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45話 ユウナのいる場所

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オレの一言は屋敷内に反響する。この言葉を魔人が、聞いて反応してくれれば一番楽。
まぁ現実はそこまで甘くはない。
屋敷内で魔力の流れを消す方法、そんな物は普通はない。
魔人にそんな技術があるならば別。
だけど、ユウナさんにはない。

「いくら考えてもまとまらない。地道に部屋を探すしかない」

しらみつぶしに部屋を見る、何処にも魔人やユウナさんはいない。
それ所か、魔力の残影すらない。
まだ一つだけ見てない所はあるが、一番の可能性が低いと思われる場所。

「行くだけ行くしかないな」

踵を返し向かう。屋敷内は綺麗なまま、一切の傷もない。
玄関には争った痕跡は合った、執事長が一方的にやられたのか、それとも起死回生に一撃を入れたのか、気になる所。
そんな事を考えている間にも残りの部屋に着く。

「やはりここしかないな、執事長と使っていた特訓部屋」

特訓部屋はリステリ邸の中で、一番魔力がこもっている部屋。
しかし疑問も抱く、もしこの部屋にいるのであれば、多少の気配は感じる。
扉に手をかけ開くと、そこには誰もいなかった。

「おいおいふざけんなよ! ここにいなければ何処にいるんだよ!!」

オレは感情任せに床を殴る、ドンっと音が響く。
それと同時に奥の壁が少しズレる。

「今奥の壁がズレた? なんで……だ」

無意識に魔帝の魔道具に触れる。執事長はこれをオレに渡す時、奥に向かった。
もしかしたらあの奥の壁、あそこに何か秘密がある。
慎重に近付く、壁の最奥付近までに行く、壁に触れる。
と、ギギギッと音が鳴る、壁は横にズレた。
ズレたその先には地下に繋がる階段。
次にポケットにある、ヴァニタスの魔導書を触れる。

「地下の禁断書庫……ここならば隠れれる」

特に確証なんかない、ただ自分の直感がそう言っている。
階段を降りる、だんだんと魔力の流れが強く、濃くなっていく。

「一体どんだけ続くんだ?」

それなりに階段を降りたが、まだ続いている。
降りるだけで疲労する、それからひたすらに階段を降りると、およそ二メートルを越える二つ扉。
扉の前、階段の間には無駄に広い空間がある。

「早く言え」

何か声が聞こえる、話し声か? 音と気配を殺し、聞き耳を立てる。

「魔帝の武器のありかを早く答えろ!」
「絶対に嫌だ! 貴方なんかに答えない!」

この声は!! ユウナさんの声、必然的に話し相手は魔人。
今すぐにでも突撃したいが、それでは学園にいた時と同じだ。
隙を伺え、タイミングを見計らう。

「答えないとお前を殺す!」

くっ! 抑えろ、今出ては駄目だ。
今すぐにでも飛び出しそうな、体を力づくで抑える。

「貴方たちに教えても使いこなせない!」
「どうだろうな! あの方ならばきっと使いこなせる」

あの方? それに会話的にこの魔剣、そうか、全て分かった。
どうして魔人がユウナさんを攫い、リステリ邸の地下にいるのか。
全てに線が繋がった。
魔帝の事をリステリ家は代々伝承している、地下には魔帝の何かしらの道具が封印されているだろう。
それを手に入れる為にはユウナさんが必要。
だからわざわざ攫い、ここにいる。

「まぁ情報を渡さないならば、少し痛い目に遭って貰う」

もうこのタイミングしかない! オレは急いで階段を駆け降りる。
ロングソードを肩に担ぎ、魔人に斬り掛かる。

「な、なんで貴様がここに!?」
「その顔始めて見たよ!」

虚をつく攻撃なのに魔人は簡単に避ける。オレが現れた事に驚愕し、一瞬、体を止めた。
間髪入れずに魔人を蹴り抜く。
魔人の顔が歪む、反撃の余地なんかやらない! 片手で剣を振る。

「はぁはぁ、流石にちょっと焦ったぞ!」
「嘘つけ、大分焦っただろ?」

オレと魔人は軽口を叩き合う、あの攻撃を避けるか。
蹴りを入れ、魔人の体勢が崩れ、そこに剣を振る。
コンビネーションとしては、結構高かった筈、それなのに簡単に避けられた。

「そんな事がどうでもいい、よくこの場所が分かったなぁ」
「貴様の考える事くらい分かる」
「分かりやすい嘘だなぁ、まぁいいさ。お前はここで死ぬんだからなぁ!」

魔人はさっきまでの焦りと違い、戦闘体勢。
さっきのでやれなかったのは惜しい。
とはいえ、必ず奴に勝てるとも限らない。
魔人はこちらに向かう。

「まっ待って! 私の事は好きにしてもいい! だからクロ君には手を出さないで」

ユウナさんの啖呵を切る言葉、それを聞き、ここに来て始めて見る。
目から涙を流し、オレを真っ直ぐ見ている。
こんなに見られているのに、一切気付く事ができなかった。









































































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