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第6章 三帝激突
嵐の前 その4
しおりを挟むその頃、もとい半年前のアーサリン・ウェルティーは―
「ウェルティー、アーサリン・ウェルティーでございます! 皆様の温かき一票をお願い致します!」
なんと、アーサリンは軍を辞めて、兄の勧めで選挙に出馬していた。
辞めたといっても、上層部が優秀な彼女を辞めさせたくないので、予備役扱いにされているので、戦いが始まればまた軍に招集される事になる。
「今日はアーサリン・ウェルティーが、最後のお願いを皆様にやってまいりました」
選挙カーのスピーカーから、選挙宣伝のアナウンスが鳴り響き、彼女は笑顔で窓から市民に手を振っている。
兄ロバートの応援演説が街頭でおこなわれ、彼女はその間も彼の後ろに立ち笑顔で手を振っている。
「それでは、妹のアーサリンからも皆様に一言ご挨拶させていただきます」
「(打ち合わせ通りにするんだぞ)」
マイクを渡す時、兄は妹にだけ聞こえるように注意するが、おっとりとはいえ優秀な彼女である、のんびりとした口調ではあるが見事な演説をおこなう。
「市民のみなさま~ この度この惑星の議員に立候補したアーサリン・ウェルティーです~ 私の公約は~ 子育て支援、女性の進出支援を~ 」
こうして、アーサリンはその若さを訝しがられながらも、イースト・サセクス星系惑星ライの議員に当選してしまう。
彼女の得票数のうち女性票は<同性による期待>と<公約>によるモノであるが、後は<軍人としての知名度>と<有能政治家の実妹>による票と男性票の多くは<その美しい見た目>である。
そのため議会でアーサリンが、襲ってくる睡魔と激闘してウトウトとしている様子が中継されると、それを見た男性達からネットに<美人すぎる議員><睡魔と戦うアーサリンたん、かわよ><アーサリンたんの声、声優さんみたいですこ><寝ているアーサリンたん、マジ天使>などと書き込まれる事になった。
※居眠りしたことは、もちろん後で叱られました
フランのように絶対的君主であれば、政治改革は力さえあれば強引な手段で進めることが出来る。
だが、1議員ではそうは行かず、対立や根回し、しがらみや利権によって、改革させるのはとても難しくアーサリンはその困難さに正直疲れていた。
(これなら、戦争のほうがまだ思い通りに事を進めることができるわ~)
これは、名将である彼女らしい無自覚な感想であった。
「しかし、アーサリンが議員に選ばれるなんて、この国は大丈夫なのかしらね」
休日があったクレアが彼女の家に遊びに来ており、散らかったか部屋を片付けている。
因みに彼女は軍に在籍したままであるが、階級は大佐のままであった。
「というか、忙しいのは解るけど、部屋の片付けぐらいしなさいよ。こんなことでは、結婚できないわよ」
そう言ったクレアであったが、アーサリンが母親どころか妻になる姿も想像できない。
「いいわよ~ その時は~ クレアを~ お婿さんに貰うから~」
「せめて、お嫁さんで貰ってくれ」
「お嫁さんは~ 私だもの~」
「私だって、お嫁さんになりたいんだ」
お茶の準備をしていたアーサリンは、このような冗談を言いあった後に、紅茶を食卓に持ってくると気になっていた事を聞いてみる。
「ところで~ 軍の方はどう~?」
「ええ、騒がしくなってきたわ。どうやら、対仏大同盟が完成しつつあるようだ。ガリアルムや軍上層部では戦いの準備が始まっているわ」
「そう~ じゃあ、私の議員生活も後少しね~」
紅茶を一口飲んだ彼女は、少しホッとした様子でそう呟く。
正直なところ自分には政治家よりも軍人の方が、“まだ”性に合っていると思ったからである。
その頃、ガリアルムでも対仏大同盟の情報が、諜報部より齎されていた。
「そうか… 遂に同盟が表立って動き始めたか。戦争準備が大方済んだということだな」
第二次対仏大同盟は、実のところ半年前に結成されていたが、戦力の補充が出来ていなかったために、今までは秘密裏に連携がおこなわれていた。
「こちらの準備はどうだ?」
「明日始まっても問題ありません」
フランの質問に答えたクレールの言葉通り、ガリアルムは皇帝であるフランの指導の元、文字通り官民一丸となって開戦の準備を行ってきており、他国よりも万全の態勢にある。
「さて、私はルイと食事の約束をしているので、これで失礼する」
クレールにそう告げたフランの目は、ヤンデレ目であった。
そして、彼女の部屋にやってきたルイは、入室と共に正座させられている。
そして、罰という名のフランがその太腿に座っており、その彼にヤンデレ目のままこのような尋問を開始する。
「何故、このような目にあっているかわかるな?」
「不肖不才の自分には解りかねます」
食堂で偶然で会ったメアリーと昼食を一緒に食べたことだろうか?
ロイクさんに貰ったエロ本を見たことだろうか?
ロイクさんに貰ったエロ動画を見たことだろうか?
正直色々ありすぎて、余計な事を言って墓穴を掘るのは避けたいので、素直に当人に尋ねることにした。
「ルイ、オマエ! あのアーサリンとかいう女の議会中継を見て、掲示板に<アーサリンたん、かわよ>って、書き込んだだろう!」
(危なかった! 心当たりが、全て外れていた!!)
「申し訳ありません…」
ルイは自分の判断の的確さに、命を救われたと心の中で安堵する。
「あと、昼間にメアリーと昼食を一緒に食べた事とアングレームから譲り受けたモノを見ただろうが! メアリーの件は仕方がないとして、あとの3件は許さん! 特にあの女の中継を見たことが許せんし、何より誤魔化そうとした所が許せん!!」
(やっぱり、バレていた!!)
「1時間程は、セイザの刑だからな!」
「フラン様、いい匂いがしますね」
太腿に乗っているフランの長い髪は、必然的にルイの顔前にあたり、そこからシャンプーのいい匂いがしてきたので、彼は思わず感想を呟いてしまったために言葉足らずになってしまう。
「にゃっ にゃにを言い出すんだオマエは!! はっ 破廉恥だぞ!」
そして、彼のそのような誤解を招く言葉を聞いた中学生皇帝は、密着すればそのような事態を招く想定が出来たにもかかわらず、尚且自分で密着しておいて彼を責めると、耳まで真っ赤にして盛大に恥ずかしがり、すぐさま彼の太腿から飛び跳ねる。
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