冒涜的な古の戦い

フェンネル

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旧初誘拐事件

序章

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風見幻はコーヒーを飲みながらニャルから貰った資料を読んでいた。
そこに風見炎が声をかける。
「姉さん、その資料は?」
「ニャルから貰った資料だよ」
「またあいつの依頼か、あんなやつの仕事受けなくてもよくないか?」
「・・・」
「そうだ、今私たちがこうやって生きているのはあいつが依頼を持ってくるからだ」
「はぁ、姉さんは甘いよ。で?どんな依頼なんだ?」
「行方不明事件だ、新初台駅18時22分発の電車が旧初台駅の前で消えたらしい。さらにグールも行方がわからなくなっている。炎、これを聞いてきてくれ」
「また警察署かよ、めんどくせぇ」
「これは依頼だ、文句は言うな。それに、警察署に知り合いがいるのはお前だろ」
「・・・」
「お前は行かなくていい、お前は私と旧初台駅に行くぞ」
「・・・」
「いい子だ。そういうことだから、頼んだぞ」
「へいへい」
炎は納得しないまま返事を返すと自分の部屋に向かった。



次の日、炎は目を覚ますと体を起こす。
服装はシャツ一枚のみ。
そして、両腕がない。
それもそうだ、昨日は義手を幻に預けて寝たのだから。
「・・・はぁ」
炎は予備の義手をどうにか両腕にはめる。
昔は反対の義手つけたりしたものだが、今は馴れたようで簡単につけれるようになった。
義手の感覚を確かめながらスーツに着替え部屋を出る。
「ん、もういないのか」
事務所には誰もおらず机の上にはコンビニのサンドイッチが置いてあった。
ハムサンドだ。
「・・・いつも卵サンドにしろって言ってるだろうに」
サンドイッチを食べながら事務所を出る。
炎は歩き出すと下に置いてあった自転車に乗ると警察署に向かった。
警察署に入るとキョロキョロと辺りを見回す。
そして知り合いの警察を見つける。
「嘉山さん」
「ん?あ、炎さんじゃないですか」
嘉山幹久(かとうみきひさ)巡査。
年齢25歳独身の老け顔。
回りからの信頼も厚く頼もしい。
「それでどうかしたんですか?」
「あぁ、警部はいるか?」
「うん、上にいるけど、会うのかい?」
「あぁ、ありがとう。また今度甘いもの奢ってくれよ」
「一応僕の方が年上なんだけど・・・」
炎は挨拶を済ませ受け付けに行き許可証を貰ってからエレベーターに乗り込む。
そして目的の場所に到着した。
警察署4階、特別科対策本部。
実際は存在しない部署である。
パスコードをエレベーターに入力することで行ける4階に存在する人間の手には終えない事件。
超次元的事件を専門にした物だ。
炎は物が置かれている廊下をまっすぐ進む。
そして扉を開ける。
そこには何処とも変わらないデスクが何個も置いてあるただの部屋だった。
そして奥のデスクには一人の男が座っていた。
「お、炎じゃないか」
「よぉ、署長」
署長、森川康文(もりかわやすふみ)警部。
特別科対策本部の責任者である。
「今回は話があってきた」
「どんな話だ?」
「新初台駅からの電車が忽然と消えた事だ。この件について何か掴んでる事はないか?」
「その事か、それなら無いこともない」
「どういう事だ?」
「俺たちの部署が特別かつ特殊なのはお前も知っているだろう。人間ができないような事件を専門に取り扱うだからな。それで、だ。その事件についての捜査は3日で中止になった」
「・・・は?」
「総監からの命令だ。確かに、この部署の始めの責任者は今の副総監だ。しかし、それよりも上の総監直々の命令を無視することは出来ない」
「つまり、総監より上の何かが関わっていると」
「あぁ。まぁ、俺達は刑事だ。1度舞い込んだ仕事を命令ごときで止めれるかよ」
「だろうな」
「この隣の部屋で調査を進めている」
「何人だ?」
「あまり大人数では上にバレると思って3人だ」
「3人か、まぁいい。そのうちの誰かを借りても?」
「構わんよ」
炎は立ち上がると隣の部屋に足を運んだ。
確かにパソコンと資料を見ているのは3人だけいる。
「ん?」
その中の眼鏡をかけた女性が気づく。
松本真弥(まつもとまや)警部補
「探偵の所の弟か」
「炎だ。このやりとり何回目だよ」
「話しは聞こえてた。人がいるんだろ?」
「無視かよ」
「それなら2人を連れていけ。現地に行っての捜査も必要だろうからな」
「話聞け」
そう言いながら2人が立ち上がる。
「え、えっと、か、加島華(かしまはな)、階級は巡査です。よ、よろしくお願いします」
「森川康(もりかわやすし)巡査部長です」
「2人とも頼りになる。頼ってくれて構わない」
「・・・」
「二人には拳銃所持を許可している」
「・・・そうか」
炎は2人を横目で見て歩き出した。



ここは地下鉄の旧初台駅。
「・・・確かに、生き物の気配はしないか」
「・・・」
「どうかしたか?」
幻が夢を見ると何かを指差している。
幻は夢の側に行き腰を下ろす。
そこには黄色い筒状の物がいくつも落ちていた。
「これは、薬莢か。自動小銃とマシンガンの薬莢だな」
「・・・」
「拾わなくていい、この変でマシンガンが使えるのは軍かマフィア程度の物だ」
「・・・」
「確かに最近のマフィアだったらこんな物は手に入らないな」
「・・・」
「今回は引き上げる、これについても調べないといけないからな」
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