前世は武神、今世は無職と呼ばれた俺は冒険者人生を謳歌してみた

ネイン

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前世で武神と呼ばれた男、オーガ達を掃討する③

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 砂漠の英雄――アルベルとエルミー。

 剣聖――シノギ。

 なんだか有名らしい冒険者達が七〇体のオーガへと戦いを挑んでいた。

 皆、固唾を飲んで戦いをみていた。

 アルバルは交差させた両腕を開きながらスキルを発動させる。

「『砂漠無法デザートバンデッド』」

 彼の前方から刺々しい砂の塊が飛び出して前方にいるオーガを串刺しにする。砂の貫通力は高く、後方にいるオーガも串刺しにしていた。

「「ガァァアアアアアアアア!」」

 刺されたオーガは苦しみ悶えながら暴れるとエルミーが両手を合わせて口を開く。
 
「『精霊術・土精ノ息吹ノームブレス』」

 彼女がそう言うと、串刺しになったオーガ達の頭上に巨大な石が降り注ぐ。

 オーガ達は断末魔を上げる暇もなく岩の下敷きになってしまっていた。

「「『俊敏大上昇』、『物理攻撃大上昇』!」」

 そのあと、二人は身体能力を強化したあと、岩の上へと移動した。

 戦い慣れている.。確実にオーガを足止めして止めを刺した点は手堅い。何より、岩を落としたことで後方にいるオーガが進行することを防いだ点を評価したい。

 速攻で戦いの後を考えている時点で戦闘経験が豊富と言える。

 一方、シノギも順調にオーガを次々と狩っていた。

「『一の太刀・狼』」

 シノギは刀を持ったまま回転するとオーガが振るってきた腕を飛ばし、

「『二の太刀、一閃』」

 横薙ぎでオーガの胴体を真っ二つにした。

 シノギの刀捌きは無駄がなく洗練されたものだ。柔らかい果実を切るように次々とオーガ達を分断していった。

「『六の太刀、竜の舞』!」

 そのあと、彼は剣に魔力を込めた後、刀を左右に振りながら前進し、オーガをズタズタに切り裂いていた。

「あいつらと後で戦えないかな」

 三人の活躍を見て少し手合わせしたと思っていた自分がいた。

 他の皆は三人の戦いに感嘆している様子だった。

「ヒューゴさん! オーガが一体くるのです!」

 シェナの慌てた声が聞こえた。

「あ、ほんとだ、『爆斬拳ばくざんけん』」

 俺はひょいっと裏拳を宙に食らわす。

 すると場は静まり返ってしまう。

「なにしてんだヒューゴ……」

 ハッカが呆れ声を出していた。

「まあ、見てろって」

 俺は向かってくるオーガを指さす。

「グガッ!?」

「「「!?」」」」

 オーガは突然、独りでに殴られたかのように宙に浮き、

 ――バンッ! バンッ! バンッ! バンッ!

 破裂音が四回連続で鳴り、その度にオーガは見えない何かに殴られ続けた。そして、五回目の破裂音がなったときオーガの体は弛緩して地面に落ちていった。

 俺が死体となったオーガを見ているとシアドは恐る恐る、話しかけてきた。

「今回は何をしたんですか」

「自然エネルギーを伝ってオーガを殴ったんだ。簡単にいえば最初にかました裏拳で膨大な自然エネルギー何度も放ったわけだ」

「…………そ、そうなんですね」

 シアドは首を傾げていた。理解できてない感じっぽいけどまあいいか!

 とりあえず、あの三人が打ち漏らしたオーガを適当に駆除しようと思ったそのとき、再び数多の地響きが聞こえてきた。

 そのあと、岩の上からエルミーが顔を出す。

「またオーガの大軍がくるわ! 私達三人で持ち堪えるから町に戻って助けを呼んできて! この調子じゃ何体いるか分からない!」

 彼女の言葉を聞いてヒルダが行動を起こす。

「皆、ここは引くわ! 依頼料は払うよう父に掛け合いますので安心して――」

「まあまあ、ちょい待て待て」

 俺はヒルダの言葉を遮った。

「なんなのよ、今、緊急事態なんですわ」

「俺があのオーガをどうにかするから」

 ヒルダの返事を待たずに俺はオーガの群れに向かって歩き始めた。

 すると、ファウスやブランカが焦った顔をしていた。

「おい! お前死ににいくつもりか! 命は大事にしろよ!」

「新人冒険者が出ていい場面じゃないわよ!」

 怒り半分心配半分の様子だ。

「俺がオーガに勝てないと思ってるのか?」

「当たり前よ」

 ブランカはこの人何言ってるの? という顔をしてた。

「その認識を変えてやるよ。例えばだ……目の前に幅が広い川があるとするだろ。その川を泳がずに走って渡るのなんて普通は無理だと思う。なら、俺がその川の上を走ってやるよ!」

「「…………はい?」」

 何故かファウスとブランカは困惑していた。

「あ、悪い、俺の幼馴染、頭がちょっとおかしいんだ」

「あ、ああ……そうみたいだな」

「友達は選んだ方がいいわ」

 なんか失礼なことを言われてる気がするが気を取り直してオーガの群れに向かって走っていくか!
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