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30話 混乱
しおりを挟む気が付けば、6024は訳が分からない場所にいた
「……へ?」
誰のかも分からない人の、この世界ではごく普通な家の中で
年老いた男性と女性、そして小さな兄弟である
「わー!?王妃様が突然降ってきた!?」
「ごめん、ここどこ?」
「どこってナナショク王国の住民街、俺はバーダ・エケセって言いますが……」
「ええと」
混乱していると、外で叫び声が聞こえた
「6024!どこだ!」
魔王の声に応えるように家から出ると、魔王は安堵の表情を浮かべ
「良かった、怪我は無いな?」
「僕は無いけど、それより何が起きてるの!?」
「分からん、ただ……『兄さま』が逃がしてくれた事だけは言える」
「兄さま!?」
「魔王に兄がいたのか!?」
「えーマジ!?」
「?」
ごく普通の一家はただ、状況に混乱するばかりで
「城へ……しかし、今の私では足手まといか、クソッ」
「すみません、この辺りで『勇者』は暮らしてませんでしたか!?」
お爺さんが角の家にあることを伝えると、そこまで6024は魔王を連れて走って行き。
その扉を急いで叩いた。
「えっ」
ごく普通の暮らしをしていた勇者は驚いた、突如として王妃と魔王が家にきたのだ
「一体何事です!?」
「まず中に入れて下さい」
家の中に入ると、王妃がよろけた
足から流れる血が明らかな原因である
「怪我をしてるではありませんか!」
「クソッ」
「今僧侶を……」
「待って、僕の足は軽傷だからいい!それより城が何者かに襲われたんだ」
「何ですって!?」
「特殊な魔法で僕らだけ逃がされた……その服、貸してくれる?」
王妃と勇者たちはほとんどが同じ容姿である、故に服さえ入れ替えれば見分けがつかない
「分かりました、どうぞ」
「……ごめんね巻き込んで、ありがと」
「魔王様は魔力切れですね?」
「そうだ」
「転送は莫大な魔力を消費する魔法と聞きますが、魔王様が魔法を使えなくなるほど?」
「え、ええと」
「魔力が使えないのは特殊な『呪い』のせいで今回の件とは別、ゼルディンが生きていた事件にも関わってるけど……あとで」
この言い方は間違っては無い、ゼルディンはAシリーズの開発にも関わっている為元を本気で辿れば原因と言っていい
「なるほど、その隙をつかれたと」
「うん」
「魔王様の魔力が戻るまでどれぐらいです?」
「あと3時間もあれば」
「王妃様、どうされますか?」
庶民の服に着替えた王妃は駆け足で外に出た
流石にその頃には住民たちも状況を理解しはじめており
はっきりと混乱しているのが分かった
どこへ逃げるだの、どこが襲われているかだの、ただ一つ言える事は
「街に火が、無い?」
昼時とはいえ敵が火事を起こしていないのは気がかりだった。
そもそも城は掘りで『山』の少し高い場所にあり街を通らずに来る事はまず不可能。
なのに街はあとから混乱しているのだ。
「そこの兵士さん!」
「何だ勇者!?我々も何がおきているのか……」
「『カボチャはそらを飛ぶか』」
「おっ」
「静かに、他の兵士にこっそりこの状況を伝えてほしい」
「分かった」
これはこの国の兵士であれば知っている特殊な合言葉であり
意味合いが『変装』なのだが、この状況下で庶民に変装する理由があるこの顔
つまり自分は王妃だと伝えたのだ
「……私は街はずれに行きます、もしまだ敵がいるなら多少ごまかせるでしょう」
「影武者を!?しかし」
「魔王様、今は誰かがやらねばならない時かと」
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