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151話 天国
しおりを挟む私はレイニー・サック、影に殺された異世界転生者だ。
ここは天国と皆が呼ぶ場所。
気が付けばここにいて、様々な異世界転生者が眠りにつき夢を見ていた。
『夢』は本人の理想であり、なかに入ったりもできはする。
異世界転生者として活躍していたり、日本で怪獣と戦っている夢なんかもあった。
周辺を見渡してみると知った顔が突如として現れた。
「レイニーくん」
「……ノア!?」
「こっち、レッドサンに通じてる」
亡くなった恋人に手を引かれてただ導かれた。
レッドサンは幽霊と会えるかもしれない場所、だからそこまで不思議ではなかった。
で、他の場所についてはテレビがある。
「これは――」
「レイニーくんの分身、すごく困ってるね」
「……こんなに傷つけるならいっそ―――」
やがて魔物の国が作られ、異世界転生者たちが転生してきたが――
「分身さんから新しい異世界転生者、どんどん離れていくね」
「魔物だらけの国ですから、怪しむのは当たり前でしょうね」
で、カドマツという男がついに現れた。
一言でいえば鈍感、自分が置かれた環境にまっっったく違和感を持ってない。
分身が四六時中くっついているのに疑わない。
ティラノと出会い、彼は自分の正体を知り、私もノアも驚いた。
「あの人が、そうだったんだ――」
私と同じなのだと実感するのはノアの言葉に弱かったこと。
頼まれていたことを思い出した以上は無下にできない。
ウルフも私ではないことが分かっていながらずっと心配していたので、引きこもらなくなった分身に少し安心しているようだ。
「……流石に私の分身がエンガオウぐらいに負けたりはしませんね」
「強いもんね」
観光も終わって海へ、ガゴリグさんだ。
元気にやっているようで何より。
バレた瞬間に頬へキスされて――少し羨ましい。
そしてニカナ、最低な国王に会うなと忠告されている。
「何であんな奴のところへ会いに行ったのかな?」
「……ニカナで自由に動く為であれば納得はできます」
「やっぱり殺したいのかな」
「でも、ドールが消えたらニカナは終わりですよね」
そうなれば多くの者たちが同時に死に絶える。
「――何か様子がおかしいね?」
「これは、毒のようですね」
「ああ、もう生きられないのか」
それからカドマツは必至こいてホンイツを助けた。
守るべき者が殺したいものの味方になってしまいどういう感情なのだろう
変な気を起こすかもしれないなと見ていたら案の定、恥辱しはじめた。
カドマツというこの男、色々と大変なことになっているなかで爆睡。
「これ、中継されて私はどういう顔をしていればいいのでしょうね?」
「分身って確かコア持ってないし物によっては薬とか簡単に効いちゃうんじゃ……?」
「ああ本当だ、私の分身が完全に酔っ払ってしまいました」
シャックに出会い、国に戻り魔王を倒した。
国民が皆、魔物であることを聞いても反応は軽い。
分身に監禁されたが楽しそうだ。
「この男、アホなのでは……?」
「う、う~ん?」
「でも楽しそうですね――」
出会ってみたが額にラクガキされた。
幽霊だから〈ゆ〉と、それは墓石にも刻まれた。
やがて私の分身は手紙を受け取った。
「何て書いてあるの?」
「リュウ」
「え?」
「差出人に『オオフネリュウ』と……私の本名です」
「――そっか」
ハクアを倒した分身。
私が何より欲しかった優しい父親と日々を過ごした。
消えると分かっていてもカドマツは子供と最後の最後まで共に過ごした。
分身が消えた後も探し続け、身体が動かなくなった。
それでもカドマツは分身がどこかにいるのではないか。
諦められずリュウを最後の時まで探そうとしていたのだ。
そんな彼がついに天国へきた。
道について嘘は言っていない。
「そして、こちらの道に何があるかは行くまで分かりません」
どんな【夢】を見るかはカドマツ次第、分からない。
「―――リュウにもう一度会えるかな」
無意識なのだろうか、手を引かれた。
レイニーについても諦めきれていなかったのだろうか。
私はそのまま手を引かれてカドマツが見たかった理想の夢に入り込んだ。
「ここが今日からお前の家だ、ごめんな狭くて」
「大丈夫ですよ」
私がリュウであったことは本当のこと。
彼の理想がリュウを救うことであるなら、私は同じ夢を見ていたい。
お金よりも地位なんかよりも【傍にいてくれる優しい大人】が欲しかった
あの頃の自分が見る夢は、こんなにも心地がいい。
「お休み、レイニー」
「……おやすみなさい」
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