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プロローグ OLユリカ★初めてのAV撮影
だいたいその日は、かなりむしゃくしゃしていた。
先月から付き合い始めた彼に他に女がいるらしいことは、なんとなくわかっていた。そもそもが飲み会の帰り、酔った勢いでセックスしてしまって始まった関係だから、お互い大概いい加減な人間だなぁとは分かっていたつもりだけど。
でも、まさかあっちを取るなんて。
彼女の背はあたしよりアタマ一個分くらい低くて、ぽっちゃりとデブの中間くらいの冴えない体型に、ちっちゃい目と薄い唇を濃い化粧で縁取った顔が乗っかっていた。丁寧に手入れしているらしいふんわりした髪の毛とお嬢さんぽい洋服だけはちょっと負けた気がしたけど、でも顔もスタイルもセックスもあたしの方がいいに決まってる。
それなのに。
「……何よ、『ごめん、バレちゃったからもう会えない』ですって?そっちと別れる気は最初からなかったってことじゃないの」
使い捨ての紙屑のようにふられてしまった憤りをピンヒールで歩道に叩きつけながら、目的もなく渋谷の街を歩いていたら、交差点で突然ななめ後ろから呼び止められた。
「すみませーん」
「はい!?」
怒りの勢いがついたまま振り向くと、ひょろっとした男が立っていた。手も足も胴体も細いけど、背はそんなに高くない。
「わ、そんな怖い顔しないで、おねーさん。あの、おねーさんスタイルめっちゃいいっすね。モデルさんとか?」
モデルなわけないでしょ、身長だってあの女に比べれば高いけど170cmには全然届かない。そしてこれはきっと何かの勧誘に違いない。
「……違いますけど」
要領を得ない会話にイライラしながら答えると、そのひょろ男は軽薄なトーンで続けた。
「えー、ほんとにい?めっちゃキレーなのに。もったいない。あ、ボクこーゆー者なんですけどお、モデルとか興味ないっすか?」
名刺を見せながら、ちょっとエッチ系なんすけどね、と付け加えた一言は、信号が青になって動き出した雑踏に掻き消されそうなほど小さかった。
いつもなら無視するところだが、その日は本当にむしゃくしゃしていて、デートの予定も吹っ飛んでしまってすこぶる暇だったので、ついデキゴコロでその男についていってしまったのだ。
連れてこられた雑居ビルの中の事務所には10人前後くらいのスタッフがいた。担当っぽい男性に引き渡され、ひょろ男は消えた。
男性は40前後くらい。グレーのスーツを着ていて背は高め、年相応だが整った顔立ちには渋い色気がある。
「僕、佐伯といいます。この紙に名前と歳と連絡先書いてね。あと芸名何か希望ある?」
手渡されたA4の紙には彼が言った通りの項目が並んでいる。芸名……
「……すみません、パッと思いつかないです……」
「じゃ僕決めちゃっていい?ユリカちゃんとか、どう?」
「あ、はい……」
「オッケー、じゃ、早速簡単なやつ一本撮ってみようか?今時間ある?」
「え」
マジで?もう?何がオッケーなの?
困惑したけど逆らう理由も思いつかず、促されるがまま奥のドアを抜けて非常階段を上がる。
「上がねー、スタジオになってるんだ。どうぞ」
佐伯について部屋に入ると、中にはビデオカメラを持った男の人が一人いた。こちらはラフなTシャツにジーンズ、キャップといういかにもカメラマンといった風情。
カメラマンを見た途端、さすがに足がすくんだ。そうか、撮影するってことは、セックスの相手以外にも色んな人に見られながらやらなきゃならないのか。
当たり前のことに今更気付いてドキドキしてきた。
でももう「やっぱやめます」なんて言える雰囲気じゃない。
「さて……と」
こっちの不安をよそに、佐伯がネクタイを緩め、あたしの身体に触れた。
「……っ!」
触られたのは腕だったけど、緊張していたせいで過剰にビクッと反応してしまった。
「あれえ、ユリカちゃん、緊張してるの?」
答えられずにいると、佐伯は甘い声で続ける。
「大丈夫だよ、おいで」
そう言ってあたしの腕を引くと、一人がけのソファに座ってあたしを膝の上に乗せた。
ソファの横にはガラスのテーブルがあって、たくさんの大人の玩具が並んでいる。
「ユリカちゃん……どれがいい?」
「あ……、どれ、って……」
「これだな」
返事を待たずに佐伯は一番手前にあった薄いピンク色の機械を取った。バイブではないみたいだけど、スイッチを入れるとヴイィィィーン……と振動する。
佐伯は鮮やかな手つきでスカートをまくりあげると、下着の上からそれをあたしの股間にあてがった。
「きゃ……!」
容赦ない振動がクリトリスを刺激して恥骨を震わせる。思わずあたしは脚を閉じようとしたが、
「ダメ」
佐伯はあたしの両脚を大きく広げて左右の肘掛けに乗せ、肘と膝を使って太股のあたりを固定してしまったので、あたしは身動きできなくなってしまった。
せめても振動から逃れようと腰を引くが、そんな抵抗は虚しく、機械は執拗に敏感な部分を追いかけて責めたててくる。
「やあぁぁあん!」
たまらずに声を上げてしまう。カメラが股間に寄ってきた。
「ユリカちゃん、電マは初めて?」
「ん……っくぅ……あはぁっ……」
コクコクとうなずきながらも喘ぎ声が止められない。これ電マっていうのか。あんまっぽいな。いやそうじゃなくて。
「だめぇ……もう、とめてくださ……ぁあんっ」
「なに言ってるの。まだ1分も経ってないよ?いー声だねー」
「やあん、あっあん、もうだめぇぇー……」
振動が下半身全体に拡がって、足の指先や土踏まずまで痺れるような感覚に覆われていく。
大きく広げられた太股を閉じることさえ許されない。
永遠に続くかのような責め苦。
「……っくぅっ……」
下唇を噛んで快感の波をやり過ごすが、休む間もなく次の波が襲ってくる。
もう、限界。
「やああああぁぁぁああっ!!」
泣き叫んだところで、ようやく拘束を解かれた。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
無慈悲な振動から開放されたあたしは、呼吸を整えるのがやっと。まだ下半身がじんじんしている。いつ敷かれたのか、お尻の下のタオルがびしょびしょに濡れていた。目尻に涙を滲ませて放心している顔を、無表情なカメラがアップで撮っている。
「ユリカちゃん、休んでるヒマなんかないよ。今度はこっち来て」
奥に置かれたベッドの上から佐伯が呼ぶ。佐伯はスーツ姿のままどこも乱れていないのに、あたしはいつの間にかシャツのボタンを外され、ブラはホックが外れて押し上げられ、パンツは何処かへ消えてしまっていた。もちろん裸足。
そんな情けない格好のあたしをベッドに引き寄せると、佐伯は手早く服を脱がせた。
ベッドの足元は壁一面が大きな鏡になっていて、薄暗い室内に自分の裸が白々と浮かび上がっている。Fカップの乳房はぷるんと上を向き、ウエストはきゅっと引き締まったくびれのラインを描いて、お尻の形も悪くない。
(やっぱり、あの女より綺麗じゃない、あたしの躰……)
ぼんやり思っていたら、急に頭を掴まれて佐伯のモノを咥えさせられた。ベッドに四つん這いになって、佐伯に跪く格好で奉仕する。ちらりと鏡を見ると、白い猫のような自分の姿が映っている。佐伯は相変わらずスーツのまま、ファスナーだけ開けてそれをあたしの口に押し込んでいる。あたしは自分の膣がとろとろに蕩けているのを感じながら、とろとろと唾液を絡ませてそれを舐めた。唇をすぼめて上下させると、佐伯はあたしの中でぎゅうっと固く大きくなった。やがて先端が喉に当たり、あたしはなんだか嬉しくなって音を立てて夢中で吸った。
その時、佐伯がカメラマンに何か合図した。背後でヴイィーン……と振動音がしたと思うと、さっきの電マの愛撫でドロドロに濡れそぼっていたアソコに、ぶっといバイブが突っ込まれたのだ。
「は……あっ……!」
思わずのけ反ったあたしの頭を、佐伯が掴んで引き寄せ、強引にフェラを続けさせる。
「んくっ」
「ハッ……」
初めて佐伯が吐息を漏らした。あ、これ、感じてる顔だ。百戦錬磨感満載のこの人でも、こんな顔するんだなぁ。そんな小さな発見は、バイブのうねるような動きに掻き消された。
「んーーーーんんーーー!!!」
たまらず声を上げるけど、口は佐伯のモノでいっぱいに塞がれているので言葉にならない。代わりに、懇願するように佐伯を見上げる。
お願い……どうにかして……
「いい表情だなぁ、ユリカ」
額にうっすら汗をかいた佐伯が、唇の端で薄く微笑って、あたしの顎を軽く持ち上げる。その瞬間、
「んぐ!」
口いっぱいに白濁した精液が注ぎ込まれた。
あたしは思わずそれを飲んでしまった。
「か……はっ」
強烈な臭いと味にむせ返る。量が多すぎて飲みきれなかった液が顎をつたった。
脱力したあたしは真っ白いシーツの上に突っ伏した。
視界の端で、佐伯がまた微笑んだように見えた。
口は開放されたけど、アソコの中では相変わらずバイブがういんういん蠢いている。この部屋に入れられてからどれくらい時間が経ったんだろう。喘ぎすぎてもう声が出ない。それなのに。
「あん……あ……あん……」
バイブが回転するたびに子宮の奥の一番感じる場所に当たるので、か細く声が漏れてしまう。もう何も考えられない。なすすべもなく、うつ伏せにシーツにしがみついて無機質な快感に耐える。膝をついたままなので、お尻を突き出すような格好だ。
そのお尻を佐伯の両手が掴んだ。バイブがするりと抜かれた。
「いくよ、ユリカ」
バイブよりひとまわり大きな佐伯のペニスに押し広げられて、濡れて腫れ上がった粘膜がきゅうぅっと締まる。
「あぁん、やぁぁ……」
「何だ?いやか?」
ふるふると首を振る。いやじゃない。気持ちいい。でも、気持ちよすぎて。
「おかしく…なる……」
「ハハッ、AV出る時点でじゅうぶん頭おかしいだろ、ユリカは」
確かにそうだ。あたしは頭がおかしい。ずっと昔から。
背後から犯している佐伯の動きが激しくなった。パンパンと腰を叩きつける音が部屋に響く。
さっきあたしの喉を突いた先端が、更に怒張して子宮の奥を突き上げる。
鏡には自分の裸体と、せつなげに歪んだ顔が映っている。
このままいくのかな、と思った瞬間、佐伯は繋がったままあたしの身体をぐいっと持ち上げて立ち上がった。
後ろから貫かれたまま立たされて鏡に押し付けられ、更に片脚を高く持ち上げられる。その下からカメラが信じられない角度で接合部を撮っている。
立ち上がったせいで、四つん這いの体勢よりもペニスに角度がつき、それが佐伯が腰を打ちつけるたびにあたしの内壁をこすり上げる。数回突き上げられただけで膝が震え、力が抜けていく。
(もう……立っていられない……)
「—————っ!!」
つめたい鏡にしがみついて、あたしはまたいかされてしまった。次の瞬間、
「……っふぅ……」
と、ひとつ息を吐いて佐伯があたしの中に熱い精液を注ぎ込んだ。
「お疲れ様でした。良かったよ、ユリカちゃん」
あ、呼び捨てじゃなくなってる。
「お疲れ様でした」
カメラマンも挨拶する。
「お、お疲れ様でした」
つられて何事もなかったように、――まるでファミレスか何かのバイトが上がった時のように、挨拶する。つい数分前まで、汗と体液にまみれてあられもなくよがっていたことが、信じられないくらいあっさりと。
「次はちゃんと男優さんとの撮影に出てもらうから。今日の画像から宣材も作るし、オファーいっぱい来るよ。スケジュール連絡するね」
「……はい」
なんだ、佐伯は男優じゃないのか。そういえば名刺に宣伝部長とかなんとか書いてあったな。役職名はかなり胡散臭いけど。
「あ、今日のギャラ、経理からもらっていってね!」
そう言って佐伯は来たときと同じスーツ姿でオフィスの奥に消えていった。
経理は女性だった。私と変わらないか、ちょっと上。私もこんなところでセックスしてないで、ちゃんと働かないとなぁ。AV会社の経理がちゃんとした就職先かどうかはよくわからないけども。領収書を書いて、売春するよりはちょっといい金額を受け取って、ビルを後にした。
(……あたしのセックス、どれくらいの人が見るんだろう?)
っていうか、そもそも自分で見てみたいんだけどな。そういうのはムリなのかな。
渋谷の空はまだ明るくて、おそらくセックスしていたのは一時間もかかっていなかったようだ。
先月から付き合い始めた彼に他に女がいるらしいことは、なんとなくわかっていた。そもそもが飲み会の帰り、酔った勢いでセックスしてしまって始まった関係だから、お互い大概いい加減な人間だなぁとは分かっていたつもりだけど。
でも、まさかあっちを取るなんて。
彼女の背はあたしよりアタマ一個分くらい低くて、ぽっちゃりとデブの中間くらいの冴えない体型に、ちっちゃい目と薄い唇を濃い化粧で縁取った顔が乗っかっていた。丁寧に手入れしているらしいふんわりした髪の毛とお嬢さんぽい洋服だけはちょっと負けた気がしたけど、でも顔もスタイルもセックスもあたしの方がいいに決まってる。
それなのに。
「……何よ、『ごめん、バレちゃったからもう会えない』ですって?そっちと別れる気は最初からなかったってことじゃないの」
使い捨ての紙屑のようにふられてしまった憤りをピンヒールで歩道に叩きつけながら、目的もなく渋谷の街を歩いていたら、交差点で突然ななめ後ろから呼び止められた。
「すみませーん」
「はい!?」
怒りの勢いがついたまま振り向くと、ひょろっとした男が立っていた。手も足も胴体も細いけど、背はそんなに高くない。
「わ、そんな怖い顔しないで、おねーさん。あの、おねーさんスタイルめっちゃいいっすね。モデルさんとか?」
モデルなわけないでしょ、身長だってあの女に比べれば高いけど170cmには全然届かない。そしてこれはきっと何かの勧誘に違いない。
「……違いますけど」
要領を得ない会話にイライラしながら答えると、そのひょろ男は軽薄なトーンで続けた。
「えー、ほんとにい?めっちゃキレーなのに。もったいない。あ、ボクこーゆー者なんですけどお、モデルとか興味ないっすか?」
名刺を見せながら、ちょっとエッチ系なんすけどね、と付け加えた一言は、信号が青になって動き出した雑踏に掻き消されそうなほど小さかった。
いつもなら無視するところだが、その日は本当にむしゃくしゃしていて、デートの予定も吹っ飛んでしまってすこぶる暇だったので、ついデキゴコロでその男についていってしまったのだ。
連れてこられた雑居ビルの中の事務所には10人前後くらいのスタッフがいた。担当っぽい男性に引き渡され、ひょろ男は消えた。
男性は40前後くらい。グレーのスーツを着ていて背は高め、年相応だが整った顔立ちには渋い色気がある。
「僕、佐伯といいます。この紙に名前と歳と連絡先書いてね。あと芸名何か希望ある?」
手渡されたA4の紙には彼が言った通りの項目が並んでいる。芸名……
「……すみません、パッと思いつかないです……」
「じゃ僕決めちゃっていい?ユリカちゃんとか、どう?」
「あ、はい……」
「オッケー、じゃ、早速簡単なやつ一本撮ってみようか?今時間ある?」
「え」
マジで?もう?何がオッケーなの?
困惑したけど逆らう理由も思いつかず、促されるがまま奥のドアを抜けて非常階段を上がる。
「上がねー、スタジオになってるんだ。どうぞ」
佐伯について部屋に入ると、中にはビデオカメラを持った男の人が一人いた。こちらはラフなTシャツにジーンズ、キャップといういかにもカメラマンといった風情。
カメラマンを見た途端、さすがに足がすくんだ。そうか、撮影するってことは、セックスの相手以外にも色んな人に見られながらやらなきゃならないのか。
当たり前のことに今更気付いてドキドキしてきた。
でももう「やっぱやめます」なんて言える雰囲気じゃない。
「さて……と」
こっちの不安をよそに、佐伯がネクタイを緩め、あたしの身体に触れた。
「……っ!」
触られたのは腕だったけど、緊張していたせいで過剰にビクッと反応してしまった。
「あれえ、ユリカちゃん、緊張してるの?」
答えられずにいると、佐伯は甘い声で続ける。
「大丈夫だよ、おいで」
そう言ってあたしの腕を引くと、一人がけのソファに座ってあたしを膝の上に乗せた。
ソファの横にはガラスのテーブルがあって、たくさんの大人の玩具が並んでいる。
「ユリカちゃん……どれがいい?」
「あ……、どれ、って……」
「これだな」
返事を待たずに佐伯は一番手前にあった薄いピンク色の機械を取った。バイブではないみたいだけど、スイッチを入れるとヴイィィィーン……と振動する。
佐伯は鮮やかな手つきでスカートをまくりあげると、下着の上からそれをあたしの股間にあてがった。
「きゃ……!」
容赦ない振動がクリトリスを刺激して恥骨を震わせる。思わずあたしは脚を閉じようとしたが、
「ダメ」
佐伯はあたしの両脚を大きく広げて左右の肘掛けに乗せ、肘と膝を使って太股のあたりを固定してしまったので、あたしは身動きできなくなってしまった。
せめても振動から逃れようと腰を引くが、そんな抵抗は虚しく、機械は執拗に敏感な部分を追いかけて責めたててくる。
「やあぁぁあん!」
たまらずに声を上げてしまう。カメラが股間に寄ってきた。
「ユリカちゃん、電マは初めて?」
「ん……っくぅ……あはぁっ……」
コクコクとうなずきながらも喘ぎ声が止められない。これ電マっていうのか。あんまっぽいな。いやそうじゃなくて。
「だめぇ……もう、とめてくださ……ぁあんっ」
「なに言ってるの。まだ1分も経ってないよ?いー声だねー」
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振動が下半身全体に拡がって、足の指先や土踏まずまで痺れるような感覚に覆われていく。
大きく広げられた太股を閉じることさえ許されない。
永遠に続くかのような責め苦。
「……っくぅっ……」
下唇を噛んで快感の波をやり過ごすが、休む間もなく次の波が襲ってくる。
もう、限界。
「やああああぁぁぁああっ!!」
泣き叫んだところで、ようやく拘束を解かれた。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
無慈悲な振動から開放されたあたしは、呼吸を整えるのがやっと。まだ下半身がじんじんしている。いつ敷かれたのか、お尻の下のタオルがびしょびしょに濡れていた。目尻に涙を滲ませて放心している顔を、無表情なカメラがアップで撮っている。
「ユリカちゃん、休んでるヒマなんかないよ。今度はこっち来て」
奥に置かれたベッドの上から佐伯が呼ぶ。佐伯はスーツ姿のままどこも乱れていないのに、あたしはいつの間にかシャツのボタンを外され、ブラはホックが外れて押し上げられ、パンツは何処かへ消えてしまっていた。もちろん裸足。
そんな情けない格好のあたしをベッドに引き寄せると、佐伯は手早く服を脱がせた。
ベッドの足元は壁一面が大きな鏡になっていて、薄暗い室内に自分の裸が白々と浮かび上がっている。Fカップの乳房はぷるんと上を向き、ウエストはきゅっと引き締まったくびれのラインを描いて、お尻の形も悪くない。
(やっぱり、あの女より綺麗じゃない、あたしの躰……)
ぼんやり思っていたら、急に頭を掴まれて佐伯のモノを咥えさせられた。ベッドに四つん這いになって、佐伯に跪く格好で奉仕する。ちらりと鏡を見ると、白い猫のような自分の姿が映っている。佐伯は相変わらずスーツのまま、ファスナーだけ開けてそれをあたしの口に押し込んでいる。あたしは自分の膣がとろとろに蕩けているのを感じながら、とろとろと唾液を絡ませてそれを舐めた。唇をすぼめて上下させると、佐伯はあたしの中でぎゅうっと固く大きくなった。やがて先端が喉に当たり、あたしはなんだか嬉しくなって音を立てて夢中で吸った。
その時、佐伯がカメラマンに何か合図した。背後でヴイィーン……と振動音がしたと思うと、さっきの電マの愛撫でドロドロに濡れそぼっていたアソコに、ぶっといバイブが突っ込まれたのだ。
「は……あっ……!」
思わずのけ反ったあたしの頭を、佐伯が掴んで引き寄せ、強引にフェラを続けさせる。
「んくっ」
「ハッ……」
初めて佐伯が吐息を漏らした。あ、これ、感じてる顔だ。百戦錬磨感満載のこの人でも、こんな顔するんだなぁ。そんな小さな発見は、バイブのうねるような動きに掻き消された。
「んーーーーんんーーー!!!」
たまらず声を上げるけど、口は佐伯のモノでいっぱいに塞がれているので言葉にならない。代わりに、懇願するように佐伯を見上げる。
お願い……どうにかして……
「いい表情だなぁ、ユリカ」
額にうっすら汗をかいた佐伯が、唇の端で薄く微笑って、あたしの顎を軽く持ち上げる。その瞬間、
「んぐ!」
口いっぱいに白濁した精液が注ぎ込まれた。
あたしは思わずそれを飲んでしまった。
「か……はっ」
強烈な臭いと味にむせ返る。量が多すぎて飲みきれなかった液が顎をつたった。
脱力したあたしは真っ白いシーツの上に突っ伏した。
視界の端で、佐伯がまた微笑んだように見えた。
口は開放されたけど、アソコの中では相変わらずバイブがういんういん蠢いている。この部屋に入れられてからどれくらい時間が経ったんだろう。喘ぎすぎてもう声が出ない。それなのに。
「あん……あ……あん……」
バイブが回転するたびに子宮の奥の一番感じる場所に当たるので、か細く声が漏れてしまう。もう何も考えられない。なすすべもなく、うつ伏せにシーツにしがみついて無機質な快感に耐える。膝をついたままなので、お尻を突き出すような格好だ。
そのお尻を佐伯の両手が掴んだ。バイブがするりと抜かれた。
「いくよ、ユリカ」
バイブよりひとまわり大きな佐伯のペニスに押し広げられて、濡れて腫れ上がった粘膜がきゅうぅっと締まる。
「あぁん、やぁぁ……」
「何だ?いやか?」
ふるふると首を振る。いやじゃない。気持ちいい。でも、気持ちよすぎて。
「おかしく…なる……」
「ハハッ、AV出る時点でじゅうぶん頭おかしいだろ、ユリカは」
確かにそうだ。あたしは頭がおかしい。ずっと昔から。
背後から犯している佐伯の動きが激しくなった。パンパンと腰を叩きつける音が部屋に響く。
さっきあたしの喉を突いた先端が、更に怒張して子宮の奥を突き上げる。
鏡には自分の裸体と、せつなげに歪んだ顔が映っている。
このままいくのかな、と思った瞬間、佐伯は繋がったままあたしの身体をぐいっと持ち上げて立ち上がった。
後ろから貫かれたまま立たされて鏡に押し付けられ、更に片脚を高く持ち上げられる。その下からカメラが信じられない角度で接合部を撮っている。
立ち上がったせいで、四つん這いの体勢よりもペニスに角度がつき、それが佐伯が腰を打ちつけるたびにあたしの内壁をこすり上げる。数回突き上げられただけで膝が震え、力が抜けていく。
(もう……立っていられない……)
「—————っ!!」
つめたい鏡にしがみついて、あたしはまたいかされてしまった。次の瞬間、
「……っふぅ……」
と、ひとつ息を吐いて佐伯があたしの中に熱い精液を注ぎ込んだ。
「お疲れ様でした。良かったよ、ユリカちゃん」
あ、呼び捨てじゃなくなってる。
「お疲れ様でした」
カメラマンも挨拶する。
「お、お疲れ様でした」
つられて何事もなかったように、――まるでファミレスか何かのバイトが上がった時のように、挨拶する。つい数分前まで、汗と体液にまみれてあられもなくよがっていたことが、信じられないくらいあっさりと。
「次はちゃんと男優さんとの撮影に出てもらうから。今日の画像から宣材も作るし、オファーいっぱい来るよ。スケジュール連絡するね」
「……はい」
なんだ、佐伯は男優じゃないのか。そういえば名刺に宣伝部長とかなんとか書いてあったな。役職名はかなり胡散臭いけど。
「あ、今日のギャラ、経理からもらっていってね!」
そう言って佐伯は来たときと同じスーツ姿でオフィスの奥に消えていった。
経理は女性だった。私と変わらないか、ちょっと上。私もこんなところでセックスしてないで、ちゃんと働かないとなぁ。AV会社の経理がちゃんとした就職先かどうかはよくわからないけども。領収書を書いて、売春するよりはちょっといい金額を受け取って、ビルを後にした。
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