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4話 魔力の片鱗
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「てめぇ何をしやがる?!」
リグは激しく激昂をする。
自分では自覚はないが、多分リグを殴り飛ばした。
「………」
「てめぇ俺を誰だと思っている!!」
リグの問いにボクは黙っていた。
ユウナさんが防煙魔法を掛けてくれたとはいえ、もし声を出せば気付かれるかもしれない。
だから黙っていた。
それが逆にリグの反感を買う。
「ぶっ殺してやる!」
さっきまでの様子とは違い、リグは感情を剥き出しにして襲い掛かって来る。
怒りで支配されている為か、魔法ではなく肉弾戦で向かって来る。
一つ一つの攻撃が鋭く速い。それでも……ボクは紙一重で躱す。
こいつ、頭に血が昇っているから素手だ。リグもボクも素手の近接戦は、得意ではない。
特にボクは兄弟の中で体が貧相だったから余計。
でも、今のボクならばリグに勝てるかもしれない。
と、錯覚するくらい。勝てるビジョンが見える。
「何で当たらねぇんだよ!」
「凄い! 全部ギリギリで避けている」
「フッ」
「貴様!!」
あまりにもリグの攻撃が当たらず、つい笑みを溢してしまった。ああ──面白い。
「次はこっちの番だよ」
「な!?」
ドンッと鈍い音が聞こえる。リグは膝から崩れ落ちた。
悔しそうにボクを見上げる。……今まで散々虐めて来た奴に、やり返すのは気持ちいい。
追撃で攻撃する為に、拳を大きく振り被った。
次の刹那、下から拳が振り上がって来た。
その攻撃を咄嗟に前へ出した左肩で防ぐ。一瞬、痛みが走ったがすぐに治った。
あれ? ここまでリグの攻撃って、弱かったのか?
「何なんだよお前!」
「よっわ」
振り上げていた拳をそのまま振り下す。
爆裂音に近い轟音がし、リグは失神していた。
リグの周りにある地面は大きくヒビが入ってる。
「あ、えっと──クロくん行こうか」
「はい」
ユウナさんは少し、驚愕しながら歩みを進める。
リグの横を通り過ぎる時、リグの体に黒い炎が纏っていた。
あの黒い炎は魔力の一部の筈。
なんで魔力の一部が出ているんだろう? 今気にしても仕方ないか。
「どうかしたクロくん?」
「いえ、何もありません」
「それよりクロくん凄いね!!」
「え?」
「え? じゃないよ。まだ魔法師の卵とはいえ、ヒュウガの人間を倒すって快挙だよ!」
「はは、そうですね」
ボク一応、元とはいえヒュウガの人間何だよな。
まぁその事実をユウナさんが、知る事は一切ない。
兄弟の一人をまぐれでも倒せた事。
それはボクが今後生きていく中で、自慢出来て自信に繋がる。ユウナさんの言う通り、\快挙なのかもしれない。
「クロくん心なしか嬉しそう」
「まぁ、ヒュウガの人間を倒せましたし!」
少し口角を上げ笑う。
「さてさて、それじゃ魔法でも使って向かおう!」
「え、それ最初からすれば良かったのでは?」
「あ、うっさい」
「酷い」
「ふふふ」
ユウナさんが笑い出し、ボクも釣られるように笑う。思い切り笑った。
多分、人生史上初と思うくらい笑った。
「転送魔法。テレポート」
次の瞬間、白い輝きが見え眩しくて目を瞑る。
目を開いた時には街中にいた。
「ここは?」
「私が住んでいる街。グロリアだよ」
「ここがグロリア」
ボクは少し感動をしている。
今まで家から、出られなかった事もあり、嬉しく感じている。
「じゃあ街を観光ついでに、屋敷に向かおうか!」
「はい」
ユウナさんの言葉通りに、街中を観光し様々な物を見ていた。
流石、帝国最強の魔法師家系が住んでいる街なだけある。
「どうクロくん。グロリアはいい所でしょ?」
「はい……そうですね」
「どうかした?」
ユウナさんが不思議そうな顔をして、ボクに聞いてきた。
ボクは観光の中で、一つだけ気になっていた事を聞く。
「あそこにある大きな建物は何ですか?」
「え、アハハハ。まさかここに気付くとは思わなかったな」
気付かないと思った? あれだけ建物が立派で、大きければ嫌でも目に入る。
「クロくんは、気付いてないかもしれないね。ここはね膨大な魔力で隠されているんだよ」
「膨大な魔力で?」
「そう。ここはね魔法院学園ソロモン!」
……全然聞いた事がない。
魔法学院ヒュウドルは知っているが、ソロモンの名称が付く。学園は聞いた事はない。
「あれれ? もしかして知らないの?」
「あ、はい。すみません」
「あれれ、ソロモンに気付いた物だから、てっきりクロくんは魔法の才能が飛び抜けているのかと思った」
「ハハッ」
ユウナさん、それは全く違います。ボクはその逆で魔力ゼロの無能。
「それじゃあ屋敷に向かうよ」
「はい」
ユウナさんの後ろを付いていく時、学園から黒い光が見えた。リグに合った黒い炎と一緒だ。
……それを尻目に屋敷に向かう。
「着いたよ。ここが私の屋敷」
ヒュウガにも負けず、劣らずの屋敷が合った。
「立派ですね」
「まぁ一応名高い家系の屋敷だからね」
ユウナさんの口振りだと、嫌そうに感じ取れる。
実際有名家系というのは、他の人が思う程いい物ではない。
リグは激しく激昂をする。
自分では自覚はないが、多分リグを殴り飛ばした。
「………」
「てめぇ俺を誰だと思っている!!」
リグの問いにボクは黙っていた。
ユウナさんが防煙魔法を掛けてくれたとはいえ、もし声を出せば気付かれるかもしれない。
だから黙っていた。
それが逆にリグの反感を買う。
「ぶっ殺してやる!」
さっきまでの様子とは違い、リグは感情を剥き出しにして襲い掛かって来る。
怒りで支配されている為か、魔法ではなく肉弾戦で向かって来る。
一つ一つの攻撃が鋭く速い。それでも……ボクは紙一重で躱す。
こいつ、頭に血が昇っているから素手だ。リグもボクも素手の近接戦は、得意ではない。
特にボクは兄弟の中で体が貧相だったから余計。
でも、今のボクならばリグに勝てるかもしれない。
と、錯覚するくらい。勝てるビジョンが見える。
「何で当たらねぇんだよ!」
「凄い! 全部ギリギリで避けている」
「フッ」
「貴様!!」
あまりにもリグの攻撃が当たらず、つい笑みを溢してしまった。ああ──面白い。
「次はこっちの番だよ」
「な!?」
ドンッと鈍い音が聞こえる。リグは膝から崩れ落ちた。
悔しそうにボクを見上げる。……今まで散々虐めて来た奴に、やり返すのは気持ちいい。
追撃で攻撃する為に、拳を大きく振り被った。
次の刹那、下から拳が振り上がって来た。
その攻撃を咄嗟に前へ出した左肩で防ぐ。一瞬、痛みが走ったがすぐに治った。
あれ? ここまでリグの攻撃って、弱かったのか?
「何なんだよお前!」
「よっわ」
振り上げていた拳をそのまま振り下す。
爆裂音に近い轟音がし、リグは失神していた。
リグの周りにある地面は大きくヒビが入ってる。
「あ、えっと──クロくん行こうか」
「はい」
ユウナさんは少し、驚愕しながら歩みを進める。
リグの横を通り過ぎる時、リグの体に黒い炎が纏っていた。
あの黒い炎は魔力の一部の筈。
なんで魔力の一部が出ているんだろう? 今気にしても仕方ないか。
「どうかしたクロくん?」
「いえ、何もありません」
「それよりクロくん凄いね!!」
「え?」
「え? じゃないよ。まだ魔法師の卵とはいえ、ヒュウガの人間を倒すって快挙だよ!」
「はは、そうですね」
ボク一応、元とはいえヒュウガの人間何だよな。
まぁその事実をユウナさんが、知る事は一切ない。
兄弟の一人をまぐれでも倒せた事。
それはボクが今後生きていく中で、自慢出来て自信に繋がる。ユウナさんの言う通り、\快挙なのかもしれない。
「クロくん心なしか嬉しそう」
「まぁ、ヒュウガの人間を倒せましたし!」
少し口角を上げ笑う。
「さてさて、それじゃ魔法でも使って向かおう!」
「え、それ最初からすれば良かったのでは?」
「あ、うっさい」
「酷い」
「ふふふ」
ユウナさんが笑い出し、ボクも釣られるように笑う。思い切り笑った。
多分、人生史上初と思うくらい笑った。
「転送魔法。テレポート」
次の瞬間、白い輝きが見え眩しくて目を瞑る。
目を開いた時には街中にいた。
「ここは?」
「私が住んでいる街。グロリアだよ」
「ここがグロリア」
ボクは少し感動をしている。
今まで家から、出られなかった事もあり、嬉しく感じている。
「じゃあ街を観光ついでに、屋敷に向かおうか!」
「はい」
ユウナさんの言葉通りに、街中を観光し様々な物を見ていた。
流石、帝国最強の魔法師家系が住んでいる街なだけある。
「どうクロくん。グロリアはいい所でしょ?」
「はい……そうですね」
「どうかした?」
ユウナさんが不思議そうな顔をして、ボクに聞いてきた。
ボクは観光の中で、一つだけ気になっていた事を聞く。
「あそこにある大きな建物は何ですか?」
「え、アハハハ。まさかここに気付くとは思わなかったな」
気付かないと思った? あれだけ建物が立派で、大きければ嫌でも目に入る。
「クロくんは、気付いてないかもしれないね。ここはね膨大な魔力で隠されているんだよ」
「膨大な魔力で?」
「そう。ここはね魔法院学園ソロモン!」
……全然聞いた事がない。
魔法学院ヒュウドルは知っているが、ソロモンの名称が付く。学園は聞いた事はない。
「あれれ? もしかして知らないの?」
「あ、はい。すみません」
「あれれ、ソロモンに気付いた物だから、てっきりクロくんは魔法の才能が飛び抜けているのかと思った」
「ハハッ」
ユウナさん、それは全く違います。ボクはその逆で魔力ゼロの無能。
「それじゃあ屋敷に向かうよ」
「はい」
ユウナさんの後ろを付いていく時、学園から黒い光が見えた。リグに合った黒い炎と一緒だ。
……それを尻目に屋敷に向かう。
「着いたよ。ここが私の屋敷」
ヒュウガにも負けず、劣らずの屋敷が合った。
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