【完結】誓いの指輪〜彼のことは家族として愛する。と、心に決めたはずでした〜

プロローグ*

橙色の電球が揺れている。
降りしきる雨の音が響いている。
男たちの下卑た笑い声と獣のような息遣いが狭い部屋の中で交差する。
彼らによって何度も貫かれた体は、殆ど全ての感覚を失っていた。
ある意味でそれは、この少年にとって幸いだったのかもしれない。
壊れた人形同然になった少年の体を、二人の男たちは殊更愉しそうに弄ぶ。
何時間にも及ぶ暴力によって、少年の白い体はすっかり血まみれになっていた。
目は虚ろで、口はぼんやりと半開きになっている。
今まさに、この少年は力尽きようとしていた。

「ショウタの仇を取ってやる」

男の一人がそう言った直後、少年は息が出来なくなる。
強い力で首を絞められたのだ。
もはや彼には、抵抗はおろか指先一つさえ動かす力は残っていなかった。

薄れゆく意識。
閉ざされる視界。

もうすぐ自分が死ぬことを理解して、少年は一筋の涙を流した。

「　　　　」

最期に、愛しい人の名前を心に刻みつけて。
少年は全てを手放した。