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11話 最下層
しおりを挟む気を失う前に、肩に怪我をした事だけは覚えている。
「……あれ?」
「気が付いたか、新米の勇者」
「ここは医務室……どうして、僕がここに」
自分だけではなく、何人もがこの場にいるのだ。
「起きましたか」
「6155さん!」
「まだ無理をしてはいけませんよ、毒を喰らったのですから」
「……そうだっけ、僕あんまり覚えてなくて」
「まさか告白された事まで忘れたのです?」
「え、ああ妻が何か?って言った奴かな……何妻(なんさい)目にしたいのかなぁって」
なんだそりゃという顔をする、この世界で生まれ育った人間と
「ああ、一人目ですよ」
「この世界は複数の妻をもたないので」
勇者たちは、何を言いたいのか即座に理解していた。
日本の法律は代わり何人でも妻を迎える事が出来るようになっていたのだ。
金持ちであれば20はいてもおかしくない。
「一人目!?え、一人目が『人間』じゃなくていいの!?」
うっかり言ってしまい口を塞いだ、クローン扱いすると怒られると教えられたと言うのに。
青い顔をしてどうしようと周りを見渡せば不思議な事に気がついた。
勇者たちのうでに管がついていたのだ。
「これですか?」
「ナニソレ」
「輸血という処置です……私たち血液の種類も同じですので、あなたの血が減った分を補給しています」
「えっ」
「とにかく生きていて良かったですよ、あの魔王全く嫁を決めなかったので」
なんて会話をしていたら
「6024!」
「魔王様」
「もう、具合はいいのか?」
「皆が治療してくれたみたいで……あのぅ」
「何だ?」
「第一妻が僕って、本当ですか?」
「……本当だ」
渋い顔をする魔王様に、家臣の人々は困惑した。
「OK貰ってないとか?」
「それは確かにそうなのだが、違うんだ」
「勇者を妻になんて初めて聞きましたけど、何か渋い顔する理由が?」
「……勇者たちに聞いてくれ」
勇者たちは誰が『状況』の説明をするか軽く打ち合わせをして
「私が話しましょう、隣人ですしあまり抵抗はありませんので」
「頼む」
「この世界では『妻』といえば、苦楽を共にしていく人生のパートナーというのが一般的ですが……私たちが暮らしていた世界では『奴隷の最下位』なんですよ」
「どういう事!?」
メイドがなんだそれはと、料理人から医療班に兵士まで、それは名称が同じで違う物だろうと口々に言っていた。
「いいえ、妻は妻です……役立たずの奴隷が最後に落ちる身分ですね」
「奥さんなんでしょ!?それが落ちてなる身分ってどういう事!?」
「『役立たず』と判断された何も出来ない者が、殺されない為になる身分が妻なんです」
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