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27話 初仕事
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「その顔になっても可笑しくはないね」
「クロ、君に残って貰ったのはこれが理由。これは我々風紀員の間で取扱う」
「どうしてそんな重要な事をボクに?」
風紀員長は何処からか白い本を出す。本を開き、見せてくる。
その内容に思わず生唾を飲み込む。
「こんなのを見せてボクにどうしろと?」
「後々にはこの学園を出て貰う」
「……それは無理だ」
ボクの言葉に風紀員長の目が鋭くなり、低い声で言われる。
「ダメだ、これは命令だ」
「あんたの命令を聞く義理はない。ボクはお嬢様以外の命令は聞かない」
言い終わり様に席を立つと、ボクの体は動かない。
まるで何かに縛られているようだ。
風紀員長は手をかざしている、どうやら魔法で体の身動きができない。
この程度の魔法ならば、簡単に解く事ができる。
でも、それは今ここで風紀員長と、敵対すると同義だろう。
ここで風紀員長とやるのは、死に行くのと一緒だ。
「座りたまえ。話しはまだ終わってない」
「えっとクロ、取り敢えず座って」
ピンク髪の女性は気まずそうに、ボクを見ている。
はぁー、従うように座る。
「君はこの学園にはいない方がいい。それはユウナの為にもだ」
「ボクが魔帝の可能性だから?」
「あぁそうだ。もしその可能性が確信に変わった場合、君はお尋ね物だ」
魔帝、魔帝ってそんなに大事か? ボクは魔帝ではない。
ただのクロだ、それを学園のトップクラスに、騒がれている。
本当に色々と腹立たしい。尚更この人たちの言う事を聞きたくない。
──時間は経ち、ボクらは未だに対面をしている。
ボクと風紀員長はだんだん、お互いを睨むように凝視している。
時々、ピンク髪の女性が声を掛けてくれたが、もう掛けてくる事がない。
何ならば、何処か遠い所を見つめている。
もう特にお互い話す事はない筈、それでも何かしらの意地で、離れようとはしない。
ピンク髪の女性には、申し訳がないと思っている。
ピッピッという音が部屋に響く。
『こちら赤玄クラス付近。問題発生!』
風紀員長の表情が険しくなり、低い声のトーンで喋る。
「一体何が合った?」
『魔剣持った魔人が出現! 至急応援を頼む』
そこで音──声が途切れた。風紀員長は立ち上がり、歩を進めた。
ボクはいつの間にか、風紀員長たちよりさっきに部屋を出ていた。
体が勝手に動く、あの声がもし本当ならば、ユウナさんが危ない! ボクは急いで向かう。
次の瞬間、ボクの耳元に甲高い声が響く。『止まれ!!』耳がキーンとした為、その場に立ち止まる。
『赤玄の場所、分からないのに飛び出すな!』
最初この声が誰か分からなかった。けれど、この少し高い声、ピンク髪の女性だと分かった。
『ワタシの指示通りに動いて!』
「うっす」
ピンク髪の女性の指示通りに動く、螺旋階段までいき、上に登り続ける。
すると、大きな赤い旗がある所が見え、そこには人集りができていた。
ここかユウナさんの新しいクラスであり、問題の場所。
魔人、御伽話や、魔導書で聞く、架空の生物。
姿、形は個体によって異なるが、基本は人間と同じ姿。そこに翼と角を生やした生物。諸説はあるが魔力の塊ともいわれている。
でも、それの全てが御伽話での話。実在するという前例は一回もない。
もし本当に魔人ならば、ボクは命を賭けないといけないかもしれない。
ふぅーと息を吐き、極力、音と気配を消し、周囲に紛れ込む。
「くっそこいつ強いぞ!」
「リステリお前はそこにいろ!」
風紀員二人がユウナさんを守るように、角を生やした赤髪の男と対面している。
黒に近い褐色の肌に、真っ赤な双眸。
そして何より、白を基調としたソロモンの制服を着ていた。
風紀員と魔人の近くにあえる部屋は、ほぼ崩壊状態、風紀員もボロボロだった。
他の見物人になっている人たちは、何故か動こうとはしない。
普通だったらこっちまで被害はある、だけど風紀員の二人が食い止めている。
これだけでかなりの実力を、持っているのが分かる。
それを圧倒している魔人と思わしき物、それはもっと強いのだろう。
魔人は腕を捻り、赤い魔力の塊、それを放出した。
風紀員の二人は構え、迎撃の態勢を取った。
「なんちゅう魔力の濃さだ!」
「オレの魔法で相殺してやる」
魔法に自信がある奴ならば、目の前にある物を相殺しようとする。
ボクが同じ立場ならばそうする。
だけどそれじゃあダメだ! あれは適当に魔法で刺激したら、膨れ上がり爆発する。
複雑に魔力が流れている、このままだとここ周囲が吹っ飛ぶ。
一体どうすればいい? 言葉で伝えるように先に魔法が放たれる。
だったら! ボクは上にロングソードを投げる。
風紀員の二人は上を思わず見る、その隙にボクは二人の前に立つ。
「く、クロ君」
ユウナさんのかそ細い声が聞こえる。きっと後ろで、ユウナさんは泣きそうになってるのだろう。
今すぐ片付けますと、言いたい所だが、実際に目の前にすると、思っていたより複雑だ。
一か八か魔道具を使うか、リスクは高い。
考えている内にロングソードは落ち、地面に突き刺さる。
それと同時に魔力の塊が、ボクの皮一枚ギリギリまでくる。
ッ!! ──赤い魔力の塊が真っ二つに斬れ爆散した。
それはボクらの周囲ではなく、魔人に当たった。
魔人は大きく咆哮をした! どうやら自分が放った攻撃が、痛かったようだ。
「クロ、君に残って貰ったのはこれが理由。これは我々風紀員の間で取扱う」
「どうしてそんな重要な事をボクに?」
風紀員長は何処からか白い本を出す。本を開き、見せてくる。
その内容に思わず生唾を飲み込む。
「こんなのを見せてボクにどうしろと?」
「後々にはこの学園を出て貰う」
「……それは無理だ」
ボクの言葉に風紀員長の目が鋭くなり、低い声で言われる。
「ダメだ、これは命令だ」
「あんたの命令を聞く義理はない。ボクはお嬢様以外の命令は聞かない」
言い終わり様に席を立つと、ボクの体は動かない。
まるで何かに縛られているようだ。
風紀員長は手をかざしている、どうやら魔法で体の身動きができない。
この程度の魔法ならば、簡単に解く事ができる。
でも、それは今ここで風紀員長と、敵対すると同義だろう。
ここで風紀員長とやるのは、死に行くのと一緒だ。
「座りたまえ。話しはまだ終わってない」
「えっとクロ、取り敢えず座って」
ピンク髪の女性は気まずそうに、ボクを見ている。
はぁー、従うように座る。
「君はこの学園にはいない方がいい。それはユウナの為にもだ」
「ボクが魔帝の可能性だから?」
「あぁそうだ。もしその可能性が確信に変わった場合、君はお尋ね物だ」
魔帝、魔帝ってそんなに大事か? ボクは魔帝ではない。
ただのクロだ、それを学園のトップクラスに、騒がれている。
本当に色々と腹立たしい。尚更この人たちの言う事を聞きたくない。
──時間は経ち、ボクらは未だに対面をしている。
ボクと風紀員長はだんだん、お互いを睨むように凝視している。
時々、ピンク髪の女性が声を掛けてくれたが、もう掛けてくる事がない。
何ならば、何処か遠い所を見つめている。
もう特にお互い話す事はない筈、それでも何かしらの意地で、離れようとはしない。
ピンク髪の女性には、申し訳がないと思っている。
ピッピッという音が部屋に響く。
『こちら赤玄クラス付近。問題発生!』
風紀員長の表情が険しくなり、低い声のトーンで喋る。
「一体何が合った?」
『魔剣持った魔人が出現! 至急応援を頼む』
そこで音──声が途切れた。風紀員長は立ち上がり、歩を進めた。
ボクはいつの間にか、風紀員長たちよりさっきに部屋を出ていた。
体が勝手に動く、あの声がもし本当ならば、ユウナさんが危ない! ボクは急いで向かう。
次の瞬間、ボクの耳元に甲高い声が響く。『止まれ!!』耳がキーンとした為、その場に立ち止まる。
『赤玄の場所、分からないのに飛び出すな!』
最初この声が誰か分からなかった。けれど、この少し高い声、ピンク髪の女性だと分かった。
『ワタシの指示通りに動いて!』
「うっす」
ピンク髪の女性の指示通りに動く、螺旋階段までいき、上に登り続ける。
すると、大きな赤い旗がある所が見え、そこには人集りができていた。
ここかユウナさんの新しいクラスであり、問題の場所。
魔人、御伽話や、魔導書で聞く、架空の生物。
姿、形は個体によって異なるが、基本は人間と同じ姿。そこに翼と角を生やした生物。諸説はあるが魔力の塊ともいわれている。
でも、それの全てが御伽話での話。実在するという前例は一回もない。
もし本当に魔人ならば、ボクは命を賭けないといけないかもしれない。
ふぅーと息を吐き、極力、音と気配を消し、周囲に紛れ込む。
「くっそこいつ強いぞ!」
「リステリお前はそこにいろ!」
風紀員二人がユウナさんを守るように、角を生やした赤髪の男と対面している。
黒に近い褐色の肌に、真っ赤な双眸。
そして何より、白を基調としたソロモンの制服を着ていた。
風紀員と魔人の近くにあえる部屋は、ほぼ崩壊状態、風紀員もボロボロだった。
他の見物人になっている人たちは、何故か動こうとはしない。
普通だったらこっちまで被害はある、だけど風紀員の二人が食い止めている。
これだけでかなりの実力を、持っているのが分かる。
それを圧倒している魔人と思わしき物、それはもっと強いのだろう。
魔人は腕を捻り、赤い魔力の塊、それを放出した。
風紀員の二人は構え、迎撃の態勢を取った。
「なんちゅう魔力の濃さだ!」
「オレの魔法で相殺してやる」
魔法に自信がある奴ならば、目の前にある物を相殺しようとする。
ボクが同じ立場ならばそうする。
だけどそれじゃあダメだ! あれは適当に魔法で刺激したら、膨れ上がり爆発する。
複雑に魔力が流れている、このままだとここ周囲が吹っ飛ぶ。
一体どうすればいい? 言葉で伝えるように先に魔法が放たれる。
だったら! ボクは上にロングソードを投げる。
風紀員の二人は上を思わず見る、その隙にボクは二人の前に立つ。
「く、クロ君」
ユウナさんのかそ細い声が聞こえる。きっと後ろで、ユウナさんは泣きそうになってるのだろう。
今すぐ片付けますと、言いたい所だが、実際に目の前にすると、思っていたより複雑だ。
一か八か魔道具を使うか、リスクは高い。
考えている内にロングソードは落ち、地面に突き刺さる。
それと同時に魔力の塊が、ボクの皮一枚ギリギリまでくる。
ッ!! ──赤い魔力の塊が真っ二つに斬れ爆散した。
それはボクらの周囲ではなく、魔人に当たった。
魔人は大きく咆哮をした! どうやら自分が放った攻撃が、痛かったようだ。
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