【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

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16話 五角島殺人事件⑤:2

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 ウェイが死んでしまった日、アンチは警察に連絡していた。
 普通にスマホで110である。
 何せ人が死んでいる、普通ならば警察、あるいはレスキューか、ヤバイ状況なのは明らかだった。

『風が強くて行けません』
「ヘリコプター駄目でも船はどや!?」
『船』
「なんで船出せないんや!?」
『風がありすぎてヘリが飛ばせないんです……その五角島は船で向かうにしても』
「人死んでんねんぞ!?警察も来られへんのか!?」
『……はい』

 ホルマリンは気づいていた。
 今回の話、何もかもがおかしいことに。
 波が高い?風が強い?今は真昼、風は確かに少しは強い。
 だが、殺人でヘリが飛べないなど今の日本であるのか?

「良子さん」
「何でしょうか?」
「仲間に頼みます」

 私は大学教授である。
 専門は海の生態系、どんな魚がいて何色で何を食べるなどを研究している。
 だから今回の怪しい話も、この島の海を調べるいいチャンスだと思って引き受けることにした。
 怪しい話過ぎてまともな学生は喰いつかなかった。
 前期遊びほうけていたウェイは大学の厳しさを知り、前期で留年が確定しかけたところだったので私の話には飛びついた。

 私がこんなところに来なければ、彼は死ななかった。

「仲間、ですか?」
「私は海に詳しいのですが、この程度の波なら―――」
「やめたほうがいいでしょうね」
「何故、でしょうか?」

 やはり島の持ち主である居間良子は何か知っている。
 探偵と医者がいて、まるで彼らの為に用意された舞台。
 自分が推理小説の中に入り混んでしまったような。

「忠告はしました、あとは『知ったことではないです』」
「なっ、人が死んでいるのですよ!?」
「女性にくってかかるのは良くないで!?きっとこんなことになって混乱しとるんやろ」
「混乱、ですか?」

 ちがう、混乱じゃない。でもその証拠もない。
 平成のこの時代に女性に何か言うのはこちらが不利。
 ジーヤさんはもくもくと食事の準備をしている。

「ジーヤさん、少し……二人でお話しませんか?」
「では私の部屋へどうぞ」
「二人っきりにこの状況でなるなや!?」
「この状況で私が殺されたら犯人は分かりますね」
「せやけども!?」
「行きましょう」

 ジーヤさんのお部屋に招かれた。
 眠る為のベッドと机と椅子が二つ、たったこれだけ。
 この異様な部屋の椅子に座った。

「殺人事件が起きることを知っていましたか?」
「……いいえ?」
「犯人を知っていますか?」
「いいえ、知りません」
「仲間に船を出してもらうと死ぬ、というのは?」
「邪魔だからでしょうね」
「邪魔?」
「私はオウル様の忠実なるしもべですから、オウル様に命令されたこと以上はしませんよ」
「死にますよ!?」
「それが何か?」
「は、はい!?」
「……もし死んだとしても、私はオウル様の役にたてたのです」
「死んでは元も子もないでしょう?」
「いいえ」
「いいえ!?」
「子供に身を喰わせる蜘蛛と同じです、愛ですよ」
「その、オウル様とは恋仲なのでしょうか?」
「恋仲ではありません、『神』にだって誓って付き合いません」
「頼まれても?」
「そういう仲ということにしておけ、という意味であれば従う、私はそういう存在ですから」

 何て狂った人なのだろう。
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