死んでみたら天国が思ったのと違う~あの世スローライフ~

宝者来価

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10話 テレビが思っていたのと違う

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天国に来てから1週間が経過した。
 
「毎日仕事しに来るとは思わなかったぜー」
 
仲良くなった悪魔の平助と仕事中にお喋り
ほぼ毎日顔を合わせるのでクラスメイトぐらいの感覚である
どうにも無限階段はそこまで上下の距離がある訳ではないらしい
 
「欲しいものがあって」
「ここ時給がいいからすぐ買えるんじゃね?」
 
2時間で3万も貰える最高のバイトだ
悪魔も今のところは嫌な思いをしていない
生活用品の小物はシェハウスという事もあって揃ったので
 
「生前は憧れていたものがありまして」
「おーいいじゃんブランドの時計とか?」
「寝袋です」
「思ってたのと違うって俺が言う日が来るとは」
「いい寝袋って値段が数万円するので」
「確か天国だとキャンプがブームって聞いた事あるわ」
「地獄でブームって何かあります?」
「最も人気なもんは―――」
 
 
仕事が終わってからシェアハウスに帰り
仲間たちに今日みたいテレビ番組があると伝え
皆ですぉの番組を見る事に
 
『さあ始まりました悪魔ファイトのお時間です』
 
「何この番組」
「悪魔から今は地獄で何が流行りかと聞いたらこの番組を教えて貰って」
「地獄では昔から定番なんだよ」
「実はエンマ様ってかなり昔から死んでいせんか?」
「ちょっと恥ずかしいけどそうなんだよね」
 
悪魔ファイトはどうもプロレスのようなステージで
相手をどんな手段を使っても相手を場外へ出したら勝ち
ルールはシンプルで分かりやすい
 
『赤コーナーは肉体派の悪魔プロテイン大島!!』
 
芸能人みたいな名前である
登場したのはマッチョでいかにも悪役
持ってきたプロテインの入れ物をポイ捨てした
 
「あれあとでスタッフが拾うのですか?」
「ううん彼は大人気だからファンが我先に拾うんじゃないかな」
「本当だ悪魔たちが空の容器に群がってる」
 
『青コーナーは滅多にリングへ出てこない『技のヘイスケ』ダァ!!』
 
本人に番組を薦められたが出るとは聞いて無い
 
「あっあの伝説のヘイスケがリングに!?」
「有名な方ですか?」
「悪魔ファイトと言えば刀に爆弾あげく銃すらお構いなしなんだけど」
「死んで無きゃ出来ないぐらい激しそう」
「前回はマシンガンで相手を粉々にしてた」
「思ったよりこの番組ってグロかったりします?」
 
しかし持ち込んだのはスマホ一台
どう見ても武器とは言えないが
アプリでビームも出せるとは聞いている
 
 
『おおっとスマホです!!スマホビームジャブか!?』
 
プロテイン大島が真正面から向かっていく
あの巨体で殴られれば痛いでは済まない
タックルでリングのロープに強く吹き飛ぶ技のヘイスケ
 
「へ、へいすけさん!!」
「さん?」
「ファンなの?」
 
『相手に何かさせる前にぶちかますまさに悪魔!!』
 
しかしヘイスケはスマホを持って背を向けた。
 
「敵に背中を見せるの!?」
「ルールよくしらないけど不利になるだけじゃねぇか!?」
「……何か秘策のアプリがあるのではないでしょうか」
 
スマホを弄っている
 
『おおっとヘイスケ選手まさかの背中を見せたぁ!!』
 
相手はそのすきに殴りかかろうとするが
スマホから出てきたのは何と紙
しかも随分と古いし巻物だ
 
『おおっと忍者みたいに巻物をひろげたぁこれは』
 
≪愛してるぜ愛しの豊美姫!!この紙で分かるだろ浮気なんてしていない!!≫
 
 
「恋人に送ったラブレターのようですね」
「相手が怯んでるな」
「その隙に観客席から戦車の砲弾が向けられてる」
 
リングが爆発して相手が場外へ吹き飛んだ。
 
 
『勝者青コーナー!!ッ技の平助!!』
 
「毎回こーゆう勝ち方するから誰も戦いたがらないんだよね」
「思っていたのと違う戦い方でしたけど」
「でも地獄で放送されているTVも中々おもしろいもんだな」
 
『さすがは技のヘイスケ!!いまここに卑怯な手こそ悪魔という信念を貫きました』
 
ファンたちがキャーキャー言っている
リングには金やらタオルやら色々と観客席から投げられていく
しかし警備員が厳しく誰も中には入れて貰えていない
 
「流石大人気の悪魔ファイターだね」
「うわサインの転売価格10万円もしてる」
「平助さんって人気あるのですね」
「会った事あるんだけど他の悪魔の兄貴分みたいな感じで悪魔にしてはいい人だよ」
「良くしってます」
「地獄で仕事すれば会う事もあるか?でも滅多に姿を見せないって有名」
 
スマホが鳴る
 
『おっと平助選手そのままスマホでどこか連絡しています』
 
「こんばんは」
「見てる?」
「ええ、シェアハウスの方と一緒に見ています」
「明日好きな物にサイン書いてあげるから持ってきて欲しい物があって?」
 
 
 
 
 
 
 
翌日の階段
 
 
「これにお願いします」
「何で死神用の鎌?」
「同居している方がファンでして」
「いいよー物は?」
「持ってきましたけど」
 
頼まれたチロルチョコを差し入れた
あれだけ差し入れされているのに
階段には自分で物が持ち込めないらしい
 
「みんなー!!今日は休憩所に天国チョコのお菓子があるぞー!!」
 
下に向けて叫びしばらくすると沢山上がってきた
チョコレート菓子を貰う為に大人が整列していく
菓子メーカー『天国チョコ』はあの世では大人気ブランドらしい
 
「死神って普通は専用のアパート暮らしなのに」
「アパートの住民と合わなかったらしいです」
「それで天国のシェアハウスは驚き」
「良い所が一件だけ空いていて速攻で入れて貰えたのですよ」
「あーあの事故物件か」
「え?」
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