。お願い──」
頭を何もない宙から、華奢な白い腕で守り、瞳から落ちる涙は宝石のようにきらめいていた。
あまりにも美しい、けれど何処か妖しい美しさににコウは見惚れる。
「叩いたりしないよ。ここにいるヒトはウカノに手を上げたりしない!」
コウは、ウカノの両手をやさしく握りしめた。
理由が解らない不思議な切なさが沸き上がって瞳が潤んだ。
それでもウカノはコウの力に、非力に逆らいながら、見えない手から自分を庇うように、
「助けて」
と繰り返しながら涙を零しづける。
「僕が守るから。君を守るから」
コウは腕ごとウカノを抱きしめた。コウはウカノが悲しくて、憐れで、この痛みを変わってあげたいと思って、泣きたくなった。
「どうして?コウ」
そして何となく解った。
「僕は、君の事が、好きみたい。いや………好きなんだ」
僕は、コイに落ちた。
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