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氷と太陽。刻み始めた、新たな伝説。
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八時になるとマールは必ず寝ようとする。だが、パデラとしてはまだ遊びたい。「構え」と揺さぶったり上に乗ったりしていると、一時間は構ってくれるのだが、今日は疲れているようだ。布団から出てくれる気配がない。
仕方ねぇ、大人しく寝かすかぁ。……なんて、パデラが言うと思ったか。
「なぁ、さっきさリールに面白い物借りたんだよ。見ようぜ」
地味に煽るような口調で話しかけてくる。一体何を借りたのだか……興味ないと返そうとしたが、リールと聞いて嫌な予感しかしなかった。
「……何借りた?」
布団から顔だけだして、パデラを見る。その手に持っていたのは、本なのだろうが、本にしてはなんだか違和感のある大きさで……。
「お前のアルバム」
パデラが本をひっくり返して見えた表紙には、リクザの筆跡でマールの名前が書かれていた。
「そんなのあったのかよ。初耳だわ」
「見ていい?」
にやにやしながら訊いてきた。良いわけないだろ。こいつ、今マールが奪い返す気力がない事を分かってわざと言っている。
ダメというのすら面倒だから、仕方なく承諾した。
「その代わり、寝かせろ」
「わかったぁ~、おやすみなさい」
パデラはマールの想像の数倍嬉しそうな返事をした。
他人のアルバムなんて見て楽しいのか。全く理解できないが、そんな事は気にならない程に眠い。力を抜くと、直ぐに寝付いた。パデラのベッドの方でピピルが寝転がり、ディータを呼んでいる。二匹ももう寝るみたいだ。
すやすやと眠るマールと使い魔を横目に、パデラはアルバムを開いた。
一ページには生まれたばかりのマールが、母親に抱きかかえられた写真がある。まだ髪が黒い。
そっか、こいつにも魔力が無い時があったのか。そんな事を思いながらページをめくっていく。本人が言っていた通り、生後三か月の頃の写真ではすでに髪と瞳の色が変わっていた。
疑ってはいなかったが、こうしてみると改めて確信できる。マールの強さは生まれつきなのだと。
しかし、何だろうか。一歳を過ぎたあたりから写真が隠し撮りのような感じになっている。本人はカメラに一切気付いておらず、完全に一人だと思っているであろう写真が多数……。気になりつつもページをめくっていく。
最後の方のページにしおりの形をされた魔力が挟んであった。
「これは……リールの魔力か」
触れて見ると、これはつい最近作られたメッセージの通達型の魔力だ。
おそらく自分に向けられたものだろう。魔力をメッセージに変換し、開いてみる。
『パデラさんへ。
兄さんは貴方に心を許しました。だから、教えても問題ないと判断しましたので伝えさせていただきます。流石の貴方も察しがついているでしょうが。
この前お話しましたが、ルキラの特徴として、感情が薄く、また相手の心にも鈍感である。と言うモノがあります。これはご存知でしたよね? それが全ての原因です。父も勿論感情が無い方で、そして母も個人的な性格上思いをあまり言葉にしないタイプでした。
兄さんは一人目の子供という事もあって、すれ違いが起きていました。父も母も、確かに兄さんに愛情を持っていましたよ。だけど、それをうまく伝えることは出来ず、兄さんも兄さんで二人の行動の端々から出るそれに気づけなかったのです。あれは見ててもどかしかったです、教えても兄さんは僕の事が嫌いで信じてくれなかったし。
自分で言うのもなんですが、僕は愛想がいい方なのですよ。だけど兄さんは、まさしくルキラだったんです。
この前言いましたよね? 兄さんは、大袈裟くらいじゃないと気付けない。だから貴方が兄さんにあまりにもピッタリで。嫉妬します。僕が好きと言っても、兄さんは嫌悪しか見せてこなかったのに……と言っても、事実兄さんは貴方にめちゃくちゃ懐いてますので。文句は言えません。むしろ僕等は感謝しないといけません。
そうですね、ここまで書いてといてなんですが、バカなパデラさんの為に簡潔に言いたいことだけまとめます。
兄さんの氷を融かしてくれた貴方に、ルキラ家一同から心よりお礼申し上げます。
リールより』
その長い文章を読み終える。長文は苦手だが大体理解できた。
「十歳のくせによく出来た子だこと」
そう呟いて魔力を吸収する。パデラの心のうちには何とも言えない感情が沸き上がり、それに関してただ一つ判ったのは、嬉しさと達成感があった事だった。
自然と笑みがこぼれていた。これは太陽の光としての本能的な喜びであり、パデラ・エレズとしての喜びでもあるだろう。
入学式の時に出会った、ただ何となく気になっただけの存在。特にこれと言った意味もなく、友達になりたくなっただけだった。
「なんかいい事した気分だぜ」
アルバムを閉じ、俺も寝よーと布団をめくった。
「……今何時」
起こしてしまったようだ。マールが寝起きの声で訊いてくる。
サイドテーブルに置かれた目覚まし時計を見ると、時刻は十時五分だ。
「まだ十時くらいだぜ」
「あっそ……ありがと」
答えをきくと、寝返りをうちパデラに背中を向けた。
また寝たのだろうなと思い、隣で横になる。
寝付く間、暇だからマールの背中をつんつんしていると、マールが「突くな」と文句を言ってきた。だから、今度は叩いた。魔力をほどよく籠めて。
「突かなければいいって話じゃねぇよバカ!」
夢うつつな意識の中で、引っ叩かれた事への驚きが混じってかなりの声量で怒られた。防音できる魔法がかけられているから隣に迷惑かけていないだろうが、パデラもビックリした。
「わりぃ、面白くて」
「お前なぁ……」
身体の向きを変えると、悪びれる素振りのないパデラを睨む。
そこまで怒っているわけではないだろうが、痛かったぞと目で訴えてきているのは良くわかった。
「ごめんって」
笑いながら頭をぽんぽんする。するとマールは顔を赤くしてさらに睨んできたが、幸い攻撃はされなかった。
「お前、僕を女と勘違いしてるふしあるだろ」
恥ずかしそうにしたまま、若干不機嫌そうに訊いてくる。
うーん、否定はできないかも。お前身長伸びなさそうだし。心ではそう答えつつも、パデラはニコっと笑い、建前上の返答をした。
「ないぜ」
おそらく、その建前は直ぐにバレたのだろう。マールのしかめた表情を見れば分かる。
「明日覚悟してろよ」
威嚇の一種だろう、その言葉では明らかに戦意を示していた。だが、それが通じるほどパデラは物を考えていない。
マールとの勝負は楽しい、だから戦えるのなら喜んで。それがパデラの思想だ。
「お、バトルか? いいな、やろうぜ。楽しみ~」
「……お前がバカだという事を忘れていた」
呆れ半分で微笑むマール。しかし、こいつも人の事を言えない。
暗竜様と戦っていた時、見たことのないような笑みを浮かべていた。愉快そうに、目を輝かせていたのはお前もだろ?
「お前だって同じようなもんじゃん。強い奴と戦うの愉しいよな」
「ま、それもそうだな……」
そっか、人の事言えないのか。否定はできないな。そう思いながら目を瞑る。
明日も学校だ。寝ないと……。うん、寝ないといけないのだけど……。
「お前のせいで目が覚めた。どうしてくれる」
マールは勢いよく起き上がり、先程までばりばり起きていたくせにもう寝そうなパデラに声を掛けた。
「えー、俺は眠いぜ」
「僕もついさっきまで眠かった」
「じゃあ、ほらよ」
マールの腕を引き横にさせると、パデラが意識的に魔力を放出した。
「あのな、眠気は魔力でどうにかなるもんじゃないんだぞ」
マールは文句ありげに言うが、説得力は皆無だった。そう言う間にも、うとうとし始めている。
あかちゃんみたい。その言葉は放ったらまた面倒になる予感しかしないから、呑み込んだ。
これは、氷と太陽の少年のお話。
二人の生きる世界には、その無邪気な笑い声で妄想を膨らませ、興奮する美しい女がいた。忘れてしまった過去を大切に抱え続ける使い魔が、忘れる事のない過去を捨てて今を生きる使い魔がいた。内に抱く感情を伝えられずに後悔する夫婦や、去って行ったものを一途に想い続ける男の子がいて、そして、もとあるものを壊してまで「神」になる事を願った邪神がいた。
ここは魔力の国。そこに住むのは、暗竜と呼ばれる一匹の竜と、魔力を持つ沢山の生物だ。
滅び沈んでいった国。
邪神と皆に忌み嫌われた黒竜が、誰よりも慕われる神になった日。
誰よりも優しい心を持った魔法使い。
告げられしお言葉。
美しい友情を描いた、二人の最強。
それら全てが、この世界が生み出した伝説である。
これは氷と太陽の。伝説の生き写しと呼ばれる二人の魔法使いが刻み始めた、新たな伝説である。
【暗竜伝説魔法論】
仕方ねぇ、大人しく寝かすかぁ。……なんて、パデラが言うと思ったか。
「なぁ、さっきさリールに面白い物借りたんだよ。見ようぜ」
地味に煽るような口調で話しかけてくる。一体何を借りたのだか……興味ないと返そうとしたが、リールと聞いて嫌な予感しかしなかった。
「……何借りた?」
布団から顔だけだして、パデラを見る。その手に持っていたのは、本なのだろうが、本にしてはなんだか違和感のある大きさで……。
「お前のアルバム」
パデラが本をひっくり返して見えた表紙には、リクザの筆跡でマールの名前が書かれていた。
「そんなのあったのかよ。初耳だわ」
「見ていい?」
にやにやしながら訊いてきた。良いわけないだろ。こいつ、今マールが奪い返す気力がない事を分かってわざと言っている。
ダメというのすら面倒だから、仕方なく承諾した。
「その代わり、寝かせろ」
「わかったぁ~、おやすみなさい」
パデラはマールの想像の数倍嬉しそうな返事をした。
他人のアルバムなんて見て楽しいのか。全く理解できないが、そんな事は気にならない程に眠い。力を抜くと、直ぐに寝付いた。パデラのベッドの方でピピルが寝転がり、ディータを呼んでいる。二匹ももう寝るみたいだ。
すやすやと眠るマールと使い魔を横目に、パデラはアルバムを開いた。
一ページには生まれたばかりのマールが、母親に抱きかかえられた写真がある。まだ髪が黒い。
そっか、こいつにも魔力が無い時があったのか。そんな事を思いながらページをめくっていく。本人が言っていた通り、生後三か月の頃の写真ではすでに髪と瞳の色が変わっていた。
疑ってはいなかったが、こうしてみると改めて確信できる。マールの強さは生まれつきなのだと。
しかし、何だろうか。一歳を過ぎたあたりから写真が隠し撮りのような感じになっている。本人はカメラに一切気付いておらず、完全に一人だと思っているであろう写真が多数……。気になりつつもページをめくっていく。
最後の方のページにしおりの形をされた魔力が挟んであった。
「これは……リールの魔力か」
触れて見ると、これはつい最近作られたメッセージの通達型の魔力だ。
おそらく自分に向けられたものだろう。魔力をメッセージに変換し、開いてみる。
『パデラさんへ。
兄さんは貴方に心を許しました。だから、教えても問題ないと判断しましたので伝えさせていただきます。流石の貴方も察しがついているでしょうが。
この前お話しましたが、ルキラの特徴として、感情が薄く、また相手の心にも鈍感である。と言うモノがあります。これはご存知でしたよね? それが全ての原因です。父も勿論感情が無い方で、そして母も個人的な性格上思いをあまり言葉にしないタイプでした。
兄さんは一人目の子供という事もあって、すれ違いが起きていました。父も母も、確かに兄さんに愛情を持っていましたよ。だけど、それをうまく伝えることは出来ず、兄さんも兄さんで二人の行動の端々から出るそれに気づけなかったのです。あれは見ててもどかしかったです、教えても兄さんは僕の事が嫌いで信じてくれなかったし。
自分で言うのもなんですが、僕は愛想がいい方なのですよ。だけど兄さんは、まさしくルキラだったんです。
この前言いましたよね? 兄さんは、大袈裟くらいじゃないと気付けない。だから貴方が兄さんにあまりにもピッタリで。嫉妬します。僕が好きと言っても、兄さんは嫌悪しか見せてこなかったのに……と言っても、事実兄さんは貴方にめちゃくちゃ懐いてますので。文句は言えません。むしろ僕等は感謝しないといけません。
そうですね、ここまで書いてといてなんですが、バカなパデラさんの為に簡潔に言いたいことだけまとめます。
兄さんの氷を融かしてくれた貴方に、ルキラ家一同から心よりお礼申し上げます。
リールより』
その長い文章を読み終える。長文は苦手だが大体理解できた。
「十歳のくせによく出来た子だこと」
そう呟いて魔力を吸収する。パデラの心のうちには何とも言えない感情が沸き上がり、それに関してただ一つ判ったのは、嬉しさと達成感があった事だった。
自然と笑みがこぼれていた。これは太陽の光としての本能的な喜びであり、パデラ・エレズとしての喜びでもあるだろう。
入学式の時に出会った、ただ何となく気になっただけの存在。特にこれと言った意味もなく、友達になりたくなっただけだった。
「なんかいい事した気分だぜ」
アルバムを閉じ、俺も寝よーと布団をめくった。
「……今何時」
起こしてしまったようだ。マールが寝起きの声で訊いてくる。
サイドテーブルに置かれた目覚まし時計を見ると、時刻は十時五分だ。
「まだ十時くらいだぜ」
「あっそ……ありがと」
答えをきくと、寝返りをうちパデラに背中を向けた。
また寝たのだろうなと思い、隣で横になる。
寝付く間、暇だからマールの背中をつんつんしていると、マールが「突くな」と文句を言ってきた。だから、今度は叩いた。魔力をほどよく籠めて。
「突かなければいいって話じゃねぇよバカ!」
夢うつつな意識の中で、引っ叩かれた事への驚きが混じってかなりの声量で怒られた。防音できる魔法がかけられているから隣に迷惑かけていないだろうが、パデラもビックリした。
「わりぃ、面白くて」
「お前なぁ……」
身体の向きを変えると、悪びれる素振りのないパデラを睨む。
そこまで怒っているわけではないだろうが、痛かったぞと目で訴えてきているのは良くわかった。
「ごめんって」
笑いながら頭をぽんぽんする。するとマールは顔を赤くしてさらに睨んできたが、幸い攻撃はされなかった。
「お前、僕を女と勘違いしてるふしあるだろ」
恥ずかしそうにしたまま、若干不機嫌そうに訊いてくる。
うーん、否定はできないかも。お前身長伸びなさそうだし。心ではそう答えつつも、パデラはニコっと笑い、建前上の返答をした。
「ないぜ」
おそらく、その建前は直ぐにバレたのだろう。マールのしかめた表情を見れば分かる。
「明日覚悟してろよ」
威嚇の一種だろう、その言葉では明らかに戦意を示していた。だが、それが通じるほどパデラは物を考えていない。
マールとの勝負は楽しい、だから戦えるのなら喜んで。それがパデラの思想だ。
「お、バトルか? いいな、やろうぜ。楽しみ~」
「……お前がバカだという事を忘れていた」
呆れ半分で微笑むマール。しかし、こいつも人の事を言えない。
暗竜様と戦っていた時、見たことのないような笑みを浮かべていた。愉快そうに、目を輝かせていたのはお前もだろ?
「お前だって同じようなもんじゃん。強い奴と戦うの愉しいよな」
「ま、それもそうだな……」
そっか、人の事言えないのか。否定はできないな。そう思いながら目を瞑る。
明日も学校だ。寝ないと……。うん、寝ないといけないのだけど……。
「お前のせいで目が覚めた。どうしてくれる」
マールは勢いよく起き上がり、先程までばりばり起きていたくせにもう寝そうなパデラに声を掛けた。
「えー、俺は眠いぜ」
「僕もついさっきまで眠かった」
「じゃあ、ほらよ」
マールの腕を引き横にさせると、パデラが意識的に魔力を放出した。
「あのな、眠気は魔力でどうにかなるもんじゃないんだぞ」
マールは文句ありげに言うが、説得力は皆無だった。そう言う間にも、うとうとし始めている。
あかちゃんみたい。その言葉は放ったらまた面倒になる予感しかしないから、呑み込んだ。
これは、氷と太陽の少年のお話。
二人の生きる世界には、その無邪気な笑い声で妄想を膨らませ、興奮する美しい女がいた。忘れてしまった過去を大切に抱え続ける使い魔が、忘れる事のない過去を捨てて今を生きる使い魔がいた。内に抱く感情を伝えられずに後悔する夫婦や、去って行ったものを一途に想い続ける男の子がいて、そして、もとあるものを壊してまで「神」になる事を願った邪神がいた。
ここは魔力の国。そこに住むのは、暗竜と呼ばれる一匹の竜と、魔力を持つ沢山の生物だ。
滅び沈んでいった国。
邪神と皆に忌み嫌われた黒竜が、誰よりも慕われる神になった日。
誰よりも優しい心を持った魔法使い。
告げられしお言葉。
美しい友情を描いた、二人の最強。
それら全てが、この世界が生み出した伝説である。
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【暗竜伝説魔法論】
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