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39話 学園に迫る黒い影
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フォスト当たるまでの間に、結構な時間が必要。
それまでに何かをするのも手だ。
ただひたすら見物ってのもあれだ、これ以上彼奴が新たな事を、するとは考えられない。
最後の調整でもする。
ボクは一人、通路に向かう、止められる事もなく進む。
通路の隅で一回止まる、人の気配がしたから。
「標的……確保、その為にはお前には動いて貰うぞ」
標的、覚悟? 部分的にしか聞こえない。
気配は一人しか感じない、それでも話ている、もう一人くらいいるのは確定。
会話の内容は不明、だが、直感的に不穏と思う。
少し聞き耳を立てる、もし危険ならば捕縛する。
「誰だそこにいるのは?」
「っ!!」
「おい、誰かいるのか?」
距離はどのくらい離れているか分からない。
ボクは音も気配も消した、それなのに気付かれた。
声から人物は二人、一人はボクの気配に気付き、もう一人は分かっていなかった。
だったら最短距離で倒した方がいい!
「いや気のせいかもしれない。それでも場所を変えよう」
「分かった。あんたの言う通りにする」
足音が広い廊下に響く、悔しい事にボクの体は止まる。
それと一緒にホッとした自分がいる。
いつからだ? こんなに意志まで弱くなったのは。
「気持ちから負けているじゃないか。こんなではフォストに勝つ以前に、ユウナさんを守れない」
今のままではダメだ、意識から変えないと、そうしなければ勝てる物も勝てない。
元々ボクは弱い存在、それをユウナさんは拾ってくれた。
あの人の期待を応える、その為には今からでも意識を変える。
「あっクロ! いい所に居った」
足を進めようとした時、声を掛けられる。
声の方に振り向くと、ローブを羽織ったピンク髪の女性。
「リリィ先輩、アナウンスはどうしたんですか?」
「あぁ代わって貰ったよ。それにトーナメント明日だし、それでも色々と注意喚起を説明されている所かな」
「そうですか、それでボクに何か用ですか?」
聞き返すと、リリィ先輩の空気が変わる。
「結構緊急案件かな、有無を言わさずに付いて来て」
「分かりました」
始めてリリィ先輩から圧を感じた、しかも無言の圧。一番怖い。
優しい人程、圧を掛けてくると怖い。
リリィ先輩は前に進み、歩き出す。
ボクは後ろに付いていく、廊下を進み、螺旋階段を登る。
「やぁやぁ集まったね、風紀員の諸君」「複数人は怪我で医療室にいるけど」
「細かい事はいいんだよ。これから緊急で風紀員会議を始める」
風紀員長は椅子に座り、偉そうに語っていた。
それにリリィ先輩が呆れながら言う。
リリィ先輩が言ってた緊急案件は、会議の事か、ボクは周りを見渡すと、少し変わった風紀員室を見る。
部屋には風紀員が揃っている、全員ではない。
「会議を始めたのは言うまでもない、学園に不穏分子を見つけた」
パチンと風紀員長は指を鳴らす、目の前に机が現れ、その上には白い布を被った人がいる。
座っている訳ではなく倒れている。
なんだこれ? ボクは机に近付く。何も考えずに布を取る。
そこには見知った顔がある、二つの意味で、他の風紀員から反応はない。
つまりこれを知らないのはボクだけ。
「わっちが指示を出す前に見るんじゃない。まぁいいけど、それを見て何か思う事は?」
「驚きはしましたね色んな意味で、不穏分子はこれに関係している?」
ボクの問いに風紀員長は首を縦に振る。
あぁ予想外の事が起きた、魔導戦──ソロモンに波乱が起きる。
さっき話していた謎の会話、あれも何か関係しているのか?
「風紀員はこれから先、学園の敵を探し、殲滅しろ」
「今は魔導戦とかあるけど、気を緩めずに見回りをしてね。もし何か一つでも問題があれば、私かアルトリアに連絡して」
「了解です!」
どっちが風紀員長か分からない、会議はそれからも続き、終わった。
風紀員はたちは解散し、風紀員室にはボクと風紀員長たちがいる。
「君は帰らないのかクロ」
帰りたくても帰れない、この惨事に近いのを見ると。
机の上には白を基調とした制服、頭には角を生やしている。
ボクが殺したである魔人がいる、しかも安らかに眠っている。
死んでいるのだから間違ってはいない。
問題はここからだ、確かにボクが殺した魔人ではある。
だけど、目の前の顔は間違いなく、ボクと戦ったドルグア。
「残酷な物だよなぁ、人間を魔人に変えるとは、人の越えてはいけない領域に踏み入れている」
風紀員長の言う通り、確かに残酷だ。
人のする所業ではない、まず魔人にするのは人がやったかも怪しい。
人間を魔人に変えれる存在、ボクは全く想像が付かない。
可能性としては二つ、かなり腕の立つ魔法師が、人体実験をし魔人に変えた。
もう一つは架空の存在の悪魔、悪魔が何かしらの力で魔人に変えた。
どちらも現実的ではない。
「考えるだけ無駄だぞ? もうソロモンの人間でこいつを解剖した」
「解剖した割には綺麗ですけど?」
「当たり前だ。遺族に返すんだ、惨い状態で渡せない」
それもそうか、解剖したって事は多少の情報は出ている。
その上で考えるだけ無駄って答え。
「複雑で決して解読ができない魔力が、刻まれていた。人間がやったとは到底思えない」
「それでも他の生物がやったとも考えれない」
「クロは物分かりがいいから、私たちも楽しているよ」
その問いに何ともいえない感情を抱く、複雑な魔力が刻まれていた。
もしそれを解読できれば、魔人の謎も分かる。
まぁボクには到底できない事だ。
「それじゃあボクも戻ります」
「もし何か分かったら遠慮なく言え」
頷き、風紀員室から出ていく、ボクは廊下を歩きながら考える。
ドルグアは決して強くない、それなのに魔人は信じられない程強かった。
ドルグアであれくらいの強さ、もしもレベルの高い魔法師が、魔人になったら……考えるのはやめよう。
「ドルグアの魔人化、それは全く分からないなぁ、それでも可能性がある」
ドルグアには協力者がいた筈、そいつが何かを噛んでいると、ボクは推測する。
魔導戦が終わったら、次に魔人化をさせた人間探しか。本当に忙しくなる。
ボクはまだこの時、気付きもしなかった。魔導戦の裏で暗躍が起きている。
◇
それまでに何かをするのも手だ。
ただひたすら見物ってのもあれだ、これ以上彼奴が新たな事を、するとは考えられない。
最後の調整でもする。
ボクは一人、通路に向かう、止められる事もなく進む。
通路の隅で一回止まる、人の気配がしたから。
「標的……確保、その為にはお前には動いて貰うぞ」
標的、覚悟? 部分的にしか聞こえない。
気配は一人しか感じない、それでも話ている、もう一人くらいいるのは確定。
会話の内容は不明、だが、直感的に不穏と思う。
少し聞き耳を立てる、もし危険ならば捕縛する。
「誰だそこにいるのは?」
「っ!!」
「おい、誰かいるのか?」
距離はどのくらい離れているか分からない。
ボクは音も気配も消した、それなのに気付かれた。
声から人物は二人、一人はボクの気配に気付き、もう一人は分かっていなかった。
だったら最短距離で倒した方がいい!
「いや気のせいかもしれない。それでも場所を変えよう」
「分かった。あんたの言う通りにする」
足音が広い廊下に響く、悔しい事にボクの体は止まる。
それと一緒にホッとした自分がいる。
いつからだ? こんなに意志まで弱くなったのは。
「気持ちから負けているじゃないか。こんなではフォストに勝つ以前に、ユウナさんを守れない」
今のままではダメだ、意識から変えないと、そうしなければ勝てる物も勝てない。
元々ボクは弱い存在、それをユウナさんは拾ってくれた。
あの人の期待を応える、その為には今からでも意識を変える。
「あっクロ! いい所に居った」
足を進めようとした時、声を掛けられる。
声の方に振り向くと、ローブを羽織ったピンク髪の女性。
「リリィ先輩、アナウンスはどうしたんですか?」
「あぁ代わって貰ったよ。それにトーナメント明日だし、それでも色々と注意喚起を説明されている所かな」
「そうですか、それでボクに何か用ですか?」
聞き返すと、リリィ先輩の空気が変わる。
「結構緊急案件かな、有無を言わさずに付いて来て」
「分かりました」
始めてリリィ先輩から圧を感じた、しかも無言の圧。一番怖い。
優しい人程、圧を掛けてくると怖い。
リリィ先輩は前に進み、歩き出す。
ボクは後ろに付いていく、廊下を進み、螺旋階段を登る。
「やぁやぁ集まったね、風紀員の諸君」「複数人は怪我で医療室にいるけど」
「細かい事はいいんだよ。これから緊急で風紀員会議を始める」
風紀員長は椅子に座り、偉そうに語っていた。
それにリリィ先輩が呆れながら言う。
リリィ先輩が言ってた緊急案件は、会議の事か、ボクは周りを見渡すと、少し変わった風紀員室を見る。
部屋には風紀員が揃っている、全員ではない。
「会議を始めたのは言うまでもない、学園に不穏分子を見つけた」
パチンと風紀員長は指を鳴らす、目の前に机が現れ、その上には白い布を被った人がいる。
座っている訳ではなく倒れている。
なんだこれ? ボクは机に近付く。何も考えずに布を取る。
そこには見知った顔がある、二つの意味で、他の風紀員から反応はない。
つまりこれを知らないのはボクだけ。
「わっちが指示を出す前に見るんじゃない。まぁいいけど、それを見て何か思う事は?」
「驚きはしましたね色んな意味で、不穏分子はこれに関係している?」
ボクの問いに風紀員長は首を縦に振る。
あぁ予想外の事が起きた、魔導戦──ソロモンに波乱が起きる。
さっき話していた謎の会話、あれも何か関係しているのか?
「風紀員はこれから先、学園の敵を探し、殲滅しろ」
「今は魔導戦とかあるけど、気を緩めずに見回りをしてね。もし何か一つでも問題があれば、私かアルトリアに連絡して」
「了解です!」
どっちが風紀員長か分からない、会議はそれからも続き、終わった。
風紀員はたちは解散し、風紀員室にはボクと風紀員長たちがいる。
「君は帰らないのかクロ」
帰りたくても帰れない、この惨事に近いのを見ると。
机の上には白を基調とした制服、頭には角を生やしている。
ボクが殺したである魔人がいる、しかも安らかに眠っている。
死んでいるのだから間違ってはいない。
問題はここからだ、確かにボクが殺した魔人ではある。
だけど、目の前の顔は間違いなく、ボクと戦ったドルグア。
「残酷な物だよなぁ、人間を魔人に変えるとは、人の越えてはいけない領域に踏み入れている」
風紀員長の言う通り、確かに残酷だ。
人のする所業ではない、まず魔人にするのは人がやったかも怪しい。
人間を魔人に変えれる存在、ボクは全く想像が付かない。
可能性としては二つ、かなり腕の立つ魔法師が、人体実験をし魔人に変えた。
もう一つは架空の存在の悪魔、悪魔が何かしらの力で魔人に変えた。
どちらも現実的ではない。
「考えるだけ無駄だぞ? もうソロモンの人間でこいつを解剖した」
「解剖した割には綺麗ですけど?」
「当たり前だ。遺族に返すんだ、惨い状態で渡せない」
それもそうか、解剖したって事は多少の情報は出ている。
その上で考えるだけ無駄って答え。
「複雑で決して解読ができない魔力が、刻まれていた。人間がやったとは到底思えない」
「それでも他の生物がやったとも考えれない」
「クロは物分かりがいいから、私たちも楽しているよ」
その問いに何ともいえない感情を抱く、複雑な魔力が刻まれていた。
もしそれを解読できれば、魔人の謎も分かる。
まぁボクには到底できない事だ。
「それじゃあボクも戻ります」
「もし何か分かったら遠慮なく言え」
頷き、風紀員室から出ていく、ボクは廊下を歩きながら考える。
ドルグアは決して強くない、それなのに魔人は信じられない程強かった。
ドルグアであれくらいの強さ、もしもレベルの高い魔法師が、魔人になったら……考えるのはやめよう。
「ドルグアの魔人化、それは全く分からないなぁ、それでも可能性がある」
ドルグアには協力者がいた筈、そいつが何かを噛んでいると、ボクは推測する。
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