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103話 歴史を知る中編
しおりを挟む「女神の神殿って分かりやすか?」
飲み屋でゴートさんの話を聞いていたら、知ってはいる場所の話題を振られた。
「私は行ったことがあります、カドマツ様はまだありませんでしたね」
「ああ、新たな異世界転生者を選ぶことができる場所か」
ノアが俺をえらんだ場所だな。
「結論からいうとこれから先の異世界転生者は存在しなんでさぁ」
流石にこの話ともなれば多少、レストランの中がざわついた。
異世界転生者はこれからいない。と彼は言い切った。
今まで10年に1度必ず出現していたのに?
「用意されていたスキルの全部をぜーんぶ同じ人にぶち込んだ結果でさぁ」
「……それって戦力が減るってことだよな?」
「異世界転生者の子孫の量を考えれば戦力が減るのも大した範囲に入っちゃいません」
もやもやした。異世界転生者の子孫は大勢いる。
初代の孫だという人に親戚の人数を質問した。増え続けているので数千人どころか下手したら億は親戚が生きているかもしれないらしい。
人間を洗脳できる初代の様子、初代作った子供たちは合意だったのだろうか。
もし推測が当たっていても何ができるだろうか。
どちらにせよ目の前には老人というチャンス。
おじいちゃんの知恵袋が聞けるかもしれない。
「今回って魔王をレイニーが瞬殺したけど、攻撃が効かなかった理由にこころあたりない?」
「そーっすね……これ、あけてみて下さい」
ゴートは小箱に【封:火】と書かれた物を差し出してきた。
力では開かなかったし刃物も受け付けない。
というか、どう見ても火でしか開かない気がする。
「これ火でしか無理なんじゃ?」
「そうですね、この封印スキルは基本そんなに役立たないですけど」
「役に立たないの!?」
「火で開けられるなら火で開けたらいいだけですから」
「それもそう」
「これの【水】を魔王に付けた黒幕、十中八九ハクアの野郎でさぁ」
「何で皆は気が付かなかったの?」
「魔王は200メートルもありやすから文字を見逃したんでしょうねぇ」
やはりこういう世界で年寄りの話はためになるな。
壺売り詐欺師だと聞いていたがこれを嘘つく必要ないし……。
俺は祖父の顔も覚えてねぇけど何だか安心する。
「今ならもっといい話を売りやすぜ?」
「買わないで下さいね」
「値段だけは聞いとく」
「5万マルでさぁ」
「5万?」
「ポッキリ、本当に5万ですぜ?」
最初に大きな金額を提示して小さくする、これは詐欺師がよく使う手だ、。
「1万なら買ってもいいけど……?」
「うーん、まぁ1万でもいいですぜ」
「買うなって言いましたよね?」
「じゃあ価値が明らかに無かったら今後絶対取引しない、で、どう?」
「……分かりました」
国王になった俺は小遣いがたくさんある。
あまり贅沢するのはよくない、詐欺だとも言われているが詐欺られるのも悪くない。
それはつまり国王相手に詐欺を働いても大丈夫と踏まれている情報だ。
「四天王の3人目が空に現れやした」
「空って、天空島!?」
「いいえ――……月でさぁ」
それもう4番目(ラスト)の場所な気がする。
氷の世界が最初、次が火山の中、3番目で月はダンジョンに行く難易度が上がり過ぎだ。
「月でいいのであれば話はけっこう楽ですね」
「楽なの!?」
「はい、場所が月なら人も暮らしていませんから旅行しましょう」
「ハクアの対策が……」
テーブルの上にいつの間にか空になった酒の瓶。
もし俺を見ている人がいるなら友だちのほうを時々見たほうがいい。
で、なければ俺のように―――
「【スキルカード:テレポーター 月都市】」
月にさらわれる、俺以外にそんな経験者はかぐや姫ぐらいだろう。
酸素よりも寒さが酷い、というか酸素はある感じがする。
体中が凍りついていく寸前でレイニーが動いた。
「あががががささささささッ!!!!!」
「【スキル:水 テント】」
どういう理屈かは分からないのだが水のテントに包まれたら多少マシになった。
具体的に言えば-200度から-100度に変化した。
異世界転生者の俺は身体が通常より耐久力があり即死だけはさけられた。
「それでも寒いんだけど!?」
「ひっく」
「しかも唐突に月って……」
「ひっく」
レイニーはしゃっくりを繰り返すだけだった。酔っ払いめ。
「【スキル:カセットコンロ】」
この世界で月がどういう仕組みかは分からないがコンロの火は着いた。
テレポーターで帰りたいところだが、そんな長距離を俺は移動できない。
そしてスキルカードも持ってない。
「【スキルカード:テレポーター……あれ?」
タマネギ100個、卵200個、鶏肉4羽と書いてある紙をレイニーは掲げていた。
「それ買い物メモ!!」
「私すごいですよ、できますよ」
「……どんだけ呑んじゃったの?」
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