最強の魔帝の少年〜魔力がゼロの無能と思われているが実は最強。落ちこぼれの令嬢を守る為に力を奮い無双する

黒夜零

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46話 ユウナが狙われた理由

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「ほう? 好きにしていいか」

魔人は口角を上げ、不適な笑みを浮かべた。
なんでこんな時に足を止める! こういう時こそ体を動かせ、オレの気持ちとは裏腹に体は動かない。

「リステリ言った言葉は取り消せないぞ」

魔人の言葉に妙な圧力がある、気を抜くと気押されそうだ。
ここで負けては駄目だ、オレが来た意味がない。

「フッ、まぁいい、リステリ貴様には大事な役目が存在する」
「役目? 役目って一体なんなのよ!」
「そこの無能もしっかり聞いてろよ」

魔人は相変わらず歪な笑みを浮かべ、ペラペラと説明をしだす。

「リステリ、貴様は魔帝の力を秘めている、それは貴様の家系が関係している」
「えっ私に魔帝の力が……?」

魔人は説明を辞めない、ユウナさんは複雑そう表情を浮かべる。
正直ユウナさんに魔帝の力が、あるのは妥当な話しだ。
魔帝とリステリの関係性的に、不思議ではない。

「魔帝の力は力でも世の中に出してはいけない、禁断の力さ、それを我々のボスは必要としている、その為にも魔帝が生涯愛した剣を寄越せ!」

どうやらオレの推測は見当外れのようだ。逆にこれを予想できたら凄い。
そもそも魔帝の力ってなんだよ! ますます理解ができない。
禁断の力ってなんだ? そんなの今考えている暇はないか、目的を忘れるな。
あいにく魔帝の魔道具、奴が欲っしてる物はオレが所持している。

「なぁ禁断の力ってなんだ? それに何故魔帝の魔剣が必要?」

少しでもいい話題を振って時間を稼げ、話しはしっかり聞く、それでも戦略を練る。

「魔帝は人類の中で最強の魔法師、様々な力を所有し、その中でも封印をされた力がある、それはリステリ家ですら知らない」

逆になんでお前は知っているんだよ、とツッコミたいが、さっきから言っているボスが関係している。
一体どんな奴かは想像つかない、一つ確かな事は知的だ。

「禁断の力、『禁羅支配ヴァルナノヴァ』」

全く分からない、ユウナさんも唖然としているし、『禁羅支配ヴァルナノヴァ』がどれまでの強さかは測りしれない。

「知らなくても可笑しくはない、『禁羅支配ヴァルナノヴァは、自分を含む定めた空間の中で魔法を封殺し、倍増して反射をする」

それの何が禁断の力なのか、分からない。あくまでオレはだ、ユウナさんの顔色が悪くなる。

「その力だけならばまだ可愛い、相乗させ剣によって一撃を払う」
「無能は分かってないが、流石は所持者でリステリだ。魔帝の剣は魔帝の全ての力が注ぎ込まれている」

一つの力だけで考えると軽い物だ、それに魔剣を合わせれば別の話し。
魔帝の魔剣は魔帝の力が注がれている、それにさっきの力を相乗させれば、恐ろしい。
魔帝の力を倍増して放っているのだから。
更なる向上の力や、相手に反射を更に苦しめるって、力もあり得る。
まだ解明されてない未知数の力が、魔帝の剣には存在する。

「さぁ話しは終わりだ、リステリお前にはこの扉の先を開け、オレと来て貰う」
「ユウナさん開けては駄目だ。こっちを気にかけなくていい」
「でも……」

そんな心配そうな顔をしないでくれ、前まであんなに信用があったのに、今ではもうない。
やっぱ負けるのは嫌だな、一回負けただけでこの様だ。

「ボクを信用して下さい。今度こそは必ず勝ちます! 一緒にソロモンへ帰りましょう」
「ッ!! うん! 一緒に帰ろう」

これで安心をしてくれたのか、分からない。
戦略は全く練れなかった、正確には練ったが全て通用しない。
何とかするしかないな。
ロングソードを握り直し、構える、オレは別に剣士でもなんでもない。ただの執事だ。

「なんだ交渉不成立か、だったら死ね!」

魔人は手を合わせ、膨大な魔力量のエネルギー弾を生み出す。
あの時のように斬り捨てれるかは不明、それでもやるしかない。

「来いよ、斬り落とす」

魔人は器用にエネルギー弾を、片手に持ち、放った。
物凄い速さで迫ってくる、剣を上段に構え振り下ろす。
タイミングはよく、エネルギー弾の真上に刃が入る。
くっそ!! 全く刃が通らない、それ所か押され始めてきた。

「人間の無能如きが防げない」
「確かになぁ、前の自分だったら防げてないさ」

でも今は違う、あの時──ドルグアの魔人と対戦した時と違い、オレには専用の魔道具がある。
金色の指輪で精密な魔力操作、魔力を出すのは今でも苦手だ。
だが、この指輪のおかげで解消されている。ロングソードに魔力を注ぎ、纏わせる。
腕にも魔力を流し、剣がスムーズに入り、エネルギー弾を切り落とす。

「おいおい何をした?」
「見て分からんか? エネルギー弾を切り落としたに過ぎない」

ユウナさんも魔人も驚いている、不思議ではないだろう、あの時は全く何もできず、敗北した。
直後、エネルギー弾が爆散し、オレと魔人の間に煙が立つ。
これにより視界は奪われる。

「邪魔くさい煙だ!」

魔人の苛立つ声が聞こえる、視界を奪われば、無闇には動けない。
それは普通の場合だ、魔力の流れ、気配を感じれるから場所把握はできる。
まず、魔人と戦闘より、ユウナさんの確保が先。
音と気配を殺し、ユウナさんに近付く。

「ユウナさん大人しくして下さいね」

小声で話しかける、ユウナさんは相槌を打つ。
魔人は煙をひたすらに払っている、今ならば隙がある。
連れ出すタイミングかもしれない。

「兄ちゃん、好き勝手されたら困るぜ」

男の声と共に体が硬直する、最悪な事に煙も晴れた。

「遅いんだよ馬鹿野郎。こんなガキから満足に情報を聞き出せないのか?」
「あ? 誰の手柄だと思っている!!」

口論? この時脳裏に通路での話し声を思い出す。
あの時の会話、やっぱりこいつらか、それよりこの男、何処から出てきた? 体はまだ硬直している。
けれど、片腕くらいは動かせる、魔人ではなく、この男ならば捻り潰せる。

「調子乗っていると殺すぞ! クソ人間が」
「なんだとてめぇ……!」

ロングソードを放し、右腕を勢いをつけ振る。
右手の裏拳が男の顔面を捉える。男は勢いに乗って、地面に転がる。
それを見た魔人が腹を抱えて笑い飛ばす。

「ギャハハハ、やられているじゃねぇかバーカ。ケッケッケ」

今の衝撃で体が正常に戻る。
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