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第一章
2.夢の正体
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モニターに映っていたのは、先程まで見ていた夢に出ていた少年に瓜二つの男であった。
何やらこちらへ語りかけているようだが、音声はなく、何を意図しているものなのかはわからなかった。
だが、切迫した印象であることは確かで、まるで何かを伝えようと必死になっているように見えた。
(何を伝えたいんだ……?それに──)
それにプラスして、謎なのは数字である。
メモリースティックにメモのように貼り付けられているところから予測するに、暗証番号や、動画のフォルダの何かを解除するキーのようなものだと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
メモには、
『13.6.1995.4.2.2』
と記されている。
「全くわからん……」
独りごちる九曜は、そのまま椅子の背もたれに体を預け、頭に手をやった。
夢で出会った少年が、何かを訴えている。
それだけでも驚きであるのに、謎までついてきたとは、忙しい限りである。
(何なんだろうな、一体)
九曜は、そのままディスプレイの電源を再起動させ、通常業務である宇宙監視へと戻った。
「主任っ、差し入れっすよぉー」
「おお、置いておいてくれ」
灯が気を利かせて、コーヒーを持ってきた。
「それにしたって、暇な事業っすよねぇ、うち」
「戦時下とはいえ、我々の母星であるck102はあくまで同盟関係にあるだけで、戦争に直接参加はしてないからな」
「我々の、ねぇ……
っても、宇宙の異変を察知するためーとか言っても、ただ画面見てるだけだし、締まんねぇすよ」
「まぁ、平和なのが何よりだ」
星間戦争の真っ只中である現代は、どの星も巻き込まれることのないように、宇宙監視業というものが設置されている。
九曜も、北斗も灯も、その業務に属している。
だが、その内容は至ってシンプルで、モニターに映る宇宙をただ眺めるだけなのだ。
(まあ、灯が不満を垂れるのも無理はない、か)
というのも、灯は、続く戦争のお陰で母星を追われ、九曜たちのいる星ck102に亡命してきたのだ。
戦争に参加し、自らに振り返る負を払おうとしている灯にとって、この業務は退屈この上ないのだ。
「何だ?あれ……えっ!?いやいやいや」
やばいですって、といきなり立ち上がり、モニターにかじりつく灯に、九曜は驚き、灯の方を掴んだ。
「お、おい、どうした?モニターが見えないからどいてくれ」
「それどころじゃないっす、主任!!
これは、明らかに敵影です!バスターコール案件ですっ!」
「何っ?!」
敵影、というワードに、一気に室内に緊張が奔った。
九曜は、ひとまず上層部へつながる通信機をとり、入電した。
夢のことなどすっかりどこかへいってしまった九曜だが、まさかすぐにその正体に辿り着くとは思いもよらなかった。
何やらこちらへ語りかけているようだが、音声はなく、何を意図しているものなのかはわからなかった。
だが、切迫した印象であることは確かで、まるで何かを伝えようと必死になっているように見えた。
(何を伝えたいんだ……?それに──)
それにプラスして、謎なのは数字である。
メモリースティックにメモのように貼り付けられているところから予測するに、暗証番号や、動画のフォルダの何かを解除するキーのようなものだと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
メモには、
『13.6.1995.4.2.2』
と記されている。
「全くわからん……」
独りごちる九曜は、そのまま椅子の背もたれに体を預け、頭に手をやった。
夢で出会った少年が、何かを訴えている。
それだけでも驚きであるのに、謎までついてきたとは、忙しい限りである。
(何なんだろうな、一体)
九曜は、そのままディスプレイの電源を再起動させ、通常業務である宇宙監視へと戻った。
「主任っ、差し入れっすよぉー」
「おお、置いておいてくれ」
灯が気を利かせて、コーヒーを持ってきた。
「それにしたって、暇な事業っすよねぇ、うち」
「戦時下とはいえ、我々の母星であるck102はあくまで同盟関係にあるだけで、戦争に直接参加はしてないからな」
「我々の、ねぇ……
っても、宇宙の異変を察知するためーとか言っても、ただ画面見てるだけだし、締まんねぇすよ」
「まぁ、平和なのが何よりだ」
星間戦争の真っ只中である現代は、どの星も巻き込まれることのないように、宇宙監視業というものが設置されている。
九曜も、北斗も灯も、その業務に属している。
だが、その内容は至ってシンプルで、モニターに映る宇宙をただ眺めるだけなのだ。
(まあ、灯が不満を垂れるのも無理はない、か)
というのも、灯は、続く戦争のお陰で母星を追われ、九曜たちのいる星ck102に亡命してきたのだ。
戦争に参加し、自らに振り返る負を払おうとしている灯にとって、この業務は退屈この上ないのだ。
「何だ?あれ……えっ!?いやいやいや」
やばいですって、といきなり立ち上がり、モニターにかじりつく灯に、九曜は驚き、灯の方を掴んだ。
「お、おい、どうした?モニターが見えないからどいてくれ」
「それどころじゃないっす、主任!!
これは、明らかに敵影です!バスターコール案件ですっ!」
「何っ?!」
敵影、というワードに、一気に室内に緊張が奔った。
九曜は、ひとまず上層部へつながる通信機をとり、入電した。
夢のことなどすっかりどこかへいってしまった九曜だが、まさかすぐにその正体に辿り着くとは思いもよらなかった。
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