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第一章 過去
1話 告白
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「今日はカップ麺にするかなぁ」
車の中で前田涼一は呟いた。
もうすぐ夏本番だというのに冷房の効きが悪い。首元からジワリと染み出す汗を拭いながら誰もいない助手席に視線を移した。
「ふぅ」
苛つきながらギアをDレンジに入れ重だるく走り出した。
律子と別れて4年が経つ。
別れた日は夕立ちがあり、雨上がりはアスファルトの匂いがした。涼一は幼い頃からその匂いが好きだった。
彼女だった斉藤律子は涼一の2つ上で26才。歯科衛生士だ 。律子は高校時代の先輩で部活も同じバスケ部だった。キャプテンとして活躍した律子は容姿端麗ですれ違いに振り返る人がいる程だった。だが、気の強さも表情に現れていて周りからはいわゆる高嶺の花とされていた。口元に色気を感じさせる小さなホクロがあって、律子はそのホクロが嫌だと言っていた。
付き合い始めたきっかけは律子からだった。
「涼一君、彼女いるの?」
突然だった。
「え?」
「居るのか居ないのか聞いてんの!」
「い、居ませんけど?」
「じゃあ私と付き合ってよ」
「え?」
「だから!私と付き合ってって言ってるの!」
突然の告白に言葉を失くし立ち尽くしていた。律子から檄が飛び、蚊の鳴くような声を絞りだした。
「あ、あの~。俺でいいんですか?俺、釣り合います?律子先輩と」
「もう!バカ!そんなだからバスケも上手くなんないのよ!」
「す、すみません…」
「で?返事は?」
「ご、ごめんなさい、あつ、違う、よろしくお願いします」
ようやく律子は笑顔になった。
「うん。あっ、そうだ、今日から敬語やめてよね!彼女なんだから、私」
「えー!いきなりは無理ですよー」
「なんでもいいから、敬語はダーメ!」
「わかりました…」
「…バカなの?」
(そのあとはあまり覚えていない。)
律子の甘い髪の匂いだけが印象に残った。
◇
「涼一、部活のあと時間ある?」
夏休み間近の放課後だった。体育館の入り口で律子は言った。
「大丈夫だよ」
「ちょっと話があるんだけど」
「うん」
部活の帰り、ふたりはファミレスで話した。涼一はドリンクバーで炭酸飲料を注ぎ、律子に手渡しながら言った。
「話って何?」
「うん。進路のことなんだけど。私、歯科衛生士になりたいんだよね」
「へぇ意外だね」
「ん?何が?!」
「い、いやなんでもない…」
(やはり律子の迫力には敵わないな…)
「涼一はどう思う?」
「うーん。いいと思う。ナース服好きだし」
「コラコラ!」
「冗談だよ。やりがいのある仕事だと思うし、応援するよ」
「うん。ありがとう…頑張るね」
ふたりの街は海沿いにあり少し歩けば海にたどり着く 。ファミレスを出たふたりは夕暮れの海にいた。並んで座り黙ったまま海を眺めた。律子の横顔は淡い夕陽のオレンジ色に染まり、二重瞼の大きな瞳は少し潤んで見えた。涼一は律子の肩を抱き、頬に優しくキスをした。律子は恥ずかしそうに体を縮め寄り添った。涼一はそんな律子が愛おしく、いつまでもこうしていたいと思った。
唇にキスしたあと律子が言った。
「ねえ、涼一、私、今日は帰らなくてもいいの…」
「え?どういうこと?」
「両親は法事でおばあちゃん家に泊まりで行ってるんだぁ。弟もね」
「行かなかったんだ」
「うん。涼一と一緒に居たかったから…」
「そっか…。じゃあ俺も今日は雅彦のうちに泊まるとするか」
「私たちワルだね!」
「そうかも」
二人は顔を見合わせて笑った。
アリバイ作りの協力者、悪友の須藤雅彦に電話した。
「雅彦ごめん、名前借りるぞ」
「ああ、わかった。上手くやっとくから、心配すんな。律子先輩によろしくな」
「あっ、雅彦、ちょっと待ってくれ」
涼一は律子に電話を代わった。
「もしもし?雅彦君、ごめんね。お願いね」
「律子先輩、大丈夫ですよ、お任せ下さい。涼一は押しが弱いから大変ですね!頑張って下さい」
「うん。ありがとう」
涼一は母親にも電話をした。
「あっ母さん?俺だけど、今日雅彦の家に泊まるから」
「まさ君の家?わかったけど、明日は早く帰って来なさいよ!迷惑かけるんじゃないよ」
「わかってるよ!じゃあね」
涼一はニヤケて言った。
「よし!アリバイ工作完了。律子、どこ行こうか?」
「涼一に任せるよ」
「うーん。カラオケは?」
「いーねー」
「行こう!」
この街に2つあるカラオケボックスは人気も二分していた。料金が安い店と質の高い店があって、学生は料金で選ぶし、大人は質を大事にした。ふたりは料金重視で決めていた。
受付はスムーズで直ぐに入れた。律子も歌ってはいたが、ほとんどは涼一が歌うのを一緒に口ずさんでいた。
「歌はバスケより上手いね!」
律子が微笑んで言った。
「ん?どういうことかな?」
「そのままや…」
内線電話が鳴った。
「お時間10分前です。延長なさいますか?」
「いえ、出ます」
それから1曲ずつ歌い店を出た。
「律子、本当に帰んなくてもいいの?」
「うん。大丈夫だよ…」
再度確認した涼一はありったけの勇気を振り絞って言った。
「律子…」
「ん?」
「あの…その…ホテル…」
「え?」
「その…あの…」
少し間が空いて律子は言った。
「いいよ…」
「え?え?本当に?」
「うん…」
ふたりは街外れにあるラブホテルへ向かった。
1階のロビーは人影もなく各部屋の写真と料金が載った案内板があった。空室だけが点灯していて涼一は右手が届く一番近いボタンを押した。選んだ部屋の案内板が点滅し(そのままお部屋へ)アナウンスが流れた。ふたりは黙ったままエレベーターに乗った。
部屋は3階だった。
301のランプが点滅していて直ぐにわかった。ドアを開けると自動で照明がつくようになっていた。初めてみる光景によそよそしくなり必死に言葉を探した。
「涼一、見て、これ有線かな?」
「多分…つけてみようか?」
「うん」
ふたりはダブルベットに寝そべり、涼一は枕元にある操作パネルのスイッチを入れてみると、どこからともなく聴き覚えのない曲が流れてきた。
「誰の曲?」
律子が訊ねた。
「さあ?でもイイねこの感じ」
「そうだね…」
律子は目を閉じて聴いていた。
どれくらい経ったろう…。ほんの数分かもしれないし、数時間かもしれない。時間はわからなかった。
「律子…」
「はい」
「好きだよ…」
「私も…」
涼一は唇にそっとキスをして律子もそれを受け入れた。
さっき覚えた照明のボリュームを下げ、薄暗くなった部屋の中で律子の胸に手を這わせた。ブラウスのボタンを外し、体のラインに沿って後ろのホックを外すと緩んだブラジャーの隙間から形の整った乳房があらわになった。キスをしながら乳首と乳房を愛撫すると律子は敏感に反応し恥じらいながら涼一の右手を掴んだ。
「律子…大丈夫…?」
「うん…でも…恥ずかしい…かな…」
律子は深く息を吸い込み、小さく震えながら少しずつ吐き出した。
初めての不安と緊張に耐えている姿に、涼一は何度も恋をした。
「本当に…いいの…?」
「う、うん…。も~ぅ、恥ずかしいよぅ」
律子は顔を片手で覆って言った。
「でも…初めてが涼一でよかった…」
涼一は黙ったまま強く抱きしめた。
ふたりは自然に ひとつになった。
車の中で前田涼一は呟いた。
もうすぐ夏本番だというのに冷房の効きが悪い。首元からジワリと染み出す汗を拭いながら誰もいない助手席に視線を移した。
「ふぅ」
苛つきながらギアをDレンジに入れ重だるく走り出した。
律子と別れて4年が経つ。
別れた日は夕立ちがあり、雨上がりはアスファルトの匂いがした。涼一は幼い頃からその匂いが好きだった。
彼女だった斉藤律子は涼一の2つ上で26才。歯科衛生士だ 。律子は高校時代の先輩で部活も同じバスケ部だった。キャプテンとして活躍した律子は容姿端麗ですれ違いに振り返る人がいる程だった。だが、気の強さも表情に現れていて周りからはいわゆる高嶺の花とされていた。口元に色気を感じさせる小さなホクロがあって、律子はそのホクロが嫌だと言っていた。
付き合い始めたきっかけは律子からだった。
「涼一君、彼女いるの?」
突然だった。
「え?」
「居るのか居ないのか聞いてんの!」
「い、居ませんけど?」
「じゃあ私と付き合ってよ」
「え?」
「だから!私と付き合ってって言ってるの!」
突然の告白に言葉を失くし立ち尽くしていた。律子から檄が飛び、蚊の鳴くような声を絞りだした。
「あ、あの~。俺でいいんですか?俺、釣り合います?律子先輩と」
「もう!バカ!そんなだからバスケも上手くなんないのよ!」
「す、すみません…」
「で?返事は?」
「ご、ごめんなさい、あつ、違う、よろしくお願いします」
ようやく律子は笑顔になった。
「うん。あっ、そうだ、今日から敬語やめてよね!彼女なんだから、私」
「えー!いきなりは無理ですよー」
「なんでもいいから、敬語はダーメ!」
「わかりました…」
「…バカなの?」
(そのあとはあまり覚えていない。)
律子の甘い髪の匂いだけが印象に残った。
◇
「涼一、部活のあと時間ある?」
夏休み間近の放課後だった。体育館の入り口で律子は言った。
「大丈夫だよ」
「ちょっと話があるんだけど」
「うん」
部活の帰り、ふたりはファミレスで話した。涼一はドリンクバーで炭酸飲料を注ぎ、律子に手渡しながら言った。
「話って何?」
「うん。進路のことなんだけど。私、歯科衛生士になりたいんだよね」
「へぇ意外だね」
「ん?何が?!」
「い、いやなんでもない…」
(やはり律子の迫力には敵わないな…)
「涼一はどう思う?」
「うーん。いいと思う。ナース服好きだし」
「コラコラ!」
「冗談だよ。やりがいのある仕事だと思うし、応援するよ」
「うん。ありがとう…頑張るね」
ふたりの街は海沿いにあり少し歩けば海にたどり着く 。ファミレスを出たふたりは夕暮れの海にいた。並んで座り黙ったまま海を眺めた。律子の横顔は淡い夕陽のオレンジ色に染まり、二重瞼の大きな瞳は少し潤んで見えた。涼一は律子の肩を抱き、頬に優しくキスをした。律子は恥ずかしそうに体を縮め寄り添った。涼一はそんな律子が愛おしく、いつまでもこうしていたいと思った。
唇にキスしたあと律子が言った。
「ねえ、涼一、私、今日は帰らなくてもいいの…」
「え?どういうこと?」
「両親は法事でおばあちゃん家に泊まりで行ってるんだぁ。弟もね」
「行かなかったんだ」
「うん。涼一と一緒に居たかったから…」
「そっか…。じゃあ俺も今日は雅彦のうちに泊まるとするか」
「私たちワルだね!」
「そうかも」
二人は顔を見合わせて笑った。
アリバイ作りの協力者、悪友の須藤雅彦に電話した。
「雅彦ごめん、名前借りるぞ」
「ああ、わかった。上手くやっとくから、心配すんな。律子先輩によろしくな」
「あっ、雅彦、ちょっと待ってくれ」
涼一は律子に電話を代わった。
「もしもし?雅彦君、ごめんね。お願いね」
「律子先輩、大丈夫ですよ、お任せ下さい。涼一は押しが弱いから大変ですね!頑張って下さい」
「うん。ありがとう」
涼一は母親にも電話をした。
「あっ母さん?俺だけど、今日雅彦の家に泊まるから」
「まさ君の家?わかったけど、明日は早く帰って来なさいよ!迷惑かけるんじゃないよ」
「わかってるよ!じゃあね」
涼一はニヤケて言った。
「よし!アリバイ工作完了。律子、どこ行こうか?」
「涼一に任せるよ」
「うーん。カラオケは?」
「いーねー」
「行こう!」
この街に2つあるカラオケボックスは人気も二分していた。料金が安い店と質の高い店があって、学生は料金で選ぶし、大人は質を大事にした。ふたりは料金重視で決めていた。
受付はスムーズで直ぐに入れた。律子も歌ってはいたが、ほとんどは涼一が歌うのを一緒に口ずさんでいた。
「歌はバスケより上手いね!」
律子が微笑んで言った。
「ん?どういうことかな?」
「そのままや…」
内線電話が鳴った。
「お時間10分前です。延長なさいますか?」
「いえ、出ます」
それから1曲ずつ歌い店を出た。
「律子、本当に帰んなくてもいいの?」
「うん。大丈夫だよ…」
再度確認した涼一はありったけの勇気を振り絞って言った。
「律子…」
「ん?」
「あの…その…ホテル…」
「え?」
「その…あの…」
少し間が空いて律子は言った。
「いいよ…」
「え?え?本当に?」
「うん…」
ふたりは街外れにあるラブホテルへ向かった。
1階のロビーは人影もなく各部屋の写真と料金が載った案内板があった。空室だけが点灯していて涼一は右手が届く一番近いボタンを押した。選んだ部屋の案内板が点滅し(そのままお部屋へ)アナウンスが流れた。ふたりは黙ったままエレベーターに乗った。
部屋は3階だった。
301のランプが点滅していて直ぐにわかった。ドアを開けると自動で照明がつくようになっていた。初めてみる光景によそよそしくなり必死に言葉を探した。
「涼一、見て、これ有線かな?」
「多分…つけてみようか?」
「うん」
ふたりはダブルベットに寝そべり、涼一は枕元にある操作パネルのスイッチを入れてみると、どこからともなく聴き覚えのない曲が流れてきた。
「誰の曲?」
律子が訊ねた。
「さあ?でもイイねこの感じ」
「そうだね…」
律子は目を閉じて聴いていた。
どれくらい経ったろう…。ほんの数分かもしれないし、数時間かもしれない。時間はわからなかった。
「律子…」
「はい」
「好きだよ…」
「私も…」
涼一は唇にそっとキスをして律子もそれを受け入れた。
さっき覚えた照明のボリュームを下げ、薄暗くなった部屋の中で律子の胸に手を這わせた。ブラウスのボタンを外し、体のラインに沿って後ろのホックを外すと緩んだブラジャーの隙間から形の整った乳房があらわになった。キスをしながら乳首と乳房を愛撫すると律子は敏感に反応し恥じらいながら涼一の右手を掴んだ。
「律子…大丈夫…?」
「うん…でも…恥ずかしい…かな…」
律子は深く息を吸い込み、小さく震えながら少しずつ吐き出した。
初めての不安と緊張に耐えている姿に、涼一は何度も恋をした。
「本当に…いいの…?」
「う、うん…。も~ぅ、恥ずかしいよぅ」
律子は顔を片手で覆って言った。
「でも…初めてが涼一でよかった…」
涼一は黙ったまま強く抱きしめた。
ふたりは自然に ひとつになった。
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