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第一章 過去
16話 再会
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「あ、お母さん?来週帰るから。うん、バスケ部の同窓会があるの。そう。金曜の夜になると思う。うん、ご飯はいらないから。うん、じゃあね」
律子は金曜日の仕事が終わってから実家に帰ることにした。
一昨日、香織から連絡をもらった時は驚いた。それは女子バスケ部OG会の誘いだった。
知らない番号からだった。
「もしもし?」
「もしもしわかる?香織だよ!」
「え?香織さん?」
「そう!律、久しぶりー!!」
「……」
「律?聞こえてる?」
「……」
「もしもし?おーい、りつー」
「香織さ~ん!」
律子は泣きながら答えた。
「律、ごめん、私ももらい泣きしそう。お互い落ち着こう」
香織は少し間を置いてから話し出した。
「律、元気?」
「はい、元気です。香織さんは元気ですか?番号変わってたんですね」
「そっかぁ。番号変わったの言ってなかったね、それと私、結婚したんだよ」
「え?え?本当ですか?」
「うん、去年ね。結婚式には律も来て欲しかったんだけどね…」
「すみません…」
「律のせいじゃないよ。涼一が悪い!」
「いえ、私がいけないんです。涼一さんを大切にできなかったから…香織さんに応援してもらったのに…ごめんなさい」
律子はまた涙ぐんだ。
その空気を変えるように香織が言った。
「それと、今度OG会があるんだけどね。律、久しぶりに帰って来ない?」
「でも…」
「大丈夫、今回はOGだけだし、みんな待ってるよ!それに涼一には言うつもりないから」
しばらく考え込んで律子は答えた。
「わかりました…帰ります」
「本当に?」
「はい」
「よかった、楽しみにしてるね!あと、律の呼び方でいいんだよ?涼一でいいんだから」
「…はい。香織さん…」
「ん?」
「ありがとうございます…」
「うん…会えるのを楽しみにしてる」
「はい。失礼します」
静かに電話を切った。
OG会は土曜日だったが、金曜日の夜に帰省して香織と会うことにした。
「香織さんと会うのは何年ぶりだろう?ちゃんと話せるかなぁ?何年たっても緊張するなぁ」
居酒屋の前で香織を待ちながら考えていた。
「おーい!律~久しぶりー!」
「香織さーん、お久しぶりでーす!」
「おおー!律、綺麗ー!!髪も伸ばしてるしどんどん綺麗になってくねー」
「もー、からかわないで下さいよ~」
「本当だよ、大人になったね」
「香織さんに言われると嬉しいです。香織さんは私の憧れだから」
「またまたー、上手いね」
「本当ですよぉ~」
二人はビールで再会を祝った。
「乾杯ー!!」
料理がくるまでお通しの枝豆をつまみにしながら昔話で盛り上がった。
「とこで、律、仕事は?頑張ってる??」
「はい。いろいろ大変ですけど頑張ってます!」
「そっか…」
「実は、りっ、」
「香っ」
「?!」
二人同時に言った。
「あっ、香織さん、何ですか?」
「いや、律からどうぞ」
「はい…香織さん、私…」
「ん?どうした?」
「はい…実は彼氏ができました」
香織は驚くこともなく言った。
「そっかー!やったじゃん!よかったね!」
「ありがとうございます。香織さんは?」
「ああ、えっとね、実は涼一も彼女いるみたいなの。最近できたみたいで、会ったことはないんだけど」
「そうですか…」
「でも、律、よかったね、いい人できたんだ…
どんな人なの?」
「え?ああ、学生の時にバイト仲間だった人なんです。知り合ってから、ずっと好きでいてくれてたみたいで。その事を最近知って…その人と一緒にいるとなぜか落ち着くんです。自然で居られるというか…この人のこと好きだなぁって思えて…」
「そっかぁ…そうだよねぇ、こんないい子を世の男がほっとくわけないもんね」
「そんなこと…」
「幸せ…なんだね」
「はい…」
「よかったよ、ずっと気になってたんだぁ。涼一はあんなだから律は苦労しただろうし、幸せになって欲しかったから」
「そんな事ないです、涼一さ、…涼一との時間は私にとって大切なものだったし、苦労だなんて思ったことなかったです…。本当に好きだったから…。だから…別れたあの日から私の時間は止まったままでした…」
「はぁ、あいつはバカだね!」
「え?」
「涼一だよ!律を手離したことを後悔する時がくると思う」
「そんな事ないですって。涼一も彼女と幸せになって欲しいです…私と居た時よりも…」
「そっか…時間は動き出したんだね…」
「はい…」
「ねえ、律、もう一回乾杯しよう!」
「はい!」
学生時代、姉妹のようだったふたりにはそれ以上の言葉はいらなかった。
「じゃあ律、明日は11時から現役組と試合だからね!」
「わかりました、筋肉痛覚悟で頑張ります!」
香織はタクシーで帰ったが律子は歩いて帰る事にした。
「この辺歩くのも久しぶりだなぁ。涼一と歩いたよね、この道も…」
今はその道を1人で歩いている。複雑な思いを抱えながら…。
ピピッ!
ピピッ!
隆からのメールだった。
(先輩と会えた?楽しく飲めてる?)
(会えたよー!久しぶりで楽しかった!今は家に帰ってるところです)
(そっか。気をつけて帰るんだぞーこっちに戻ったら会いたいなー)
(私も。戻ったら連絡するね)
隆には香織と涼一が兄弟だと言えずにいた。
「あっ、あの人」
「ん?里奈?なに?」
友達と食事帰りの里奈は律子と反対側の歩道を歩いていた。
「どうしたの?」
友達が訊ねた。
「いや、別に。なんでもないよ、行こう」
(髪長かったなぁ…)
空気の澄んだ夜の街を歩きながら写真で見た律子の顔を思い浮かべていた。
次の日の夕方。OG会が終わり、帰り仕度を終えた律子は香織に言った。
「じゃあ香織さん、帰ります!」
「律、相変わらず動きよかったじゃん!」
「そんな事ないですよー!全然ダメダメです」
「律子またねー」
「律子先輩お疲れ様でしたー」
先輩後輩の有り難さが身にしみる。皆んなに向けて律子は言った。
「ありがとうございました。また…」
帰りの車の中で隆に電話した。
「もしもし、今から帰るね」
「律ちゃん、何時に帰る?もう寂しくて死にそう」
「あははは!オーバーだよ」
(そう、私にはこの人が待ってくれている。私の事を思い続けてくれたこの人が…)
「だってもう2日も会ってないんだぜ。今日会えなかったら俺どうしたらいいんだよ」
「ははは…バカなの?」
隆は言った。
「律ちゃん。早く会いたいね」
「うん…私も。なるべく早く帰るから、待っててね!」
律子はスピードを上げた。
律子は金曜日の仕事が終わってから実家に帰ることにした。
一昨日、香織から連絡をもらった時は驚いた。それは女子バスケ部OG会の誘いだった。
知らない番号からだった。
「もしもし?」
「もしもしわかる?香織だよ!」
「え?香織さん?」
「そう!律、久しぶりー!!」
「……」
「律?聞こえてる?」
「……」
「もしもし?おーい、りつー」
「香織さ~ん!」
律子は泣きながら答えた。
「律、ごめん、私ももらい泣きしそう。お互い落ち着こう」
香織は少し間を置いてから話し出した。
「律、元気?」
「はい、元気です。香織さんは元気ですか?番号変わってたんですね」
「そっかぁ。番号変わったの言ってなかったね、それと私、結婚したんだよ」
「え?え?本当ですか?」
「うん、去年ね。結婚式には律も来て欲しかったんだけどね…」
「すみません…」
「律のせいじゃないよ。涼一が悪い!」
「いえ、私がいけないんです。涼一さんを大切にできなかったから…香織さんに応援してもらったのに…ごめんなさい」
律子はまた涙ぐんだ。
その空気を変えるように香織が言った。
「それと、今度OG会があるんだけどね。律、久しぶりに帰って来ない?」
「でも…」
「大丈夫、今回はOGだけだし、みんな待ってるよ!それに涼一には言うつもりないから」
しばらく考え込んで律子は答えた。
「わかりました…帰ります」
「本当に?」
「はい」
「よかった、楽しみにしてるね!あと、律の呼び方でいいんだよ?涼一でいいんだから」
「…はい。香織さん…」
「ん?」
「ありがとうございます…」
「うん…会えるのを楽しみにしてる」
「はい。失礼します」
静かに電話を切った。
OG会は土曜日だったが、金曜日の夜に帰省して香織と会うことにした。
「香織さんと会うのは何年ぶりだろう?ちゃんと話せるかなぁ?何年たっても緊張するなぁ」
居酒屋の前で香織を待ちながら考えていた。
「おーい!律~久しぶりー!」
「香織さーん、お久しぶりでーす!」
「おおー!律、綺麗ー!!髪も伸ばしてるしどんどん綺麗になってくねー」
「もー、からかわないで下さいよ~」
「本当だよ、大人になったね」
「香織さんに言われると嬉しいです。香織さんは私の憧れだから」
「またまたー、上手いね」
「本当ですよぉ~」
二人はビールで再会を祝った。
「乾杯ー!!」
料理がくるまでお通しの枝豆をつまみにしながら昔話で盛り上がった。
「とこで、律、仕事は?頑張ってる??」
「はい。いろいろ大変ですけど頑張ってます!」
「そっか…」
「実は、りっ、」
「香っ」
「?!」
二人同時に言った。
「あっ、香織さん、何ですか?」
「いや、律からどうぞ」
「はい…香織さん、私…」
「ん?どうした?」
「はい…実は彼氏ができました」
香織は驚くこともなく言った。
「そっかー!やったじゃん!よかったね!」
「ありがとうございます。香織さんは?」
「ああ、えっとね、実は涼一も彼女いるみたいなの。最近できたみたいで、会ったことはないんだけど」
「そうですか…」
「でも、律、よかったね、いい人できたんだ…
どんな人なの?」
「え?ああ、学生の時にバイト仲間だった人なんです。知り合ってから、ずっと好きでいてくれてたみたいで。その事を最近知って…その人と一緒にいるとなぜか落ち着くんです。自然で居られるというか…この人のこと好きだなぁって思えて…」
「そっかぁ…そうだよねぇ、こんないい子を世の男がほっとくわけないもんね」
「そんなこと…」
「幸せ…なんだね」
「はい…」
「よかったよ、ずっと気になってたんだぁ。涼一はあんなだから律は苦労しただろうし、幸せになって欲しかったから」
「そんな事ないです、涼一さ、…涼一との時間は私にとって大切なものだったし、苦労だなんて思ったことなかったです…。本当に好きだったから…。だから…別れたあの日から私の時間は止まったままでした…」
「はぁ、あいつはバカだね!」
「え?」
「涼一だよ!律を手離したことを後悔する時がくると思う」
「そんな事ないですって。涼一も彼女と幸せになって欲しいです…私と居た時よりも…」
「そっか…時間は動き出したんだね…」
「はい…」
「ねえ、律、もう一回乾杯しよう!」
「はい!」
学生時代、姉妹のようだったふたりにはそれ以上の言葉はいらなかった。
「じゃあ律、明日は11時から現役組と試合だからね!」
「わかりました、筋肉痛覚悟で頑張ります!」
香織はタクシーで帰ったが律子は歩いて帰る事にした。
「この辺歩くのも久しぶりだなぁ。涼一と歩いたよね、この道も…」
今はその道を1人で歩いている。複雑な思いを抱えながら…。
ピピッ!
ピピッ!
隆からのメールだった。
(先輩と会えた?楽しく飲めてる?)
(会えたよー!久しぶりで楽しかった!今は家に帰ってるところです)
(そっか。気をつけて帰るんだぞーこっちに戻ったら会いたいなー)
(私も。戻ったら連絡するね)
隆には香織と涼一が兄弟だと言えずにいた。
「あっ、あの人」
「ん?里奈?なに?」
友達と食事帰りの里奈は律子と反対側の歩道を歩いていた。
「どうしたの?」
友達が訊ねた。
「いや、別に。なんでもないよ、行こう」
(髪長かったなぁ…)
空気の澄んだ夜の街を歩きながら写真で見た律子の顔を思い浮かべていた。
次の日の夕方。OG会が終わり、帰り仕度を終えた律子は香織に言った。
「じゃあ香織さん、帰ります!」
「律、相変わらず動きよかったじゃん!」
「そんな事ないですよー!全然ダメダメです」
「律子またねー」
「律子先輩お疲れ様でしたー」
先輩後輩の有り難さが身にしみる。皆んなに向けて律子は言った。
「ありがとうございました。また…」
帰りの車の中で隆に電話した。
「もしもし、今から帰るね」
「律ちゃん、何時に帰る?もう寂しくて死にそう」
「あははは!オーバーだよ」
(そう、私にはこの人が待ってくれている。私の事を思い続けてくれたこの人が…)
「だってもう2日も会ってないんだぜ。今日会えなかったら俺どうしたらいいんだよ」
「ははは…バカなの?」
隆は言った。
「律ちゃん。早く会いたいね」
「うん…私も。なるべく早く帰るから、待っててね!」
律子はスピードを上げた。
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