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76話 黒曜石村の殺人 ④:1
しおりを挟むこれは地震から数日が経過した日。
「ふぅ……」
警察の宿舎にて一息をつく彼の名前は大元正義、元々は山梨の刑事である。
特別な存在なくせに【特別】にアレルギーを持つ友人から電話が来た。
嫌な予感を抱えつつも電話に出る。
『ちょっと人を殺す予定のある旅行があるんだけどさ』
要件から入れという人もいるが、要件から入るな心臓に悪い。
憧礼神具は少なくとも悪が嫌いだ。
理由もなく人を殺すことはない。
「それで、俺はどうすればいい?」
もしも超のつく悪人で協力して欲しいなら考えねばならない。
殺すか、殺さないか。
警察としての職務倫理とか、エフ案件では話が代わってくる。
『一緒に黒曜石村の温泉旅館に行こうぜ?』
「俺を誘う目的はなんだ?」
『しいていうなら……【俺をとめてほしい】かな』
「へ?」
『殺したく、無い』
想像と180度ほど違う。
殺したいとのかと思っていたが言葉は殺したくないと続く。
まるで無理やり戦場に立たされた兵士のような発言。
「お前が何か弱みでも握られて殺さなきゃいけない状況なのか?」
『殺さなきゃいけない、でも、本当は彼女のことは……いや、いい、とにかく一緒に行かないか?』
友人からの明確なSOS。
下手をすれば大元正義は濡れ衣を着せられる可能性だってある。
それでも殺されそうな女もシングも見捨てたら後悔が残る。
大元正義は自分のことを誰より理解している。
「分かった、何て名前の宿なんだ?」
『【黒曜石村温泉旅館】』
「それ、この前、大地震が起きた黒曜石村か?」
『大地震が起きた黒曜石村だ』
「もう宿が復興しているのか?それに避難所的な役目になるんじゃ?」
『俺も詳しいことは分からない』
「え?」
『俺たちは招待されたからな』
「大地震が起きた現地に一体なんで招待なんかされるんだ」
『なー行こうよー温泉だよー(何かゴロゴロ音)』
「お前ベッドでゴロゴロしてる?」
『いやこれは猫のゴロゴロだ』
「猫か」
大元正義は猫を飼ったことが無く、懐かれたことも無いため猫がゴロゴロと転がっている図を想像していた。
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