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神の気まぐれ 冒涜的な世界
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これは、人類が知るはずもない物語。
私はこう語ろう
「この世界の終わりは、近い」
と。
ここは風見探偵事務所。
この事務所の机の奥には一人の少女が座っている。
私立探偵、風見幻(かざみげん)。
17という若さで幾多の事件を解決してきた天才探偵だ。
そんな彼女の前には一人の男がいた。
銀髪に黒のスーツを着こんだ高身長の男。
顔は作られたかのような美形。
その辺の女がみたら大変な事になるだろう。
「それで、なんのようかな」
幻は男に言う。
その声には明らかな殺意と敵意を向けている。
「そう敵意むき出しにするな、お前達を救ってやった恩人だぞ?」
「黙れ人外、貴様の持ちかけた始めの事件、『東京サテライトビル倒壊事件』、あの事件で私は片足を、弟は人を助けるため両腕を、妹は落ちてきた瓦礫のせいで声を失った。その事件の解決してほしいと頼んで来たのはお前だ、ニャル・セリスト、いや、ニャルラトテップ」
「おやおや、孤児として、裏の世界で捨てられていたお前らを救いだしたのは私だ。あのままあそこに放置すれば汚ならしい裏の人間に犯され、殺され、奴隷にされていたかも知れないお前らを救ったのは神のお遊びだ」
「・・・」
「まぁ、いい、この話しはまた今度だ。今回の依頼は」
「この資料の事だろ、それぐらいは分かる」
「もう読んだか、そうだ、今回の依頼は誘拐事件。それも100人だ」
「そこがおかしい、この時間帯電車が通っている。そんなに人間が歩いているのなら電車から」
「その時点で違う」
「・・・?」
「この時間帯、18時22分の電車が一番人の多い。この時も約100人の人が乗ったのが分かっている」
「それなら、その電車ごと消えたと?」
「そうだ、次の駅、松原街道前駅には新初台駅からの電車は来ていない」
「・・・そんなバカな事があるか、お前のように指を降るだけで地球を破壊できるような化け物ならまだしも、地下鉄で忽然と電車が消えるなんて」
「出来ないこともない」
「なに?」
「今では使われていない旧初台駅。そこには都市伝説がある。猫背の赤い眼球を光らせる腕の長い怪物がうろついている、と」
「それは知っている。グールがホームレスを喰らう話だろ。それなら既に解決した。事故で亡くなったものなら構わないと」
「・・・君も人間だろう?」
「表世界の人間はいくら死のうが構わん。私たち、裏世界の人間をゴミと同等、いや、それ以下に見ているやつらがいくら死のうが私の心には響かん」
「ふーん?まぁ、私にとって人間がどうなろうが構わない。そんな彼らだが、最近は全く目撃されていない」
「・・・は?そんな筈はないだろう。彼らは1000体程もいたんだ。そんな彼らが1体残らず消えるわけないだろ」
「残念だが真実だ。私も見てきたが、なんの痕跡もなく消えていた」
「・・・」
幻はおいてある資料に目を落とす。
100人の行方不明、グールの消失。
まだ謎は多い事は分かっている。
だが
「・・・私は探偵だ。この依頼受けよう」
「そういうと思っていた。依頼料はいつも通りに」
そう言うとニャルは声だけを残し部屋から消失した。
公園、とは言うが瓦礫の多い空き地。
その瓦礫の上に座る少年がいた。
風見炎(かざみえん)、風見幻の弟だ。
炎は空を見上げていた。
青くすんだ空、雲1つない空だ。
そんな時、声が聞こえる。
「おにいちゃーん!」
炎は声のする方向を見ると子供達が走って来ていた。
「なんだ、お前達か」
「お兄ちゃん!また遊んでよ!」
「はいはい、今日は何するんだ?」
「ボール遊び!」
10人いる子供達の先頭に立っている子供はボールを持っている。
子供は小学生程の子が多い。
それは学校に行けない子供達。
そんな時だ。
「お、こんなところにガキがいるぞ」
「お、ほんとだほんとだ」
「ん?」
現れたのは警官、だが、どうみても警官には似つかわしくない奴だ。
「警察が、なんの用だ?」
「お前には関係ねぇ、とりあえず、女をここにおいて消えて貰おうか?」
「・・・あぁ、なるほど。ただのクズ野郎か」
「お兄ちゃん・・・」
「お前らは下がってろ」
「なんだてめぇ、こっちは利用価値もねぇガキを使ってやるっていってんだよ!」
「邪魔するんじゃねぇよ!」
炎は瓦礫の上から飛び降りると子供達を瓦礫の後ろに避難させる。
「ちっ、くそガキが、調教してやるよ、おい!」
警官二人は警棒を取り出すと構える。
「・・・たく、人間がクズばかりか、警察もクズばかりか」
炎は目を閉じる、そして目を開いたら。
その眼には謎の光があった。
そして、炎には先の未来が見えていた。
「気色の悪い、そんな目!潰してやるよ!」
小太りの警官は警棒を振るった。
しかし、炎は振られる寸前には既にかわした。
そして、降り下ろされた腕を掴むと捻りあげる。
その一瞬に腕の骨の折れる音が聞こえる。
警官の右腕は完全に折れたであろう。
呻き声が聞こえるともう一方に向き直る。
そして、もう一方の高身長で細い警官は走りながら警棒を振り上げる。
「この、くそガキがぁ!」
炎は警官の右側、懐に入り込む。
そのまま腹に一発拳を叩き込む。
そして、もう一方の腕で頭を掴み膝蹴りを顔面に叩き込む。
そのままその警察は後ろに倒れながら気絶する。
「くそ、ただの、ごみクズの分際で!」
腕を折られた反対の手で拳銃を取り出した。
しかし、構えられた瞬間に警察の腕が蹴られる。
その横には一人の少女が立っていた。
風見夢(かざみゆめ)、幻、炎の妹である。
「あぁ、夢か」
「・・・」
「なにをしていたか、だって?子供達を守っただけさ」
「・・・」
「警察に喧嘩売っていいのか?喧嘩を振りかけたのはそっちだ。俺じゃない」
「・・・」
「暴力はダメ?お前がそれ言うか?」
「なんなんだよ、こいつ」
「さてっとお前、こんなことしていいと思ってんの?」
「・・・もの」
「あ?」
「この、化け物が!」
「「!」」
「くそ!この!化け物が!殺してやる!殺して・・・」
警察の頬をナイフが掠める。
「それ以上言うな、これ以上は耐えられんぞ」
「ひぃ!」
炎が糸を引くとナイフが炎の手に戻る。
「夢、帰るぞ。お前らも今日は帰れ」
子供達はそれぞれ頷くと走っていく。
「・・・」
「放置でいい。帰るぞ」
「・・・」
「怒ってない」
「・・・」
「・・・買い物していくぞ」
神は気まぐれだ。
ただの人間に特別な運命を授ける。
そんな運命も全員が平等な物ではない。
あるものは幸福を、あるものは死を。
これは、神の気まぐれだ。
この3人も神の気まぐれにより生きているに過ぎないのだ。
そして神は、また新たな運命を与えるのだった。
私はこう語ろう
「この世界の終わりは、近い」
と。
ここは風見探偵事務所。
この事務所の机の奥には一人の少女が座っている。
私立探偵、風見幻(かざみげん)。
17という若さで幾多の事件を解決してきた天才探偵だ。
そんな彼女の前には一人の男がいた。
銀髪に黒のスーツを着こんだ高身長の男。
顔は作られたかのような美形。
その辺の女がみたら大変な事になるだろう。
「それで、なんのようかな」
幻は男に言う。
その声には明らかな殺意と敵意を向けている。
「そう敵意むき出しにするな、お前達を救ってやった恩人だぞ?」
「黙れ人外、貴様の持ちかけた始めの事件、『東京サテライトビル倒壊事件』、あの事件で私は片足を、弟は人を助けるため両腕を、妹は落ちてきた瓦礫のせいで声を失った。その事件の解決してほしいと頼んで来たのはお前だ、ニャル・セリスト、いや、ニャルラトテップ」
「おやおや、孤児として、裏の世界で捨てられていたお前らを救いだしたのは私だ。あのままあそこに放置すれば汚ならしい裏の人間に犯され、殺され、奴隷にされていたかも知れないお前らを救ったのは神のお遊びだ」
「・・・」
「まぁ、いい、この話しはまた今度だ。今回の依頼は」
「この資料の事だろ、それぐらいは分かる」
「もう読んだか、そうだ、今回の依頼は誘拐事件。それも100人だ」
「そこがおかしい、この時間帯電車が通っている。そんなに人間が歩いているのなら電車から」
「その時点で違う」
「・・・?」
「この時間帯、18時22分の電車が一番人の多い。この時も約100人の人が乗ったのが分かっている」
「それなら、その電車ごと消えたと?」
「そうだ、次の駅、松原街道前駅には新初台駅からの電車は来ていない」
「・・・そんなバカな事があるか、お前のように指を降るだけで地球を破壊できるような化け物ならまだしも、地下鉄で忽然と電車が消えるなんて」
「出来ないこともない」
「なに?」
「今では使われていない旧初台駅。そこには都市伝説がある。猫背の赤い眼球を光らせる腕の長い怪物がうろついている、と」
「それは知っている。グールがホームレスを喰らう話だろ。それなら既に解決した。事故で亡くなったものなら構わないと」
「・・・君も人間だろう?」
「表世界の人間はいくら死のうが構わん。私たち、裏世界の人間をゴミと同等、いや、それ以下に見ているやつらがいくら死のうが私の心には響かん」
「ふーん?まぁ、私にとって人間がどうなろうが構わない。そんな彼らだが、最近は全く目撃されていない」
「・・・は?そんな筈はないだろう。彼らは1000体程もいたんだ。そんな彼らが1体残らず消えるわけないだろ」
「残念だが真実だ。私も見てきたが、なんの痕跡もなく消えていた」
「・・・」
幻はおいてある資料に目を落とす。
100人の行方不明、グールの消失。
まだ謎は多い事は分かっている。
だが
「・・・私は探偵だ。この依頼受けよう」
「そういうと思っていた。依頼料はいつも通りに」
そう言うとニャルは声だけを残し部屋から消失した。
公園、とは言うが瓦礫の多い空き地。
その瓦礫の上に座る少年がいた。
風見炎(かざみえん)、風見幻の弟だ。
炎は空を見上げていた。
青くすんだ空、雲1つない空だ。
そんな時、声が聞こえる。
「おにいちゃーん!」
炎は声のする方向を見ると子供達が走って来ていた。
「なんだ、お前達か」
「お兄ちゃん!また遊んでよ!」
「はいはい、今日は何するんだ?」
「ボール遊び!」
10人いる子供達の先頭に立っている子供はボールを持っている。
子供は小学生程の子が多い。
それは学校に行けない子供達。
そんな時だ。
「お、こんなところにガキがいるぞ」
「お、ほんとだほんとだ」
「ん?」
現れたのは警官、だが、どうみても警官には似つかわしくない奴だ。
「警察が、なんの用だ?」
「お前には関係ねぇ、とりあえず、女をここにおいて消えて貰おうか?」
「・・・あぁ、なるほど。ただのクズ野郎か」
「お兄ちゃん・・・」
「お前らは下がってろ」
「なんだてめぇ、こっちは利用価値もねぇガキを使ってやるっていってんだよ!」
「邪魔するんじゃねぇよ!」
炎は瓦礫の上から飛び降りると子供達を瓦礫の後ろに避難させる。
「ちっ、くそガキが、調教してやるよ、おい!」
警官二人は警棒を取り出すと構える。
「・・・たく、人間がクズばかりか、警察もクズばかりか」
炎は目を閉じる、そして目を開いたら。
その眼には謎の光があった。
そして、炎には先の未来が見えていた。
「気色の悪い、そんな目!潰してやるよ!」
小太りの警官は警棒を振るった。
しかし、炎は振られる寸前には既にかわした。
そして、降り下ろされた腕を掴むと捻りあげる。
その一瞬に腕の骨の折れる音が聞こえる。
警官の右腕は完全に折れたであろう。
呻き声が聞こえるともう一方に向き直る。
そして、もう一方の高身長で細い警官は走りながら警棒を振り上げる。
「この、くそガキがぁ!」
炎は警官の右側、懐に入り込む。
そのまま腹に一発拳を叩き込む。
そして、もう一方の腕で頭を掴み膝蹴りを顔面に叩き込む。
そのままその警察は後ろに倒れながら気絶する。
「くそ、ただの、ごみクズの分際で!」
腕を折られた反対の手で拳銃を取り出した。
しかし、構えられた瞬間に警察の腕が蹴られる。
その横には一人の少女が立っていた。
風見夢(かざみゆめ)、幻、炎の妹である。
「あぁ、夢か」
「・・・」
「なにをしていたか、だって?子供達を守っただけさ」
「・・・」
「警察に喧嘩売っていいのか?喧嘩を振りかけたのはそっちだ。俺じゃない」
「・・・」
「暴力はダメ?お前がそれ言うか?」
「なんなんだよ、こいつ」
「さてっとお前、こんなことしていいと思ってんの?」
「・・・もの」
「あ?」
「この、化け物が!」
「「!」」
「くそ!この!化け物が!殺してやる!殺して・・・」
警察の頬をナイフが掠める。
「それ以上言うな、これ以上は耐えられんぞ」
「ひぃ!」
炎が糸を引くとナイフが炎の手に戻る。
「夢、帰るぞ。お前らも今日は帰れ」
子供達はそれぞれ頷くと走っていく。
「・・・」
「放置でいい。帰るぞ」
「・・・」
「怒ってない」
「・・・」
「・・・買い物していくぞ」
神は気まぐれだ。
ただの人間に特別な運命を授ける。
そんな運命も全員が平等な物ではない。
あるものは幸福を、あるものは死を。
これは、神の気まぐれだ。
この3人も神の気まぐれにより生きているに過ぎないのだ。
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