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13話 家臣の裏切り
しおりを挟む「貴方にはこれだけ知っておいてほしいのです、魔王様は貴方に重大な隠し事をしている」
「……えっと?」
「それを暴くか、胸に秘めておくかは6024様が決定して下さい」
魔王様の側近が部屋に来て、それだけ伝えて帰って行った。
入れ替わるように魔王様は部屋を訪れる。
「遅くなった」
「……魔王様、あのう」
「何だ?」
「千番台のクロ……勇者って、この世界に来た事あるんですか?」
「それなら、在る」
「友達がいるんです、彼がもしかしたらこの世界に来てるかもしれなくて」
煙草を呑みだす魔王
「……」
「逃亡の事しってるの、彼以外に考えられなくて」
「それが証拠だと?」
「魔王様、僕は彼を探して――――」
「忘れてしまえ」
「え?」
「俺の妻になる者だ、わすれて幸せになれ」
立ち込める、魔力の気配には覚えがあった
自分を守ってくれる為に魔法を使った魔王から感じた気配
強い魔法が飛んでくる
「い、嫌だ」
それだけは絶対に嫌だった、例え自分が死んだとしても蔑まれたとしても
あの時苦楽を分かち合い共にいてくれた彼の記憶は何よりも支えである
奪おうとしているのだと分かれば逃げ出そうとするも
地面に押さえつけられてしまった。
「お前は、ここで何も知らずに生きてゆくのだ」
「嫌だ……」
「そんな大罪人の男など忘れさせてやる」
「絶対に嫌だ!」
どうにか腕から逃げ出そうとするも、魔力で増加されたパワーにかなわずもがいてもビクとも動かずに床へとこすり付けられる。
「幸せにしてやる、大人しくしろ」
「――――誰か助けてッ!!!」
ドアを蹴飛ばし、部屋に入ってきた男が魔王を蹴り飛ばした。
「何やってんです馬鹿!」
「そっちこそ何をするんだ、イチッ」
「あなた自分の正体を明かさないだけでなく、魔王としても最悪になるつもりですか!?」
え?
「正体、って」
「止めろイチ、黙ってろ!」
「魔王様ですよ、1358は!」
魔族は元々人間だと聞いていた、喋りも違うのでありえないと思っていた
「……でも、魔族だよ?」
「あなたが1358と呼んでいたのは人間だったんですよ」
「へ!?」
人間がクローンを騙るなど、何の得があると言えるのだろうか
出会ったのはそもそもがクローン廃棄の待機所だというのに
だが、否定の言葉は魔王から出てこなかった。
「ソイツの事は忘れた方が」
「騙していたクソな奴だと分かった訳ですが、忘れて一人で幸せになりますか?」
答えは最初から決まっていた。
「僕は、自由に生きる」
「……え?」
「記憶はその為に、持っていなきゃいけないんだ」
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