宇宙戦記:Art of War ~僕とヤンデレ陛下の場合~

土岡太郎

文字の大きさ
63 / 154
第3章 北ロマリア戦役

新たなる戦いへ 03

しおりを挟む
 


 要塞攻略が終わって、次の日―

 フランの指示通り、要塞にやってきた艦隊に事後を任せたルイは、修理の必要な艦を置いてボローナに向けて艦隊を進発させる。

「大佐、昨日の要塞戦の疲れがまだ抜けていない者もいるでしょう。航行中、交代で休息するように命じてください。おそらくボローナに到着すれば、そのまま戦場に向かうことになるでしょう」

「やはり、そうなりますか…」
「おそらく…」

 司令官の読みを聞き、自分の読みと照らし合わせたシャルトー大佐は、各艦に班交代で休息するように指示を出し始める。

 往路は隕石を運ぶためにワープが使えなかったが、帰路はワープを使った為に2日早い約6日で到着することが出来た。

 惑星ボローナの宙域には、フラン艦隊とヨハンセン艦隊、ワトー分艦隊それと今迄の戦いで拿捕した敵艦1500隻が展開していた。

「ロマリア侵攻艦隊は約1万。我が艦隊の総数は約9000。それを補うための拿捕した艦という訳ですな。ですが…」

 その拿捕艦隊を見たシャルトー大佐は、懸念をルイに進言しようとしたが、ルイもそのことには気付いており、彼にこう答えることにした。

「大佐の懸念はわかります。ですが、聡明な殿下がその事に気付かない訳がありません。きっと、それを踏まえてのことでしょう」

「それもそうですな」

 大佐はあのチート級の軍事の天才が、自分如きが気付くことを気付かないはずはないとルイの反論に納得する。

(それに、クレールさんやロイクさん、なによりヨハンセンさんが、その事を進言しないわけがない)

 ルイはボローナ到着早々にフランに呼び出されたので、そう思いながらも一応この懸念の事を聞いておくことにした。

 いつもの通りに、フランの部屋に呼び出されたルイは、早速彼女に懸念を問い質すが、それに対する説明を聞いた彼は自分の心配が杞憂であったことを知る。

「フフフ。ルイ、中々良い作戦だろう?」
「さすがフラン様です」

「そうだろうと言いたいところだが…」
 そう答えた彼女は少し不機嫌な感じでいた。

 その事に気付いたルイが、フランに不機嫌な理由を尋ねると彼女は、先程までの不機嫌な顔が嘘のように喜びの表情に変わって、更に照れた顔になり肩に掛かる銀色の髪を照れ隠しで触りながらこう言ってくる。

「ルイは私の気持ちの変化がわかるのか~。それだけ、私の事を見てくれているってことだな~」

(いえ、別にそこまでは見ていません。ただ、付き合いが長いから、解るだけです)
 ルイは心の中でそう思いながら、苦笑いするしかなかった。

 何故なら、そのようなことを言えば、どうなるかは火を見るよりも明らかであったからである。

「私が不機嫌に見えたのは、この作戦をヨハンセンも考えついてことだからだ」
「流石ヨハンセン閣下ですね」

「優秀な人材は貴重だ… だが、優秀すぎる部下は…」

 フランは洋扇を広げて口元を隠しながら、目線をルイから逸してそう呟いた。

(後顧の憂いとなるか…)

 ルイはフランが口元を隠して、自分から目線を逸らせる時は、大抵自分に知られたくない事を考えている時だと解っていた。

「では、食事としようか!」
 フランはそう言って、キッチンに向かうとカレーを温め始める。

(なんだと…)

 ルイは驚愕する、何故ならせっかく一週間前に毎日食べて消費したばかりで、暫くは見たくもないというカレーがまたもや現れたからである。

 今のフランに作れる料理は、カレーとシチューだけであり、シチューは以前さんざん作ったので、今回はカレーを作ったのである。

「さあ、召し上がれ☆」

 フランは満面の笑みで、彼の前にカレーを出してくる。

「いただきます…」
 彼はカレーを食べ始める。

 カレーを食べているルイに、フランは満を持した感じでこのような事を聞いてくる。

「そうだ、ルイ。ワインは赤と白どちらがいい? ビーフカレーだから、赤が合うらしいが。それとも、シャンパンにするか?」

「フラン様、お酒は二十歳からですよ!」

 真面目なルイはいつかのようにフランを嗜めるが、彼女はしたり顔でこう答えてくる。

「なんだ、オマエは知らないのだな。今回の出兵の前に法律を変えて、酒は一七歳からとしたのだ」

 ルイが”どうして、そんな事を?”と質問しようとする前に、フランはそのチート的な読みで先に理由を答える。

「理由は金だよ。年齢を引き下げれば、その分酒が売れて酒税が増えるであろう? それを足りない予算に充てるためだ」

「私は、お酒は結構です…」
 法律を正当な手段と理由で変えたとなればルイには、こう言うしかなかった。

 そして、ルイは自分は酒は飲みませんとばかりに、予め用意されていたコップの水を一口飲む。

「そうか…。なら、私は肉に合うという赤でも飲もうかな」
 フランはそう言って、グラスに赤ワインを注ぎ一口飲む。

 フランはワインを半分空けたところで、少し酔ったのかこのような事を言い出す。

「なんか暑くなってきたな…」
 そして、黒いゴスロリ軍服の上着を脱ぎだす。

「まだ、暑いな…」

 そう言ってフランは、上着の下に着ていたシャツのボタンを上から一つだけ外し、白い肌を露わにさせる。

 本当は二つ外して、胸元をルイに見せて誘惑するつもりであったが、恋愛中学生のフランには恥ずかしくて出来なかった。

 そう、実はフランは酔ってはいない!
 同じく酒が飲めないフランが飲んでいたのは、中身を入れ替えた葡萄ジュースである。

 ルイが鎖骨フェチなら、ワンチャンあったかも知れないが、残念ながら彼はそうではないので、彼女の綺麗な鎖骨を見ても白い綺麗な肌だなと思うだけであった。

 こうして、フランの<ドキドキ大人の誘惑ディナー作戦>は、<久しぶりの食事会>となってしまった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不死身のボッカ

暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。 小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。 逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。 割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。 ※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。 ※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。 ※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。 ※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...