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君ハ蛇ノ運命のヒト【第2章】
コウのウカノへの思い⑨
しおりを挟む誕生日・兼、結婚式だ。やっとウカノと夫婦になれる。
ドキドキしながら『和装じゃありきたり』と言う父の声に母も乗り、
僕はタキシード、
ウカノはウエディングドレスと決まった。
「白へびが真っ白なウエディングドレスっていうのも、ちょっとね」
そう言って拗ねるウカノが可愛くて、キスした後、初めて首筋に顔を埋め、初めてキスマークをつけた。
「赤いマークをつけた白へびさんなんていないよ」
それから、衣装合わせだというとき、
グラリと、眩暈がした。
光の中に溶けていく感じ。
衣装を合わせる姿見の大きな鏡を見ると、白へびになっていた。
一生懸命鳴いた。
心の声で皆を呼んだ。
多分、力が弱い個体になってる。
僕は皆に見つけて欲しくて、
一生懸命部屋から離れ、母さんが良くいる縁側に来たら、
『何だよ!この烏!下ろせ!僕は簡単に食われたりしないぞ!』
僕がジタジタしていると、烏が僕を鷲掴みにして家から飛び去った。
『ウカノ!ウカノ!俺はまだ死ねない!』
─────────────
暫くして、下ろされたのはゴミ捨て場。
烏が啄もうとしたとき光に弾かれて、啄めなかった。
子供に捕まったら終わりだ。
父さんと母さんの出会いも、
ウカノと僕の出会いも、
白い、弱った状態のへびが悪ガキにいじめられていた。
死にたくない死にたくない!
『大丈夫。怪我もすぐ治してあげる。秘密よ?屋敷にあなたをあげたら私のご飯は三度抜きよ?
あなたでしょう?
ウカノ様と黒へび退治をしたのは』
『退治じゃないよ。天に送ったんだ』
『やっぱりあなたね。
小学校の兎小屋を治して結界を張ったでしょう。どうして?』
『嫌だったんだ。
自分より弱いものをいじめるなんて最低だ。しかも、何も理由がないのに。
狭い小屋で飼われて。
人の都合だよ。
なら、一生懸命お世話をするべきだ。
なのに、
なんで兎が虐げられなければいけないのか?と思ってしまうよ』
『あなたこそ、因幡家の婿にふさわしい』
『因幡、君はウサギなの?婿って、僕のことなの!?』
『心根の優しい方。私は因幡の姫、白さまの侍女です。あのウカノ様との一件を見て「あの殿方しか嫁がない」と。ほほほ。参りましょう』
コウの白い体が、暗闇に吸い込まれていった。
『僕は、僕はウカノとしか結婚しない!!』
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