半監禁結婚

にくだんご

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親のエゴは大いに結構だが、それが子供を縛ることは許されない。

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「結婚、、、。」
チャプンッとお風呂に鼻下まで入り、ブクブクする。結婚。高卒で就職した地元の子が3人ほどしている。今の時代、大学に行って、就職して、仕事で結果を出してからでも遅くないと、母に言われ続けた。と言うか、そうして欲しいのだろう。
20を超えたら親の同意は必要なかったんだったか。私が結婚するなんて言ったら母は発狂するだろうな。父も自分よりも歳上の彼を殴ってしまうかもしれない。そう言っても彼は明日来ると言って聞かないのだから恐ろしいものだ。
修羅場は確定している。しかし、気が重いわけではなく、これから自分の身に起こることにワクワクしているのだ。
親の言いつけを破って、高校の打ち上げで夜遅くまで遊んでしまった時。かかってくる電話もラインも気になってしまい、ちっとも面白くなかった。帰ったらのことを考えると早く帰らなければと思うが、空気を悪くしてしまいそうで言えない。それからは大人数で遊ぶことも避けてしまった。友達がどんどん自由になっていくのを見て、自分の家は少し特殊なのだと割り切るしかなかった。
あの時の重い気持ちはなく、罪悪感もない。彼と、結婚してその後のことは何も考えていないのに、何とかなるだろうと思ってしまっている。こんな気持ちは初めてだった。


次の日。日曜日、彼がうちにやって来た。前日に父と母に、明日大事なお客さんが来る、とだけ伝えていた。なんだか母はワクワクしていた。これから起こることは想像もしていないだろう。
お茶とお茶菓子を用意して彼を座らせる。彼は2人男の人を連れていた。私と目が合うと彼は微笑みかけ名刺を2枚出した。母と父に渡す。
「んん、、、?ほんじょう、こまえさん、、、。」
父が早速食いついた。無理もない。私の漫画好きは父の影響なのだ。よく隠れて私に漫画を買って来てくれた。
「あのー、失礼ですが。」
「はい。歌手の、本庄児江です。」
「えー!俺ファンなんすよ。握手してもらっても、良いですか?」
「もちろんです。」
「ほら、華も好きなあの漫画のアニメの歌の人だよ。」
父が母に説明しようとする。
「華は漫画なんて滅多に読まないでしょう?」
見事に食い違うものだ。私が父をじっと見ると、父ははっとしてそーだったなと相槌を打った。
「すみません。えっと、そんな有名な歌手がなんでうちに?」
「早速本題に入らせていただきます。まず質問なのですが、華さんを育てるのにかけたお金っていくらか分かりますか?」
「え、、、。」
母が思わず声を漏らす。察しのいい母は嫌な予感がし始めたのかもしれない。
「平均は2000万から3000万です。ただ、勝手ながら詳しく調べさせていただきました。これを見て下さい。」
そう言うと1人の男性がカバンから冊子を取り出した。
「これが今まで華さんにかかったであろうお金です。出産から教育費、その他習い事のお金も入れてます。これはプライバシーに関わるので、食費などの生活費は平均から出させていただきました。」
十分関わっているのでは、と言う言葉を飲んで私は黙っていた。一晩で全部調べたのだろうか?
「ざっと3600万円です。」
「はあ、、、。」
父は感心したように資料を見ている。
「そしてこのページは今後華さんが自分で生計を立てるまでにかかるであろうお金です。1100万ですね。」
「そう、、ですね。このくらいかなと思ってました。」
母の顔が強張る。
「3600万、お支払いします。それと、今後華さんにかかるお金は私が持ちます。」
「え!?」
父の声が大きくなる。
「うちの華が、、何かしたんでしょうか?」
母が怖い顔で彼を見る。
「いえ、華さんと結婚します。今日はその了承を貰いに。」
バシャッ!止める間もなかった。セットした髪が垂れる。本庄さんは瞬き一つしなかった。空のコップを握りしめ、父はいつものように息を大きく吸ってから怒鳴る。
「華を金で買うってのか!?」
「落ち着いて下さい、お父様。」
「ふざけないで!!!」
母が絶叫した。
「華は大事に育てて来たの、それをこんなオヤジに渡せるわけないでしょ!?」
私には想定内だった。母の叫び声に驚くことも無くなった。こうなったら黙って荒波が去るのを待つしかないのだ。しかし彼は続ける。
「こちら小切手です。3600万分。婚姻届は、既に華さんのお兄さんに半を押して貰いました。」
父は小切手を取り破ろうとした。
「資料の後ろから3ページ目までは、調査の際にたまたま見つけてしまったものなので、ご自由にご覧下さい。」
父の手が止まる。母は慌ててページをめくった。
ガタンッ
父が膝から崩れた。母も呆然としている。
「華。今日は、私ときなさい。」
そう言って私の手を取り、私は初めて見る父と母の異様な光景を後にした。
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