【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

文字の大きさ
158 / 311

77話 黒曜石村の殺人 ⑤:4


 黒曜石村の旅館に来た大元正義と憧礼神具。

「男湯はこっち」
「分かりやすく【男】って書いてあるんだな」
「お前、温泉に来たのいつぶり?」
「子供の頃が最後」
「そんなに温泉って行かないもんかね?」
「俺警察だろ?」
「うん」
「仕事の都合で急に呼び出されるからな……」
「なんかごめん」

 男湯の青い【のれん】を潜り抜けるとヒノキの香りがする広い脱衣所。大きな棚の中に、タオルの入った竹細工の籠。タオルは籠に2枚入っている。もう一つ防水加工の紙に【タオルは籠に返却して下さい】の注意書き、それとこの温泉には肩こりや腰痛、神経痛、冷え性、リウマチに効く成分があるらしい。

「成分とか言われても分からんな」
「そのへんは雰囲気を楽しむもんだ」
「なるほど」
「というかそれに効かない温泉は無い……いや、やめとこう」
「財布はこっちか?」

 コインロッカーがある。

「警察官から財布盗むバカいる?」
「……すまん、職業柄、いるだろって思ってしまった」
「そうなのか?」
「俺が暮らしていた警察官の寮、隣も警察官だったんだけどその隣の部屋で空巣が入ったことがあってな」
「よーしコインロッカーにしっかり財布とスマホしまおう」

 風呂場に入ると、室内の巨大な温泉。
 シャワーが全部で20個、そしてその一つ一つにシャンプーにリンス、ボディソープに椅子が備えつけてある。

「いいか大元、まずは身体を洗ってから入るのがマナーだ」
「分かった」
「洗ったら、室内だ」
「さっそく外じゃないのか?」
「最初から外は寒い、まずは中を堪能だ」
「(こいつ実はとても温泉好きなのでは?)」

 室内の温泉で身体を温め、いよいよ露天風呂。

「……おぉ」

 露天風呂は猿が入っている絵のような雰囲気。
 旅館の中は暖かったが外はやはり12月の寒さ。
 風呂につかる、これはいい。

「確かに効いてる気がする、首の痛みとか」
「お前、何で【ノア】に所属したんだ?」

 ぼんやりしていたが急に所属をふられて驚いた。
 憧礼神具はなんだかぼーっとしたテンション。
 口を滑らせた、とか以前に大したことには思っていないリアクションに見えた。

「……どうしてそれを?」
「菫咲警視監が言ってた」
「理由の半分は俺がノアに入らないと山梨の警察がエフに巻き込まれるからだよ」
「もう半分は?」
「お前」
「……(嫌な顔)」
「ノア入っておかないと簡単に休みがとれないからお前のこういうのに合わせられない」
「ノアなら仕事で申請すればいいじゃん」
「友人との旅行なんか仕事で来たくない」
「ほんとに真面目」
「悪かったな」



あなたにおすすめの小説

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

BL短編まとめ(現) ③

よしゆき
BL
BL小説短編まとめ。 色んな傾向の話がごちゃ混ぜです。 冒頭にあらすじがあります。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。