【魔法使い】と【死にたがり探偵】~マイナス千点のミステリー~

宝者来価

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42話 ハーメルンの笛吹き男②:5

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 ヘドロは病院で実に12人もの命を救った。
 手術が終わったので部屋から出て、人々に群がられた。
 無視して待合室の長い黄緑色のいかにも病院にありそうな椅子に寝転がるヘドロ。

「手術おわったばかりで気力がないんです、手術は成功しましたので皆さん彼に近寄らないようにお願いします」
『なんでもっと早くきてくれなかったんだ!?』

寝いてるヘドロに怒鳴りつける老人。
いくらなんでもと間に他の村人が仲介に入る。
ヘドロは我関せずでただ項垂れていた。

『ちょっと、やめなよ』
『治せる訳でもないのに偉そうに……』
『なんだと!!』

 集まった村人たち、そのうち一人がキレた。
 そもそも治療する立場になかったのに治療。
 感謝される行為でしかなく、言われるような筋合いは何も無い。
 が、身内が死んでしまい怒っているなど麻薬売ったクズに比べればなんと可哀想なのだろうか。
 庇う訳でもないが、すべての原因は子供相手でさえ麻薬を売ったドドドドクズ。憧礼神具にとってヘドロ以下のクズ。

「この度は誠にありがとうございました、あゆの同級生で治療していただいた輪廻(りんね)の母。林子(りんこ)ともうします」
「お話きいても?」
「アレを捕まえるのですね、何でもお話します」
「まず、移動販売車で売っていた商品についてお聞きしたいですね」
「え?商品ですか?」
「卵や牛乳、肉などは売っていましたか?」

 田舎の移動販売は基本、老人でスーパーとかに行けなくて苦労している人とかに向けた商品。
 だが卵や肉であれば必ず仕入れ先がある。
 もし売っているならその根元から調べていけばいい。
 犯人に渡している農家、そこに来ると分かればそこに罠を張るだけですむ。

「いや……売ってなかった、かなと」

 この犯行、ぶっとんでいるが捕まらない点において頭がいい。
 問題は何故警察が使っている車を検挙できないのかである。
 被害が相次いでいるやり口で3村目、これはニュースにもなっていたことだ。

「どういう乗り物でしたか?」
「老人カーです、ゆっくりと移動する免許のいらない移動車」
「え?普通の車ではなく!?」
「そうそう!!あのひと老人カーに乗って後ろに籠つけて商売してたよね!?」

 今まで逃げた理由が分かった、老人カーであればナンバープレートなど無い。それで車を呼び止める検問が無かったのか。
 だが普通は思いつかないやり方である。
 老人カー程度では荷物がほとんど積めない。

「うぅ、気持ち悪い、このあたりにホテルってありますか?」

 治療疲れでヘドロの具合が悪くなっている。
 いなければこの村は壊滅していただけに憧礼神具もヘドロの扱いを悪くは出来なかった。

「お二人とも、うち民宿です、ここまでして頂いたんですからお代も要りませんよ」
「林子さんの家に泊めてもらおう」

 周囲は暗くもう夜である、憧礼神具とヘドロで林子の民宿へ。
 林子の民泊はいかにも日本家屋で古い家をリフォームして作った瓦屋根な建物だった、
 畳のある和室で二人分の布団を林子がしく。ヘドロは1つめの布団が敷かれた瞬間に布団に潜って爆睡し始めた。
 憧礼神具は改めて話をまとめ、さらに連絡を取ることに。

『はい、菫咲警視監です』
「憧礼神具です……俺はオウルからの依頼で動くことになりました。移動販売による連続麻薬事件の情報開示を要求します」
『分かりました、今どちらに?』
「XX市XX村の民泊【ノシの宿】です」
『では私が資料を届けましょう、到着予定は明日の昼です』
「分かりました」

 疲れから夕食も食べずに憧礼神具もそのまま寝てしまった。
 翌朝には旅館によくある低い机と、二人前のしっかりした食事が用意されていた。
 ごはんと味噌汁、温泉卵、ほうれん草のおひたし、きんぴらごぼう、トマトのサラダ、細切り大根の煮物、焼いたサケ。

「俺の分は要らなかったんだが」
「え?」
「困らせるなよ……すいません、言っておかなかかった俺が悪いですね。この人は胃の病気でこういうもの食べられないんです」
「えっ」
「勿体ないですし、あとで俺の知り合い来るんでその人に召し上がっていただいても?」
「……分かりました」

 こうしてお昼ごろ来た地元の警察官。
 頼りにならなさそうな雰囲気の老人警察官。
 どこかでやらかして左遷でもされて地方に飛ばされた人を疑うぐらいには髪もととのえておらず、見た目も悪かった。

「なんであんたに教えにゃならんのだ?」
「じゃあ別にいいです」

 つづけて菫咲警視監も現着した。

「火急の用につきあがらせてもらいました」
「今、地元の刑事さんに話をきいているところです」
「菫咲警視監だ」
「けっけけ、警視監殿!?」
「この人は日本で数少ないVIPだからな、下手に扱えんのだ」
「マジっすか」

 こんなにも階級が上の上官にマジっすかが言える。
 度胸があるか頭が良くないかのどちらかだ。
 この警官の場合は後者である。

「でさ二人とも腹へってない?アレ食べちゃってよ」
「実はお医者様に私が用意したのですが胃の病気とは知らず……」

 それを聞いて食べて始める警視監。

「え、そういうのまずいんじゃ」
「お前を気に入らないと言われたら俺ほどの階級でも首(物理的)でおかしくない、それでも喰わないのか?」
「警視監で!?い、いただきます!!」

 二人とも食べだして俺たちはもう警察に用事もない。
 あとは資料さえあればいい。
 被害者の資料があればあるほど、ざまぁみろの気分で見られる。

「それ食べたら資料置いて帰っていいぞ、俺らは出かける」
「分かりました」
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