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第4章 第一次対大同盟戦
大同盟の足音 04
しおりを挟む大同盟の宣戦布告が迫る中、フランもただ手を拱いたワケではなく、同盟国であるエゲレスティア、ロマリアと連携を取りながら、外務大臣ヴァランタンを使って隣国である【スイッス連邦】との同盟に成功する。
【スイッス連邦】は中立の立場に居たが、過去にドナウリアから独立した歴史を持つスイッスは前年の彼の国によるロマリア侵攻を目の当たりにして警戒心を高めていた。
フランとヴァランタンはその警戒心を上手く突き、自分達が敗れた後は貴国だと不安を煽ってガリアルムとの同盟締結を締結させる。
だが、ロマリア侵攻を行ったドナウリアなら、フラン達のこの脅しとも言える考えも、現実になる可能性は十分ある。
『カンポ・フォルミドの和約』締結から約二年後の宇宙暦1799年4月18日―
ドナウリア帝国はガリアルム王国に対して、領土奪還を掲げた宣戦布告が行う。
それに続くように、オソロシーヤ帝国、オットマン帝国、プルトゥガル王国、ゲルマニアの各国がドナウリアの同盟国として参戦を表明する。
対して、エゲレスティア連合王国、ロマリア王国、スイッス連邦がガリアルムの同盟国として、参戦を表明して銀河に戦乱が訪れることになる。
宣戦布告が行われたその日に、フランは各艦隊の司令部要員を大会議場に集め、作戦の基本行動とそれにともなう艦隊の配置を発表する。
この2年間で軍備拡張してきたとは言え、ガリアルムの艦隊数は3万も満たず、兵力分散の愚を犯すわけにはいかないので、展開先は限られてくる。
彼女はそのために諜報部に敵の作戦目標、進軍ルートを探らせるが、流石に軍事作戦の情報は得難く、確定情報は中々入ってこなかった。
そこで確定している『ピエノンテ公国』への増援として、ジョフリー・ワトー准将の艦隊2000隻を派遣する事を決定する。
「ワトー准将、貴官は急ぎ麾下の艦隊2000隻を率いて、ピエノンテ公国へ向かい守備艦隊と合流して、その指揮を執りドナウリアの侵攻に備えよ! なお、無理に攻める必要はない。守りに徹せよ」
「はっ」
ワトーが敬礼して、命令を受諾するとフランは続けて後の艦隊の艦隊行動計画を告げる。
次にフラン艦隊5000隻、ルイの艦隊3000隻、リュスの艦隊3000隻、それにロイクの艦隊よりエドガーの分艦隊1000隻を自身の艦隊に転属させ、合計12000隻はフランを総司令官として、北ロマリアへと向かうためにリオムへ向かう事を発表する。
「私の率いる艦隊は、ドナウリアが侵攻してくる確率の高い北ロマリアに向かう為に、まずはリオムまで南下する」
この行程はサルデニア侵攻時に使った航路であり、何事もなければそのまま前回と同じ航路でピエノンテ星系惑星トリーノに進軍することになる。
「そこまで進めば恐らく諜報部からもたらされる敵の侵攻ルートから、敵の侵攻目標が解ると思われます」
フランの説明に続けてクレールが情報を補足すると、フランが再び作戦行動を説明する。
「そこから、我が艦隊も臨機応変に進軍先を変更する。まあ、私の読みでは敵の戦力はわからないが、一軍は必ず北ロマリアに進軍してくると考えている」
この場にいる者達も、そう推察しているために黙って肯き、フランの読みを肯定する。
続いて、ヨハンセン艦隊5000隻とロイク艦隊3000隻を国境のバ=ラン星系惑星ストラーブール宙域に配置する事、本国をバスティーヌ大将が率いる2000隻で防衛する事を発表する。
「北部の国境はエゲレスティア艦隊が、ノール星系惑星リーロに展開するため任せることになっている。ポルスカ王国も同様にエゲレスティアが担当してくれる」
同盟国とはいえエゲレスティアがここまで力を貸すのは、ガリアルムが敗れた場合、対ガリアルム大同盟の侵略の牙が今度は自国を襲うかもしれないからであり、歴史がそれを往々にして示している以上、今回の戦いが決して他人事とは言えないからである。
「この作戦行動計画と艦隊の配置は、あくまで現段階のものであり、敵の行動によっては直ちに変更となる。各員はこの作戦行動に固執せずに、柔軟な行動を心がけよ」
「はっ!」
フランの作戦指針は、状況においての臨機応変であり、そのために別部隊をヨハンセンとロイクを任せた、その判断は概ね正しいが、別の問題を生むことにもなる。
「予想していた者も居たと思うが、遂に戦争が始まる。この戦いで敗北すれば我が国は一昨年の戦役で多数の犠牲の元に得た領土を失い、更に失うことになるであろう。よって、我らは敗北するわけにはいかない。この国の未来のためにも貴官達にはこの2年間の訓練の成果を発揮して、決して油断すること無く職務にあたり奮戦努力を期待する」
フランは作戦会議の最後に、大会議場に集まった各艦隊の司令部要員に鼓舞激励をおこない士気を高める。
その夜―
フランは戦いが終わるまで暫く会えなくなる、シャーリィ、メアリーと『お泊り女子会』をしていた。
「まだ、暫くはこの星におられるのですよね?」
「ああ、艦隊の出撃準備が済むのが三日後だからな。明日もお泊り会だ」
心配そうな表情のメアリーの質問に、フランはそう答えるとメアリーは更に質問してくる。
「お二人共、今回も無事に帰ってきますよね?」
「ああ、勿論だ。敵の動きはまだ解っていないが、準備は整っている。負けることはない」
各艦隊の練度、補給物資とそれを運ぶ補給艦も充分に揃えて、兵站も問題ない。
だが、戦いは水物である以上、何が起きるかは解らず、それを理解しているフランとシャーリィではあるが、メアリーを心配させたくないので口を揃えて『大丈夫』と答える。
「ところで、好きな人の名前を言い合おう!」
フランは再び、お泊り会の定番会話『好きな人の名前を言い合う』を提案する。
メアリーからは前回と同じで、「好きな人はいません」と返ってくるが、シャーリィからは前回と違う答えが返ってくる。
「私は…… 恥ずかしくて、言えませんわ~」
シャーリィは、赤らめた左右の頬に手を当てて、頭を横に振りながら恥ずかしそうにそう答える。
(かっ かわいい! これが、女子力!!)
ヤンデレ私様女子フランと理系女子メアリーは、女子力全開シャーリィの恥ずかしがる姿を見て心の中でそう思っていた。
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