最強の魔帝の少年〜魔力がゼロの無能と思われているが実は最強。落ちこぼれの令嬢を守る為に力を奮い無双する

黒夜零

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26話 ユウナと風紀員長の関係性

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風紀員長がボクの方に近付いて来た。
相変わらずニヤニヤとしていた、流石に疲れた為、できる事であれば相手をしたくないと思えた。

お疲れクロ、家の連中は強かっただろう?」
「ムカつく程にね。それより魔道具を使ったのが一番の驚きですよ」

風紀員長の顔が急に真剣になった。地面に落ちている魔道具を拾い、少し悲しそうな表情を浮かべていた。

「魔道具はね、本来素晴らしい物何だよ、それでも道具に頼るのを嫌う連中は多い」
「道具を使えば落ちこぼれ、魔法師失格とも言われていますね」

ボクはまだ魔道具を使った事はない。
それでも魔道具の素晴らしさは理解している。
魔力が合っても魔法を使えない人間は、一定数存在する。
そんな人たちが戦う手段として、魔道具が存在している。
少し前までは、魔道具は世界的に使われていた。
だがある一族によってほぼ廃棄されたらしい。
風紀員長は魔道具を見つめ、やはり悲しそうな笑みを浮かべる。
この時、ボクは風紀員長の気持ちが分かったような気がした。

「わっちはね友人の為にも、魔道具を世界に広めたい。その為にはこの学園からだ」

話しを聞いている中で風紀員長は、魔道具を心から愛しているように、感じとれた。
決してそれだけではなく、友人の為とも言った。
その友人が誰かは見当が付く。

「風紀員だけの暗黙のルールがある。それはね魔道具を所有する事」

それならば大量に落ちている、魔道具の理由として理に適っている。
一つ、問題を挙げるとすれば、風紀員の一人一人の力が強いけど、まるで魔道具を活かし切れていない。
本来であればロングソードを、使っているボク相手に楽勝で勝てる。
それでも魔道具の特性を活かせていない。
風紀員長は意識的に、魔道具の理解はしている、他の連中も一緒かといえばきっと違うだろう。
一つ一つの魔道具は強力だ、もし特性を知り、使いかった次第で風紀員長にも勝る。

「一つ聞いてもいいですか? 風紀員長とお嬢様はどんな関係柄ですか?」
「お? 気になっちゃう? なっちゃう?」
「あっじゃあいいです」

そこまでしつこく言われると、聞くのを躊躇ってしまう。
すると風紀員長はボクの腕を掴んでくる。

「ごめん! お願い聞いて……何その顔!?」

あまりにも懇願された為、聞く事にした。
多分、ボクは風紀員長が驚くような表情をしたのだろう。
と、楽観的に考えていた。

「わっちとユウナは簡単にいうと幼馴染」
「昔からの仲なんでしょう?」
「そうそうわっちがまだリステリの分家の時なぁー。本当懐かしい」

ん? 今さらっと凄い事言ったね!? リステリの分家? 風紀員長が? 確かに名家だから合っても不思議ではない。
ただボクは一度も聞いた事がない。ユウナさんや執事長に一切教えて貰ってない。
そもそも分家自体ある事が初耳だ、リステリにあるならば、ヒュウガにもある可能性が高い。
風紀員長がリステリの分家か、強い理由に少し納得している自分がいる。
風紀員長の言葉に、倒れている風紀員が起き上がった。
全員驚愕の表情を浮かべている。
ピンク髪の女性も唖然としている、ユウナさんは遠くを見つめていた。
どうやらここにる全員、知らない様子だ。
それを何も考えずに風紀員長は平然と言った。
この状況だけみると、頭が痛くなってくる。
当の本人は何も気にしてない様子。

「なんか言ってはまずかった?」
「そういう訳じゃないけどさ、普通考えなしで言う?」
「わっちはそんな人間だ、諦めろ」

風紀員長は体を伸ばして呑気にいった。
その姿は自由気ままで、どこかシンを思わせる所が合った。
彼奴とは全然違う、それでも同等か少しの差がある程度の強さ。

「もうここで言っとくか、クロ。風紀員の中でユウナの事をよく思っていない奴はいる」

その言葉を聞いた瞬間、ピンク髪の女性以外は、バツが悪そうに顔を伏せていた。

「それでもわっちはユウナの凄さを知っている!」
「簡潔に言うと?」
「ユウナは風紀員では協力関係。そこに君の力を貸して欲しい」

風紀員長は手を差し出してくる。力を貸すならば手を握れって事か。
ボクは何一つ迷う事もなく手を握る。
風紀員長は握り返してくる。そのまま少しの間、手が繋がった状態。
するとユウナさんがこちらに近付き、勢いよく腕を振り上げ、ボクらの腕にチョップをしてきた。

「いっ痛いな! 何をするのユウナ?」
「別に……」

ユウナさんは顔を背けていた。どうしたのかは分からないが、何となく怒っているような気がした。
確証はない、ただの勘。
ピンク髪の女性が咳払いをし、空気が変わった。
まるでタイミングを見計らっていたようだ。
だがおかげで助かった。流石にあの空気のままだったら気まずい。

「さてとここでお開きにしようね。リステリは新しいクラスに向かいな」
「クロ、君だけはまだここに残ってね。他の奴らは見回りに行って来い!」
「はい!」

風紀員たちは立ち上がり、急いで部屋から出ようとしたが、一向に外に行けてない。
それを見て風紀員長は溜め息を吐き、ピンク髪の女性に目を向けた。
反応するように手を合わせると、空間は縮み、風紀員は外に出ており、ボクも扉近くまで居る。
出れた事が分かった風紀員は、急ぎ足で向かっていた。
ユウナさんも部屋を出た、ボクに手を振って、静かに消えていた。
部屋に残されたのはボクと、風紀員長にピンク髪の女性。
何か言われるのかとビクビクしていると、何処からか椅子を出してきた。

「まぁ取り敢えずそこに座って」

言われるがままに座ると、また何処からか机が出てきて、机の上には紙が並べられている。
その紙の内容に思わず驚愕してしまう。






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