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12話 産まれた時からの運命
しおりを挟む妻宣言の夜に、魔王城の共通浴室へと足を運んだ。
「妻であれば、魔王様専用のお風呂を借りても良いのですよ?」
「……何か慣れなくて」
「その感覚は分かります、他の勇者も感覚が抜けずに結婚を避けている者たちは大勢いますからね」
風呂場では服装の違いがなく勇者は顔が同じため見分けがつかない、その為彼が浴室に入って来ても騒ぐものはいなかった。
「魔王様、どうして妾にしてくれなかったのかな」
「妾の方が立場が悪いからですよ」
ここでようやく、彼が妻である6024なのだと皆が理解した。
となれば会話の内容が気になるのが人間である。
皆が少しずつ近づいて会話内容に耳を傾けた。
「え、妾だよ!?」
「この世界では王族の妻というのは、同じ王族になることを意味するんですよ」
「……」
異世界には驚く事ばかりだったが、今までで一番驚いた。
食事も夜の睡眠もかつての人類はそうだった事は何となく知ってはいたものの、妾といえばクローンの中でも『溺愛』され良き生活が約束される上位である。
それが妻より低いなんて、常識が通じないにも程があった。
「魔王様はどういう訳か『クローン』の知識はある元人間なんですよ」
「確かにマニュアルにも魔族は元人間ってあったもんね」
「人間は、お嫌いですか?」
「……ううん、イチさんも優しいし魔王様も優しいから、僕の事妻にするって言ってくれたのかなって」
「優しいだけで妻を選んだりはしませんが、貴方の『病気』ではその可能性も否定できませんね」
病気という単語に、流石に黙っていられなかった一人の兵士が近付いてきて質問をなげかけた。
『何の病気なんだ!?』
魔王の妻になる者が病気など、それもまだ式もあげていない為に重い病気なのではと皆が息を飲んで病名を聞こうとしていた。
「……抱かれなければ死ぬ」
『え?』
「勇者であれば、Aシリーズと言えば分かるんですがね」
そこに居合わせた勇者が飲もうとしていた水を吹いた。
『ぶふ!?……Aシリーズ!?』
それは当然というか、そもそもAシリーズは女型のシリーズである。
「間違って純正の品にAシリーズの教育がされて、脱走したのだそうですよ」
――――――え?
Aの事は確かに話はしたが、脱走について自分は誰かに話した記憶が無い。
もしかしてと思い当るのは共にいたクローンが教えた可能性。
『私が使われていた場所では関わる事もありまして、Aシリーズには確かに抱かれないと機能停止するプログラムが存在します……嘘ではないでしょうね』
「えっと、それより誰か1358ってクローンしらない?」
「1358?随分と古い……何者です?」
「僕の友達なんだ、逃亡生活で彼がね?」
「彼が?」
「えっと、魔法を唱えたんだ、世界を変えるっていう魔法、を」
皆が険しい顔で、6024を見た。
「本当にそうなら、殺されてるかもしれませんね」
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