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6話 休日が思っていたのと違う
しおりを挟む制服を貰って家に帰って来た。
「長かったけどバイトしてきたのか?」
「時給1万円ですし内容は簡単でしたから」
「相談は何時でも大丈夫だからな」
三日筋肉さんは本当にいい人である
今さらだが死神さんに名前を聞いた
言って無かったっけと考えた後
「僕は『閻魔(エンマ』」
「凄い名前で呼ばれていますね!?」
「漢字だと難しいから書く時はカタカナで書くよ」
「エンマ様って呼ばれてそうな名前だな」
「よくあったよ」
晩御飯をコンビニに皆で買いに行く事に
すねこすりのタチくんだけにすると心配なのでエンマ様は残った
明日は休日なのでカップ麺などを飼っておいて欲しいと伝言され
「ファーストフードとか好きですか?」
「ハンバーガーとかポテトとか僕だいすき!」
「カップ麺ばかりだと栄養バランスが偏りますから」
「あの世で栄養バランス気になるんだ?」
「食事も少しは気を使わないと気分が悪くなる程度は起きるからな!?」
「僕も死んで長いけど最近は気にして無かったなー」
こうしてコンビニへ出かけた
日曜日はしまる事が多いらしく皆が買いだめをしている
お弁当やおにぎりにパンが多いようだが
「お米も売っているのですね」
「台所には鍋と炊飯器にまな板や包丁など料理道具があったからな」
「お料理は出来ますか?」
「時々は自炊する程度だったから」
こうして色々と買って来た
流石に今からではご飯が炊けないので夕ご飯は
鍋に牛乳と細かく切った肉・野菜を投入しコンソメを入れ
「3人分作ったぞ」
「美味しそう!!」
「世話を焼くのが好きでついついこういう事をしちまうんだ」
「私は大歓迎ですよ」
晩御飯を食べおわりリビングで話し合い
何せ仕事が完全に無い日なのだ
趣味と言われてもまだあの世に何があるか不明な事も多く
「休日って何すればいいのでしょうか?」
「色んな奴がいるな」
「現世で出来なかった釣りとか趣味にする人も多いですよ」
「私は魚の見た目がちょっと苦手でして」
「なら旅行とかどうかな?」
「あの世で出来るのですね」
「古風な街並みの場所があって前に一度だけ行ってな」
「京都みたいな雰囲気でね?日曜日は観光客も多いんだよ!」
せっかくなので三日筋肉さんとお出かけである
休日にやっているだけあって物価は高いらしいが
服すら制服と死んだ時に来た白い薄着(遺体に着せる服)
「せめてジャージでもいいから違う服が欲しいですね」
「それ寒そうだもんな」
「地味に歩きづらいよねその服」
死神エンマは人が多い場所が苦手なので遠慮するとの事で
結果として二人で観光地である『極楽(ごくらく)』に行こうと話がまとまった
翌日の朝に三日筋肉は着物を着ていた
「これはハワイとか行く人がアロハ着てる奴だ」
「楽しみにしているようで何よりです」
「京都みたいな雰囲気だがクレカも使えるから安心していいぞ」
「安心するかはともかく京都でもクレカは使えそうですけどね」
こうして外に出ると三日筋肉の背中に羽が生えた
最初のうちはコツがつかめない人もいるらしく触るだけで翼がさずけられる
アプリをタップした
「こういうのってスマホのアプリで済むのですね」
「天国で暮らすなら一台は持ってた方が良いが今日はスマホ売り場が休みだ」
「どちらにせよスマホだと高くて買えなさそうですけど」
「品物によるなー安いのだと1000円からあるぜ?」
「どんな裏が?」
「社会をよく知ってる奴だな」
いわゆる1000円だけど毎月1万円の使用料というスマホらしい
ただ別にそこまで悪いものでもなく
あの世に来たばかりの初心者向けで値段が少し高いのはサービスがいいからで
「例えば?」
「俺もエンマもいなくて一人で聞きたい事があればサポートセンターにいつでも聞ける」
「電話の事でなくても?」
「飯の事とか聞く奴が多いらしい」
「電話会社に食事の事を聞いていいのですね」
空を飛んで門をくぐって更にその先で門を抜けて
いかにも観光地な和風店が並ぶ京都?と思う街並み
しかしビルなどが並ぶのも見える為に全然違う事が分かる
「確かに着物で歩きたくなるのも分かりますね」
「すぐ近くに一度食べて美味しかった店があるんだが」
「いいですね行きましょう」
少し歩いたら店の前に看板があった
人が何人かいてざわざわ話がされている
何が起きているのかと二人で看板を読む
『店主は異世界転生しました』
ラノベのタイトルみたいな看板だった。
「そういう事もある」
「異世界に転生ってどういう世界に行ったのでしょうね?」
「料理スキルで最強無双とか出来る所とかだろうな」
周りの声が嫌でも耳に入る
楽しみにしていた客などのがっかりだと思いきや
どうやら異世界転生先について話しているようだ
『ここの店主さんハーレム異世界転生したらしいよ』
『なんでも金髪で巨乳しかいない子の世界で勇者をやるとか』
『最近そういう人ふえとるのぉ』
隣の店は普通に開いていた
「いらっしゃい!!いやぁ残念だったなお客さんがた」
「こちらのお店では何を売っているのですか?」
「揚げ肉まん」
「揚げ?」
「食べれば分かるって!!ほら試食あげる!!」
勢いで試食を渡されハフハフと熱い出来立てらしいものを食べた
表面はカリカリだが中身はソボロ肉と刻んだ玉葱が汁を出す
天上からのお品書きには『揚げ肉まん300円』の文字
周りの人々はよく見たら手にホカホカと湯気が登るものを持っていた
「おまえ大きいのしか持って無いだろ?こいつの分と俺の分ふたつね」
「はいよ」
「クレカ払いで」
天国に来て肉まん食べている時にクレカを作る決心をするとは思わなかった。
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