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77話 黒曜石村の殺人 ⑤:4
黒曜石村の旅館に来た大元正義と憧礼神具。
「男湯はこっち」
「分かりやすく【男】って書いてあるんだな」
「お前、温泉に来たのいつぶり?」
「子供の頃が最後」
「そんなに温泉って行かないもんかね?」
「俺警察だろ?」
「うん」
「仕事の都合で急に呼び出されるからな……」
「なんかごめん」
男湯の青い【のれん】を潜り抜けるとヒノキの香りがする広い脱衣所。大きな棚の中に、タオルの入った竹細工の籠。タオルは籠に2枚入っている。もう一つ防水加工の紙に【タオルは籠に返却して下さい】の注意書き、それとこの温泉には肩こりや腰痛、神経痛、冷え性、リウマチに効く成分があるらしい。
「成分とか言われても分からんな」
「そのへんは雰囲気を楽しむもんだ」
「なるほど」
「というかそれに効かない温泉は無い……いや、やめとこう」
「財布はこっちか?」
コインロッカーがある。
「警察官から財布盗むバカいる?」
「……すまん、職業柄、いるだろって思ってしまった」
「そうなのか?」
「俺が暮らしていた警察官の寮、隣も警察官だったんだけどその隣の部屋で空巣が入ったことがあってな」
「よーしコインロッカーにしっかり財布とスマホしまおう」
風呂場に入ると、室内の巨大な温泉。
シャワーが全部で20個、そしてその一つ一つにシャンプーにリンス、ボディソープに椅子が備えつけてある。
「いいか大元、まずは身体を洗ってから入るのがマナーだ」
「分かった」
「洗ったら、室内だ」
「さっそく外じゃないのか?」
「最初から外は寒い、まずは中を堪能だ」
「(こいつ実はとても温泉好きなのでは?)」
室内の温泉で身体を温め、いよいよ露天風呂。
「……おぉ」
露天風呂は猿が入っている絵のような雰囲気。
旅館の中は暖かったが外はやはり12月の寒さ。
風呂につかる、これはいい。
「確かに効いてる気がする、首の痛みとか」
「お前、何で【ノア】に所属したんだ?」
ぼんやりしていたが急に所属をふられて驚いた。
憧礼神具はなんだかぼーっとしたテンション。
口を滑らせた、とか以前に大したことには思っていないリアクションに見えた。
「……どうしてそれを?」
「菫咲警視監が言ってた」
「理由の半分は俺がノアに入らないと山梨の警察がエフに巻き込まれるからだよ」
「もう半分は?」
「お前」
「……(嫌な顔)」
「ノア入っておかないと簡単に休みがとれないからお前のこういうのに合わせられない」
「ノアなら仕事で申請すればいいじゃん」
「友人との旅行なんか仕事で来たくない」
「ほんとに真面目」
「悪かったな」
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