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第四章 遠征編
夢
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ファーリアは夢の中にいた。
長い間恋い焦がれていた、愛しい男に抱かれる夢を見ていた。
「……ファーリア……」
ふわふわとやわらかい光の中で、呼ぶ声がする。
「……ファーリア……ファーリア」
きっと、恋しいあの男がファーリアの名を呼んでいるのだ。だって、髪に、躰に触れる手が、こんなにも優しい。
「ファーリア……」
静かな声が繰り返す。何度も、何度も。
ファーリアは幸福感でいっぱいになった。この時をどれだけ望んだことだろう。
ファーリアは光の中に手を伸ばした。
姿を見せて。愛しいひと。優しいひと。もう逢えないと諦めたひと。別れも言えずに、別離れたひと。
夢でもいい。残酷な現実から逃げ出せるなら、いっそもう夢の中にいたい。あのひとに逢えるなら。
夢でいい。姿を見せて。
――ユーリ。
長い間恋い焦がれていた、愛しい男に抱かれる夢を見ていた。
「……ファーリア……」
ふわふわとやわらかい光の中で、呼ぶ声がする。
「……ファーリア……ファーリア」
きっと、恋しいあの男がファーリアの名を呼んでいるのだ。だって、髪に、躰に触れる手が、こんなにも優しい。
「ファーリア……」
静かな声が繰り返す。何度も、何度も。
ファーリアは幸福感でいっぱいになった。この時をどれだけ望んだことだろう。
ファーリアは光の中に手を伸ばした。
姿を見せて。愛しいひと。優しいひと。もう逢えないと諦めたひと。別れも言えずに、別離れたひと。
夢でもいい。残酷な現実から逃げ出せるなら、いっそもう夢の中にいたい。あのひとに逢えるなら。
夢でいい。姿を見せて。
――ユーリ。
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