『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵

文字の大きさ
28 / 76
第2章

第28話 王都『メルキド』

しおりを挟む
 ――王都『メルキド』

 俺達は、人族の国であるメルキド王国の王都『メルキド』にきている。
 ドワーフ国の王都『ゴンヒルリム』へ行く道の途中にある。

 もちろん、この王都にも俺達の手配書は出ている。
 れっきとしたお尋ね者であり賞金首だ。
 なぜ普通に過ごせているのか?
 
 この世界の手配書には、からだ。

 街や村に入る時、必ず身分証もしくは冒険者カードの提示が必要になる。
 それらは、ゴールドの受け取りや支払いにも使われる。
 身分証や冒険者カードの利用を監視すれば、いずれは足がつくのだ。

 魔道具で出来ているため、偽造や他人のカード利用ができない仕組みになっている。だから、似顔絵なんて不確かなものは使われない。

 以外の冒険者なら、それで捕まえることが出来るだろう。

 俺は『改ざん』スキルで冒険者カードに記載されている名前を変更した。
 そして他の文面は『なりすまし』スキルで偽装。
 これで監視の目をくぐり抜けることができた。

 ちなみに職業は、俺が『鍛冶師』、ミアが『技巧士』に偽装してある。
 怪しまれずドワーフ王国へ行くための理由付けだ。

 ただ、バーセリー近郊の村や街に寄ることはできなかった。
 俺達の顔を知っている人間に見つかる可能性があるからだ。

 心身共に疲れ切っていたが、俺達は道の無い道を進んだ。
 『心の壁』アクセサリーが無ければ、俺達は野垂れ死んでたに違いない。

 それからしばらくして、バーセリーから遠く離れた小さな村を運良く見つけた。
 そこからは、少しずつ心身を癒やしながら王都まで来たのだ。

 ここに来るまで、バーセリーの街を出発してから2ヶ月が過ぎていた。
 レベルは俺が『22』、ミアは『21』まで上がっている。

 ◇

 この王都に立ち寄った目的は情報収集だ。

 俺達が欲しい情報は4つ。

 1つ目は、この世界の地図。
 2つ目は、ドワーフ王国の王都『ゴンヒルリム』がある『シラカミダンジョン』について。
 3つ目は、『シラカミダンジョン』までの移動手段。
 4つ目は……この世界の『』についてだ。

 俺達はククトさんとマルルさんの死に直面したとき、元の世界の常識で考えていた。
 この世界でもと決めつけていた。

 本当にそうなのか? 俺達はこの世界について何を知っている?
 もしかしたら、魔法で簡単に生き返るかもしれない。

 この疑問から生まれた希望が、虚脱感に蝕まれていた俺達を救った。
 旅を続ける活力になったのだ。

 ミアの『デフォルメ』スキルで試行錯誤すれば、蘇生できる可能性はある。
 けれど、失敗したときに二度と蘇生できなくなる可能性も高いので、最終手段になるだろう。

 これに関しては、俺は期待していることがある。
 エルフがいるんだ。
 きっともあるに違いないと。

 ◇

 この王都には国立図書館がある。お金を払えば禁書以外なら誰でも読めるらしい。
 まずはそこで情報収集だ。

 ――図書館へ向かう途中

 図書館まであと少しの距離にある交差点で、俺達は馬車が通り過ぎるのを待っていた。
 今日の予定について考えを巡らしていると、後ろから走って来た5歳ぐらいの女の子が、そのまま道路に飛び出した。

 へ?

 前触れもなく起きた、まさかの出来事に俺は動けなかった。
 マズい! 馬に踏み殺される。

 そう思った瞬間、ミアは飛び出し子供をかばうように抱える。
 馬車の御者はミアに気づき、馬車を急停車させた。
 しかし、間に合わず馬の足はミアを踏みつけようとする。

 ――その瞬間、ミアの近距離で『心の壁』バリアが発動し馬の足を弾いた。

 俺はミアに近づき、声をかける。

「大丈夫か?」

「はい。大丈夫です」

 ミアは抱えている子供を地面に立たせ、話しかける。

「ケガは無かった? 急に飛び出したらダメだよ」

 子供を見る限りケガはなさそうだ。
 後ろから女性の声がした。

「アンナ! 大丈夫。アンナっ!」

「ママ、ママ。怖かったよー」

 母親の顔を見て安心したのか、子供は泣きながら母親の元へ走り出す。
 飛び込んでくる我が子を抱きしめ、母親は安堵の表情で喜んでいた。

「――皆さん、お怪我はありませんか?」

 いつの間にか、馬車から2人の男女が降りて来ていた。
 金髪の美男美女で、歳は20代半ばに見える。

 全身から不思議な生命力があふれ、目を離せない。
 吸い込まれるように、どんどん惹き込まれてしまう。
 ま、まさか、これが陽キャの最上位クラスか!?
 
 その二人を見た母親は、頭を深く下げた。

「『剣聖』様、大変申し訳ありません。こちらの方は、娘を助けて下さいました」

「剣聖? あっ、剣聖様だ!」
「きゃー、剣聖様ですわ!」
「姫様だ。姫様もいるぞ!」

 ん? なんだ。どうした。この二人は有名人なのか。
 どんどん人が集まってくる。

「みなさんの邪魔になってしまう。そちらの方々、是非お礼がしたい。さあ、馬車に乗って」

 剣聖と呼ばれる男が、さわやかな笑顔で俺達を馬車へと誘う。
 
「あっ、俺達は用事があるので結構です」

「君達、異世界人だろ? 僕も異世界人だよ。これも何かの縁だ。お礼をさせてくれ。さあ乗った。乗った」

 『異世界人』という言葉に考えを巡らせてるうちに、俺達は半ば強引に馬車に乗せられてしまった。

 馬車の外は人で溢れている。
 ここから脱出するのは無理だな。
 街の人をケガさせてしまう恐れがある。

 俺は念のため、ミアに警戒するようアイコンタクトを送る。
 バリアを見られた可能性があるからな。

 馬車が出発すると、まわりから歓声が聞こえる。
 この二人の人気は、もの凄かった。

「驚かせてすまない。僕の名前はアーサー・ウィリアムズだ。隣りにいるのはメアリー・ウィリアムズだ。名前からわかるとおり兄妹だよ」

「俺はタクで、こっちがミです。2人でパーティを組んでます」
しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...