【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

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79話 黒曜石村の殺人 ⑦


 【憧礼神具】は焦っていた。
 自分が人を殺すことは考えていた。
 けれど誰かが大きな事件を起こすことを考えて無かったから。

「急げ大元、宴会場だ」
「分かった!!」

 宴会場にはほとんどのフォロワーズが揃っていた。
 だがパンドラだけいない。
 よりによって何てタイミングでいなくなるのだろうか。

「良子さん!!」
「はい」
「パンドラ知りませんか!?」
「……私はすぐに宴会場に戻りましたが、パンドラさんは部屋においてきましたよ」
「みて来てくんね!?」
「分かりました」

 ガラクタが急いで部屋から出たので追いかけた。

「おい、どこいくんだ!?」
「トイレだけど?」
「俺らも行こう、まさか男子トイレに隠れているなんてことはやめてほしいが」
「あの女確かにやりかねねーけど俺【普通】にトイレ行きたいだけだぞ」

 緊張感の漂う連れション。

「このトイレくさいな?」

 手を洗う水道に鏡、個室ではない小便器は二つ。
 ガラクタがそこにあった小便器で用を足す。
 俺たちは奥の個室を確認。

「……え?」

 トイレには4つのトビラ。
 一つは明らかに掃除用具入れである。
 残りの三つは個室。
 開いているのは一部屋だけ。
 
「なぁ、さっき男のフォロワーズ全員そろってたよな?」
「いなかったら今頃、ソイツも探している」
「じゃあ何で個室の扉ががふたつも閉まってる訳?」
「……あれ?マジだ」

 鍵は青色だが、扉は閉じていて中々開かない。
 扉を開けるとベリッという何かが剥がれる音と共に開いた。
 便器にはパンドラの死体が座っていた。

 首から大量の血が流れている。

「え?」
「お、おいシング!?」
「コイツ生きているか確認してもらえるか?」
「……脈を測ってみたが、もう死んでいる」
 
 首を切られている様子と、落ちている血の付いたナイフ。
 パンドラを殺すつもりなど一ミリも無かった。
 うざいなーとは思ってはいたがそれぐらいで人殺しするほどの【特別な人間】ではない。むしろ悲しい。

「嘘だろ、お、おいパンドラ!?」

 ガラクタが触れようとしてとめた。

「待て触るな!!」
「お前フォロワーズ嫌いなんだろ!?」

 ホコリは大元が犯人じゃないかと混乱して言い放っている様子。

「大元なら今日はずっと俺につきっきりだ、お互いに犯人じゃないって言える……それより、この扉だ」

 もう一つ奥の個室を開けた。
 またも【ベリッ】という音が鳴る。
 そこには旅館の従業員男性が絞殺された死体。
 目や舌、糞尿などが飛び出ている。

「シング、これフォロワーズの犯行だと思うか?」
「現時点では何とも」

 もしこれが最悪の場合パンドラが口封じとかで外部犯に殺されていた場合が文字通り死ぬほど厄介。
 一般人がフォロワーズを殺したとなればオウルも動かざるを得ない。

「一般人が死んでいる以上、もみ消すこともできないぞ」
「待機している菫咲警視監に事件を担当してもらうか」

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