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24話 シェアハウスが思っていたのと違う

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平助視点
 
 
 
 
ハローえぶりわん!!
皆さんやっほーって意味でしょこれ
最近ダチになったイカれた奴を紹介する
 
「平助さん」
 
階段を登ったら友達が待っている
個人的にそれは一番嬉しい報酬だと思う
ただこの友人は何でもかんでも経験したがる悪い癖がある
 
「休日はどうだった?」
「地獄の三途温泉に行って来ました」
「あそこ人間には危なくね?」
 
何せ地獄の業火で三途の川を沸騰させた熱湯
元の川が酷くヨゴれているからそれぐらいしなければ温泉にならず
しかも熱い場所を見極めて避けて飛び込む必要がある
 
「赤鬼さんが―――」
「ああ、教えてくれたのか」
「いえエンマ様が一緒にいたのでかたっぱしから飛び込んでぬるめの場所を確保しました」
「相変わらずの無茶苦茶ぶり」
「で、一番熱かったところを聞いて飛び込もうとしたらエンマ様に止められちゃって」
「ドMちゃんかよ」
「だって一瞬で治るならこれはもう取材しなければと思いまして」
「俺ちゃん最近なにかと心配な弟を見ている気分になって来た気がするわぁ」
「あと赤鬼さんが来て4人暮らしになりました」
「別に悪い奴でもないからレディちゃんなら平気でしょ」
「大問題が起きています」
「同居人とそりが合わなかった?」
「いえ天使様から建物は5人シェアハウスなので5人目を――って」
「死にたて用の家賃が0円な物件だから人気だよね?」
「エンマ様のファンが自分が住むと候補者がぞろぞろ押しかけて来て」
「大変だな」
「平助さんもしよければ一緒に住みません?」
「悪魔アレルギーちゃんいるのに!?」
「いや本当に今5人目の枠を争って天使たちが殴り合いの喧嘩する事体にまで――」
「とりあえず見学しに行くわ」
 
すると連絡用の電話を手に取って
 
「天使さーん早上がりお願いします」
『どうしました?』
「エンマ様から頼まれごとがありまして」
『あ、はいどうぞ』
 
何をしても許されるような社長がいるとして
お気に入りの子をないがしろにすれば
社員の末路はお察しの通り
 
「本日用事の為セルフで取ってください……と」
「俺ちゃん結構もの持ちなんだけど」
「そこは大丈夫だと思いますよ」
 
こうしてシェアハウスへお邪魔させて貰った
前にレディをかついで来た時以来である
地獄の最下層まで行くはめになったが
 
「なんだこの天使たち!?」
 
シェアハウスの上空をおびただしい数の天使
ここまでいるとまれに見るカラスの大群に
身体が大きい分威圧感が凄い
 
「抜け駆けしようとした天使がいたかららしいですよ」
「え?」
「今まで天使たちが大人しかったのは抜け駆け禁止のルールがあったからで」
「シェアハウスの話なのにねぇ」
 
しかし玄関まわりには誰もいなかったのでするりと中へ
エンマ様がぬいぐるみに囲まれて震えていた
そういう精神患者に見える
 
「うぃーす!」
「ダレ?」
 
ファンなのに誰?はないと思う
確かにちょっと気まずいのは分からなくもない
そうは言っても減刑はしてくれたんだしお世話になった人と言えなくもない
 
「エンマちゃん俺ちゃんのファンなのに顔わすれちゃったの?」
「今コンタクトおっことしちゃってよく見えないんだよね」
「物理的に見えてなかったのねん?」
 
周りが見えなくて危ない為ぬいぐるみに包まれていると
思っていた理由と違ってて良かったが
赤鬼が出てこないし悪魔アレルギーの彼もいない
 
「えーとどなた?」
「俺ちゃん悪魔の平助だよ~ん」
「レディさんと飲み会でもするの?」
「いえ5人目候補で」
「悪魔なのに!?」
 
2階から降りてくる三日筋肉
こっちを見た瞬間に戻っていき
しばらくしたら完全防護服をして戻ってきた
 
「俺ちゃん花粉の悪魔にでもなった気分」
「気にせず話を続けてくれ」
「そこまでアレルギー酷いなら病院行きなよぉ」
「これ治療法あんの!?」
「天国に治療法がないものないって」
「バカにつける薬は?」
「暗記力がまじで向上する薬があるよん」
 
天国・地獄について知らない事が多い連中らしい事は知っていた
なにせ去年の秋に死んだばかりなので本来は暗い雰囲気になる
でも実際は毎日とても楽しそうでなにより
 
「で、用事は?」
「レディちゃんが5人目にならないかって誘ってきてね」
「俺なにも聞いて無い」
「唐突に住ませてくれ何ていうほど非常識でもないんだけどな本当は」
「なら何で」
「天使ちゃんが喧嘩してるから止めるために一旦俺ちゃんで手を打ってほしくて」
「何で?」
「巻き込まれてる住民が可哀想だからだよん☆」
 
ここは住宅街であり
死んで数年未満の者も多く天使たちが上空を飛び回るのは怖いだろう
現代社会で警察が唐突に50人増えますって言われているような
 
「確かに近所迷惑は思ってた」
「俺ちゃん悪魔だから少し迫害っていうか巻き込まれるかもだけど」
「エンマはどうなん?」
 
もぞもぞと動く閻魔様
 
「僕はいいから赤鬼に聞いて」
「部屋か?」
「いやさっきから天井にいる」
 
上を見たら穴がありそこから目が見えている
どう考えてもホラーな場面だが
すぐに降りて来た
 
「拙者は閻魔様が良いならなんでもいいでござる!」
「忍者ちゃん?」
「閻魔様の為であれば忍者にだってなるでござるよ!!」
「俺ちゃん1階の部屋がいいんだけど」
 
流石に配慮されていた
理由は罪が重い羽ではないのだが1階だから気にしなくていいとの事で
昔から平屋住みだと2階にいると落ち着かないだけなのだが
 
「じゃースマホとか色々運ぶか」
「僕手伝おうか?」
「エンマちゃんはコンタクト探しなよ☆」
 
三日筋肉は病院へおじいさん(自分)とレディさんは地獄へ引っ越しの準備へ行きました
こういうと昔話感あるよな
レディが部屋の中に入ってしばらく捜索したあとに
 
「やっぱり一人でここにいたのですね」
「え?」
「さそって良かったです
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