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原爆の日2
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私が当事長崎についたのは、原爆投下から三日後のことだった。
壊滅との報を聞き、絶望的な気持ちで長崎に帰った私は、目の前の惨状を見て、家族はもう助かってはいないだろうと直感した。
どこが何かもわからない。黒く荒れ果てた瓦礫の荒野があった。
瓦礫の山で、街の跡形さえも消え去った光景に、地理感覚があるわけがなく、探すあてもまたなかった。何が起こったのかも理解できず、麻痺した理性で目の前を認識していくのが精一杯だった。
私が思い出せるのは、瓦礫の山と、焼けただれた死体の数々。黒く固まった死体らしき物体。そして、川辺で水を求めて死んでいる数多くのこげた死体。そして、完全に肉片の飛び散った瓦礫と同じように見える骨の欠片らしきもの。焼却しようと山になって焼かれている死体。そして焼却もできずに積み上げられた死体。死体。死体。死体。生き残った人々を救済しようと集まった救護班も、充分な体制がないために多くの命が消えていくのをなす術もなく見送るしかなかった。
むせ返るような異様な臭い。肉のこげた匂いや瓦礫の焼けた臭い。獣の腐ったような臭い。様々な臭いが街中を包んでいた。いや、もはやそれが何の臭いかもわからない。なんの臭いがしたのかもわからなくなるほどだった。
もはや、そこに立ち尽くすだけで家族を捜索するのは不可能に近いと思った。死体の山から、家族を見つけるのは無理だった。瓦礫の中から家族らしき欠片すらも見つけるのは困難だった。何度もその惨状を見ては吐いた。ものもろくに食べていない胃からは、胃液しか出なかった。内臓をひっくり返すような異様な臭いが嘔吐をまた誘った。
すべてが地獄だった。
断片的で鮮明な光景だけが今でも写真のように脳裏に浮かぶ。
爆心地の近くでは、そこにいるだけで死ぬといううわさが一部飛び交い、私は地獄から逃げるようにして福岡に戻った。もう、その光景から逃げたかった。私は逃げる途中で、農作業をしていた土臭い女に出会った。
農作物をかごに背負い、顔も土で汚れた女だった。私はようやくそこで生身の柔らかい肌を持っている生きた人間を見た気がした。極度の緊張状態にあり麻痺していた理性が、一気に生への衝動を感じ、湧き上がるような欲情を覚え、その女を犯した。
土の香りがした。
自分でも理由がわからぬほどに、酷く生きていることへの興奮を覚え、自分の一物はこれ以上ないほどに硬く、そそり立っていた。妙な高揚感と、興奮から、嫌がり抵抗するという生をもろに感じる幸福感が余計に私の獣のような衝動を駆り立てた。
抵抗する女の手首を掴みながら、力強く押し倒し、土の上で汚れながらも暴れる女の薄い農作業着を無理やり脱がし、乳房を荒々しく掴んだ。涙を流して泣き叫ぶ女に、より興奮を覚えた。その必死の咆哮に、生のうごめきを見た。
私は生きている。私は生きている。そして女もこの通り、人間で、ちゃんと生きている。
生きている女。生きている人間。喜怒哀楽を示す生身の人間を犯しているという快楽が、死者の世界から帰ってきた自分に、生と性の興奮を与え続けた。死臭のあとの、土の優しい匂い。女の体からわきあがる、かすかな甘い芳香。抵抗するごとに汗ばんでくる女の肌。無理やり脱がし、最後の抵抗を押し切って開いた女の股の間に一物を深くねじ入れる。女の中の熱が一物から伝わってきて、涙の出そうなほどに感動を覚える。力強く抱きつくようにして嫌がる女を押さえつけながら腰を懸命に振る。そしてうっすら浮かんでくる水玉のような女の額の汗からは、より甘い香りがして、私は女の唇をむさぼるようにして奪った。
壊滅との報を聞き、絶望的な気持ちで長崎に帰った私は、目の前の惨状を見て、家族はもう助かってはいないだろうと直感した。
どこが何かもわからない。黒く荒れ果てた瓦礫の荒野があった。
瓦礫の山で、街の跡形さえも消え去った光景に、地理感覚があるわけがなく、探すあてもまたなかった。何が起こったのかも理解できず、麻痺した理性で目の前を認識していくのが精一杯だった。
私が思い出せるのは、瓦礫の山と、焼けただれた死体の数々。黒く固まった死体らしき物体。そして、川辺で水を求めて死んでいる数多くのこげた死体。そして、完全に肉片の飛び散った瓦礫と同じように見える骨の欠片らしきもの。焼却しようと山になって焼かれている死体。そして焼却もできずに積み上げられた死体。死体。死体。死体。生き残った人々を救済しようと集まった救護班も、充分な体制がないために多くの命が消えていくのをなす術もなく見送るしかなかった。
むせ返るような異様な臭い。肉のこげた匂いや瓦礫の焼けた臭い。獣の腐ったような臭い。様々な臭いが街中を包んでいた。いや、もはやそれが何の臭いかもわからない。なんの臭いがしたのかもわからなくなるほどだった。
もはや、そこに立ち尽くすだけで家族を捜索するのは不可能に近いと思った。死体の山から、家族を見つけるのは無理だった。瓦礫の中から家族らしき欠片すらも見つけるのは困難だった。何度もその惨状を見ては吐いた。ものもろくに食べていない胃からは、胃液しか出なかった。内臓をひっくり返すような異様な臭いが嘔吐をまた誘った。
すべてが地獄だった。
断片的で鮮明な光景だけが今でも写真のように脳裏に浮かぶ。
爆心地の近くでは、そこにいるだけで死ぬといううわさが一部飛び交い、私は地獄から逃げるようにして福岡に戻った。もう、その光景から逃げたかった。私は逃げる途中で、農作業をしていた土臭い女に出会った。
農作物をかごに背負い、顔も土で汚れた女だった。私はようやくそこで生身の柔らかい肌を持っている生きた人間を見た気がした。極度の緊張状態にあり麻痺していた理性が、一気に生への衝動を感じ、湧き上がるような欲情を覚え、その女を犯した。
土の香りがした。
自分でも理由がわからぬほどに、酷く生きていることへの興奮を覚え、自分の一物はこれ以上ないほどに硬く、そそり立っていた。妙な高揚感と、興奮から、嫌がり抵抗するという生をもろに感じる幸福感が余計に私の獣のような衝動を駆り立てた。
抵抗する女の手首を掴みながら、力強く押し倒し、土の上で汚れながらも暴れる女の薄い農作業着を無理やり脱がし、乳房を荒々しく掴んだ。涙を流して泣き叫ぶ女に、より興奮を覚えた。その必死の咆哮に、生のうごめきを見た。
私は生きている。私は生きている。そして女もこの通り、人間で、ちゃんと生きている。
生きている女。生きている人間。喜怒哀楽を示す生身の人間を犯しているという快楽が、死者の世界から帰ってきた自分に、生と性の興奮を与え続けた。死臭のあとの、土の優しい匂い。女の体からわきあがる、かすかな甘い芳香。抵抗するごとに汗ばんでくる女の肌。無理やり脱がし、最後の抵抗を押し切って開いた女の股の間に一物を深くねじ入れる。女の中の熱が一物から伝わってきて、涙の出そうなほどに感動を覚える。力強く抱きつくようにして嫌がる女を押さえつけながら腰を懸命に振る。そしてうっすら浮かんでくる水玉のような女の額の汗からは、より甘い香りがして、私は女の唇をむさぼるようにして奪った。
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