『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵

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第2章

第41話 古代都市

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 俺は今、知らない部屋にいた。

 この世界で見てきた建物は木造か石造りの家だったが、この部屋は違った。
 壁の見た目はコンクリートの打ちっぱなしのような感じだ。
 この部屋には鉄製と思われる扉が1つあるだけで、椅子や机といった家具は無かった。
 
 部屋の広さは縦と横の長さが10メートルぐらいある。
 そして、武装したドワーフ兵がこの部屋に1つしかない扉の前に並んでいた。
 俺は後ろを向くと、ミア、カルラ、ゲイルがいる。

 ドワーフ兵の後ろから、眼鏡をかけた布製のラフな格好をしたドワーフの男が前に出てきた。
 
「ようこそ、ゴンヒルリムへ。ワシはタタラだ。この街の入出管理官をしとる。とりあえず、さっきの話の続きを聞かせてくれ」

 俺はカルラを見た。
 カルラは頷き一歩前に出る。

「私は魔族の王女カルラ。詳しい話をする前に、こちらに駐在している魔族の者を呼んでほしい。急を要するの」

「わかりました。おい、誰かアーロンさんを呼びに行ってくれ」
 
 衛兵の1人が部屋を出ていった。

 ――その後、俺はククトさんとマルルさんのことを、この場のドワーフ達に話した。
 
「ククト様とマルル様が亡くなったとは。くっ……」

 入出管理官のタタラさんだけではなく、周りの兵士も故人を悼んで涙を流す。
 ククトさんやマルルさんの人柄ももちろんあるんだろうけど、ドワーフという種族が情に厚いんだな。

 そのとき、ドアをノックする音が響く。
 1人の魔族の男が慌てて部屋に入り、カルラのもとへ駆け寄る。

「カ、カルラ様! ご無事で何よりです!」

「アーロン久しぶり。心配かけたわね。急で悪いんだけど、大至急お父様に伝言を送りたいの」

 あっちはカルラとゲイルに任せよう。
 俺もやることあるしな。
 
「タタラさん、ドワーフ王とお会いすることはできませんか? ククトさん達のことを報告させてほしいのです。あと、カルラ王女はエルフ族と人族に追われています。ここに来たことを公にできませんので、カルラ王女の存在を隠した非公式でお会いできると助かります」

「ククト様の通行証を持つ者だ。きっと会ってくださるだろう。確認してくるから、ちょっと待っていてくれ」

 それからすぐにドワーフ王と非公式で会ってもらえることになった。魔族の王女が来たことを知る者には、他言しないよう指示が出された。

 ◇

 タタラさんに案内され、俺達は扉の外に出る。
 空は赤く陽が落ちようとしていた。
 ……ん? ここはダンジョンの中だよな。

 俺は目を細め注意して空を見る。なんと、空は作り物だった。
 かなり高くに天井があり、空が映し出されているようだ。
 雲の動きや夕焼けがとにかくリアル。

 巨大な地下空間の中に、ゴンヒルリムという街はあった。
 高い建造物は存在せず、二階建ての同じ様な形をした建物がずらりと並んでいる。
 まるで、巨大な住宅街のような景色だ。
 
 ここだけ別世界みたいだ。
 外と文明のレベルが違いすぎる。

「驚いたか? ここは古代人の都市だ。今から200年以上前に、ワシらの先祖が誰も住んでいないこの街を見つけたらしい」

「この建物や天井とかは、見つけたときのままなんですか?」

「そうじゃ。ワシらでは造れんよ。未だに仕組みがわからんことだらけだ。ワハハハハ」
 
 これが古代文明ってやつか。
 そんなことを考えていたとき、ミアに左袖を軽く引っ張られた。

「どうした?」
 
「わたし達の世界よりも技術が進んでいるんじゃ……」

「俺もそう思う。ゲームやスマホとかあったりして。ん? そうか……探そう。絶対手に入れないと!」

「さすがに難しいですよ。どれがゲームやスマホなのか見分けられないし、ほとんど壊れてそうだし」

「いやいや、俺達ならなんとか出来ると思わない? むしろ実際の使い方を知らない方がイメージが膨らむからな」
 
「……なるほど、いけそうですね。絶対見つけましょう!」

 これは楽しみがひとつ増えたぞ。

 ◇

 ――ドワーフ王の屋敷

 ドワーフ王は城ではなく屋敷に住んでいた。
 古代人の街にそのまま住んでいるのだから、大きい屋敷が王城代わりになるのだろう。
 
 俺達は応接室に案内された。
 しばらくすると、ドワーフ王が部屋に入ってきた。

 ドワーフ王もタタラさんと同じく、ラフな格好だった。
 服の生地はすごく上品な感じがするが、とても王様って感じには見えなかった。
 
 ドワーフ王は片手を軽く上げて、俺達に声をかける。

「カルラさんとドワーフの友よ、ようこそゴンヒルリムへ。ワシがドワーフ族の王ゴンヒルリムだ。簡単にしか話は聞いておらんので、まずはワシに何があったのかを聞かせてくれ」

 ……俺達は目を丸くした。
 なんてフランクな王様だ。ドワーフって王様までこうなのか。

 カルラが我に返り口を開く。

「ゴンヒルリム陛下、お目にかかれて光栄です。まずは……」

「カルラさん、ここに王と王女はおらんよ。『エルフ被害者友の会』ってところか。ちなみに、ワシのことはゴンでいいぞ。王の名前はゴンヒルリムと決まっていてな。長くてかなわん。ワハハハハ」

「わかりました。ご、ゴンさん。それでは……」

 ――俺達は、バーセリーの街の出来事から今に至るまでの情報を共有した。

「ドワーフの友よ。ククトとマルルの蘇生はできそうか?」

「この世界に『世界樹の葉』と呼ばれるものはありますか?」

「……どうして『世界樹』のことを知っておる?」

 今までゆるい感じだったドワーフ王の目が鋭くなった。
 なんか地雷を踏んだのか?

「私達がいた世界の物語に、よく出てくる樹なのです」
 
「なるほど。カルラさんは『世界樹』のことは何か聞いてるか?」

「いいえ。お父様からは何も聞いてません」

「……うむ。ここからの話は長くなる。この街にいる間はここに泊っていけ。いつまでここにいられるかの?」

 俺はカルラを見た。

「私達は、魔族と人族の戦争を止めるため『ゾフ』に帰らなければいけません。アーロンの話だとドラゴンの準備に今日を含めて3日かかるので、4日目の朝にここを発ちます」

「では、話の続きは明日の朝からにしよう。今夜は宴じゃ!」

 ドワーフ王がそう言うと、応接室の扉が開き使用人達が入ってくる。
 俺達はそのまま今日泊まる部屋に案内された。

「タクミ様、これから1時間後に宴会が始まりますので、それまでどうぞお寛ぎ下さい。お風呂も自由にお使い下さい」

「え! お風呂があるんですか?」

「はい。各部屋にございます。こちらです」
 
 お風呂はユニットバスのような造りをしていた。
 シャワーみたいな装置やお湯のため方を教えてもらう。

「ここはダンジョンの中ですよね。水を大量に使っても大丈夫なんですか?」

「はい。この街の水や排出は古代人のアーティファクトで管理しておりますので、お気になさらないでください。隣のドアはお手洗いになります」

 ドアを開けると、そこには常時水が流れている便器のようなものがあった。
 
 『ゴンヒルリム』。そこは天国だった。

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