【完結済】婚約破棄されたので魔法使いになろうと思います【R18】

風待芒

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第七章『恋の秘薬』

⑧ ★

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 ◆ ◆ ◆

 その夜、オズに渡された服は一見シンプルなワンピースに見えた。これくらいならまぁいいか、と、受け取ったのが間違いだった。
 黒いフレアのワンピースは胸部の真下で腹部を晒すように分かれている。揃いのショーツも布の面積が少ない。そして全体的に生地が薄いのだ。明るいところに出れば体のラインがたちまち透けてしまうだろう。デザインは確かに可愛らしいが、着ることによってたちまち淫靡な夜の戦闘服になる。
「オズ様、えっちです」
 受け取ってしまった以上捨ておく訳にも行かず、律儀に着用したスカーレットは平静を装いながら零した。
「今頃気付いたの?」
 再認識しただけだ。そう返したかったが胸中に押しとどめることにした。
 スカーレットが精一杯すましている間にもオズの狼藉は止まらない。金の絹糸を一房すくい上げるとこれみよがしに唇を寄せる。
「夜這いに来てくれた夜の服も良かったんだけど」
「よばっ」
 オズが指しているのはフランの花によって強制的に発情していた夜の事だろう。違うと否定したいが、行動だけを見れば言い逃れが出来ない。
 距離を取りたくても髪を人質に取られているため微かに身動ぎするのが精一杯だった。
「黒も似合うだろうなと思ったらつい」
 すい、と前を隠していた両手が掴まれる。目を合わせられずに俯くと期待に尖った蕾が二つ、目に止まった。それからも逃げるように顔を横に向けると顕になった耳を擽られた。
「よく似合ってる」
「~~~~~~っ」
 上手く息が吸えず声にならない声が迸る。目を固く閉ざして嵐が過ぎるのを待っていると、不意に両手が開放された。
 なにかあったのかと顔を上げるとオズの真っ直ぐな視線とかち合う。一歩下がって改めてスカーレットの格好を見つめるその瞳はご馳走を前にはしゃぐ子供のようでもあった。
「綺麗だ」
 その一言だけで全身を愛撫されたかのように体が震える。
 このままでは今日も流されていいように弄ばれてしまう。スカーレットは助走をつけてオズをベッドに押し倒した。
「わ、っ」
 予想だにしなかった方向からの力にオズの体は容易く倒れ込む。
「レティ?」
 バランスを崩して一緒に倒れ込んだのを誤魔化すように勢い良く身を起こした。肩紐が緩んで際どいところまで着崩れてしまった扇情的な格好に果たしてスカーレットは気づいているのだろうか。
「今日は私が上ですっ」
 上擦った声は宣言だけで精一杯にも聞こえる。
 決意を受け取ったオズは起き上がろうと支えにした肘を倒す。体から力を抜くとスカーレットの頬に触れ、不敵な笑みを浮かべた。
「お手並み拝見といこうかな」
 その挑発に負けず嫌いを発動させたスカーレットは早速オズの唇に自分のものを重ねる。
 オズが普段している動きをなぞる。だが、可愛らしい水音がするばかりで浅い呼吸を繰り返すのはスカーレットだけだ。完全に遊ばれている。そろそろ文句の一つも言っていいかもしれない。唇を離しかけた刹那、固く閉ざされた砦が開いた。
「んっ、む」
 すかさず舌を入れるスカーレットだったが、待ち構えていたオズに絡め取られて引きずり込まれる。相手のペースに呑まれるものかと懸命に抗うと、オズの柳眉が微かに跳ねた。見咎めたスカーレットが動きを止めた瞬間、後頭部を抑えられ唇を食べられた。
 これみよがしに喉を鳴らしながらオズはスカーレットの唾液を吸い込んだ。
「っふ、う」
 身を離すと互いを繋ぐ蜘蛛の糸が輝いて、一瞬で途切れる。
 せっかく善戦できていたのにまたオズにからかわれた。スカーレットは次の手を打つべく動き始める。
 ベッドに膝をつくとすっかり硬くなったオズのそれを引き出す。ぺち、と頬に当たったその大きさは想像以上だった。
「っ、!」
 これで普段貫かれていたのだ。そう思うだけでじわりと蜜が溢れる。
 スカーレットが何をしようとしているのか気がついたのだろう。追いかけるようにオズが体を起こす。
「レティ、無理は……」
「わたしだって、オズ様に気持ちよくなってもらいたいんです」
 それだけ言うとまざまざと主張する肉棒にそっと触れる。口に含もうと大きく開けたが入り切りそうにない。仕方なく舌先で愛撫することにした。
 
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