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少年期
1 転生したようです
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私は二次元が好きな、ごく普通の女子高生だった。
オタクといえるほどの情熱はなく、しかし漫画や乙女ゲームから元気をもらっていたことは事実だろう。
そんな私は高二の時、事故に遭って死んだ。
(はずだったんだけどなあ……)
ぼんやりとした頭でそう思う。
「気付いたね。大丈夫かい?」
すぐ傍から聞こえる優しい声に、遠くから聞こえる子供達の元気な声に、はじめは天国かな?と思った。
しかし続いてやってきた怠さ、寒気、頭痛に鼻水……どう考えたって風邪だ。天国で風邪ってひくのかな?
「ここは……天国なの?」
「天国?華ノ国の人みたいなことを言うね。レミー、あんたは生きてるよ」
私の疑問に、優しい声は笑って否定した。
「まだ本調子じゃないみたいだね。もう少し休んでな」
そう言って誰かが離れていく気配がして、扉が閉まる音が聞こえた。
私も眠たかったのだろう。少しうとうとしてすぐに、完全に眠りに落ちたのだった。
瞼の裏に太陽の光を感じて、今度ははっきりと目が覚めた。
自分は狭い部屋で、薄い布団を被って眠っていたようだ。
何があったのだろう。
これまでの記憶をたどろうとしたら、堰を切ったようにして自分のものではない記憶が入ってきた。
落ち着いてまとめると───
私の名前はレミー、性別は女性。
親はなく、孤児院で育てられて現在8歳。
この国は豪ノ国といって、『強さこそ正義』を地で行く国民性。
国主も世襲制や投票制ではなく、武闘会で決められるという脳筋国家だ。
しかし『正義は弱きを護るもの』という信条もあっておおらかな人が多い。
この辺りまで来てふと思ったのだ。
私、乙女ゲームの世界に転生してんじゃね?と。
乙女ゲーム『Holy Valkyrie ~聖なる戦乙女~』では、召喚された主人公が戦乱の危機に貧したその世界を救い、その過程で召喚された国の男性と恋に落ちる。
『ホリヴァル』と略されるこのゲームでは、豪ノ国、和ノ国、華ノ国、地ノ国という四つの国があり、それぞれの国に3人から6人の攻略対象者がいる。
レミーは豪ノ国の女軍人で、神話にある戦乙女として召喚された主人公に、いろいろと世話を焼く。
どの国を選んでも、攻略に役立つ情報をくれるサポートキャラがいるのだが、豪ノ国ではレミーがそれにあたるのだ。
ただのサポートキャラだし、破滅フラグなど無い。無いのだが……
「私にイケメンキャラは無理だよ……」
レミーは女なのに女たらしのイケメンキャラなのだ。
女の子を呼ぶときは「お姫様」だし、王子様っぽい台詞に女性ならではの細やかな気遣い……。
掲示板では『どうして女性にした!?』とか『女子でもいいから攻略対象に入れてほしい』とかいう要望が出るほどのイケメンぶりなのだ。
「だめだ……!今の私では彼女たちを落胆させてしまう!」
それが世界平和に繋がるのなら、ゲームのシナリオから逃げるつもりはない。
つまり私は本編開始までに完璧な“王子様”にならなくてはいけないのだ。
「……やってやろうじゃないの……!」
やがて異世界から来るであろう乙女の夢を守るため、私は決意したのだった。
オタクといえるほどの情熱はなく、しかし漫画や乙女ゲームから元気をもらっていたことは事実だろう。
そんな私は高二の時、事故に遭って死んだ。
(はずだったんだけどなあ……)
ぼんやりとした頭でそう思う。
「気付いたね。大丈夫かい?」
すぐ傍から聞こえる優しい声に、遠くから聞こえる子供達の元気な声に、はじめは天国かな?と思った。
しかし続いてやってきた怠さ、寒気、頭痛に鼻水……どう考えたって風邪だ。天国で風邪ってひくのかな?
「ここは……天国なの?」
「天国?華ノ国の人みたいなことを言うね。レミー、あんたは生きてるよ」
私の疑問に、優しい声は笑って否定した。
「まだ本調子じゃないみたいだね。もう少し休んでな」
そう言って誰かが離れていく気配がして、扉が閉まる音が聞こえた。
私も眠たかったのだろう。少しうとうとしてすぐに、完全に眠りに落ちたのだった。
瞼の裏に太陽の光を感じて、今度ははっきりと目が覚めた。
自分は狭い部屋で、薄い布団を被って眠っていたようだ。
何があったのだろう。
これまでの記憶をたどろうとしたら、堰を切ったようにして自分のものではない記憶が入ってきた。
落ち着いてまとめると───
私の名前はレミー、性別は女性。
親はなく、孤児院で育てられて現在8歳。
この国は豪ノ国といって、『強さこそ正義』を地で行く国民性。
国主も世襲制や投票制ではなく、武闘会で決められるという脳筋国家だ。
しかし『正義は弱きを護るもの』という信条もあっておおらかな人が多い。
この辺りまで来てふと思ったのだ。
私、乙女ゲームの世界に転生してんじゃね?と。
乙女ゲーム『Holy Valkyrie ~聖なる戦乙女~』では、召喚された主人公が戦乱の危機に貧したその世界を救い、その過程で召喚された国の男性と恋に落ちる。
『ホリヴァル』と略されるこのゲームでは、豪ノ国、和ノ国、華ノ国、地ノ国という四つの国があり、それぞれの国に3人から6人の攻略対象者がいる。
レミーは豪ノ国の女軍人で、神話にある戦乙女として召喚された主人公に、いろいろと世話を焼く。
どの国を選んでも、攻略に役立つ情報をくれるサポートキャラがいるのだが、豪ノ国ではレミーがそれにあたるのだ。
ただのサポートキャラだし、破滅フラグなど無い。無いのだが……
「私にイケメンキャラは無理だよ……」
レミーは女なのに女たらしのイケメンキャラなのだ。
女の子を呼ぶときは「お姫様」だし、王子様っぽい台詞に女性ならではの細やかな気遣い……。
掲示板では『どうして女性にした!?』とか『女子でもいいから攻略対象に入れてほしい』とかいう要望が出るほどのイケメンぶりなのだ。
「だめだ……!今の私では彼女たちを落胆させてしまう!」
それが世界平和に繋がるのなら、ゲームのシナリオから逃げるつもりはない。
つまり私は本編開始までに完璧な“王子様”にならなくてはいけないのだ。
「……やってやろうじゃないの……!」
やがて異世界から来るであろう乙女の夢を守るため、私は決意したのだった。
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