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少年期
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「ほら、隙だらけだぞー。基本の防御は教えただろうが」
いつも通り気の抜けたような話し方をしながら、ギャヴィンさん……師匠は恐ろしく早くて重い攻撃を繰り出す。
「ぐぅっ……!」
「おら、このくらいの攻撃で止まってちゃあ実戦で死ぬぞー」
鬼のランニングでノルマをクリアした後は、少し周回数を減らしてその後の時間で戦い方を教えてもらうことになった。
「女が腕力を鍛えたところで男の方が有利だからな。同等に戦うなら技術と素早さを武器にするのが無難だろ」
とは、師匠のお言葉である。
そこで筋トレは必要最低限で、瞬発力と持久力を鍛える基礎訓練が主な訓練メニューだ。
そして慣れてきた頃から始まった2日に1回くらいある無手格闘の訓練が地獄なのだ。
手加減しているといっても一撃でもまともに食らえば悶絶ものの攻撃を連続で浴びせられ、倒れては立たされを何度も繰り返す。骨折したことも一度や二度じゃない。
訓練が終わった後の回復薬のせいで一晩眠れば治ってまうのだから、訓練を休もうにも休めない。
何が恐ろしいって、師匠は私よりも私の限界を知っているところだ。「もうだめだ」と思った先の本当の限界までの訓練。普段は信じない根性論も信じられそうな勢いだった。
そのせいで私は2日に1回は使い物にならなくなるのだ。
そんな中で訓練にも慣れて、なんとか倒れなくなった頃のある日、朝の訓練の準備をしているところで部屋にノックの音が響いた。
「はい、どうぞ。開いてますよ」
私が答えると扉が勢いよく開く。
「おっはよー!レミーくん、元気ー?」
「おはようございます。私は元気ですよ。レベッカは今日も綺麗ですね」
「もー!レミーくんったらお上手なんだからー!」
入ってきたのは傭兵団の先輩団員、『美しすぎる傭兵』として人気ナンバーワンの美人であるレベッカだった。
闊達で、けっこう適当な性格であるものの、魔法使いとしての実力は折り紙付き。
『ホリヴァル』では豪ノ国の攻略対象者の一人であるイアンの姉として登場し、彼女に認められるかどうかがイアンルート攻略の鍵の一つなのだ。
それはおいといて。
「今日はどうされたんですか?」
「今日は久しぶりに女子メンバー全員の都合が合ったから、皆でショッピングをすることになってるの。だからレミーくんも一緒に行くのよ!」
「え?」
私は今でも傭兵見習いだが、団員は気さくな人が多く、けっこう可愛がってもらっている。
私が国軍の左官を目指しているということを知っている人も多いので応援してもらったりもするが、こういうお誘いは初めてだった。
「いっつも訓練ばっかりしてるんだもの、たまには遊ばないと!」
そう言って、訓練用に用意していた無骨な鞄を取り上げられた。
「お休みは団長にもらってるし、訓練には行かなくて良いわよ!さあ、早く着替えて」
そう言ってクローゼットを開けたレベッカさんは悲鳴を上げた。
「な……何よ、これ!?私服が1着もないじゃないの!」
「あー……背が伸びてしまって最初に持ってきた服はもう入らないので元いた孤児院に送ってしまいました」
今、私は12歳。8歳の頃の服はほとんど着ることなく成長してしまった。
ここまで心が折れていないとなると、レミーのチート能力は精神面にも存在するようだ。
「毎日訓練しかしてなかったので、そういえば団支給の服しか着てないですね」
「なんてこと……」
私はこの後、衝撃を受けたらしいレベッカさんと傭兵団の女性陣によってショッピングに連れ出されるのだった。
いつも通り気の抜けたような話し方をしながら、ギャヴィンさん……師匠は恐ろしく早くて重い攻撃を繰り出す。
「ぐぅっ……!」
「おら、このくらいの攻撃で止まってちゃあ実戦で死ぬぞー」
鬼のランニングでノルマをクリアした後は、少し周回数を減らしてその後の時間で戦い方を教えてもらうことになった。
「女が腕力を鍛えたところで男の方が有利だからな。同等に戦うなら技術と素早さを武器にするのが無難だろ」
とは、師匠のお言葉である。
そこで筋トレは必要最低限で、瞬発力と持久力を鍛える基礎訓練が主な訓練メニューだ。
そして慣れてきた頃から始まった2日に1回くらいある無手格闘の訓練が地獄なのだ。
手加減しているといっても一撃でもまともに食らえば悶絶ものの攻撃を連続で浴びせられ、倒れては立たされを何度も繰り返す。骨折したことも一度や二度じゃない。
訓練が終わった後の回復薬のせいで一晩眠れば治ってまうのだから、訓練を休もうにも休めない。
何が恐ろしいって、師匠は私よりも私の限界を知っているところだ。「もうだめだ」と思った先の本当の限界までの訓練。普段は信じない根性論も信じられそうな勢いだった。
そのせいで私は2日に1回は使い物にならなくなるのだ。
そんな中で訓練にも慣れて、なんとか倒れなくなった頃のある日、朝の訓練の準備をしているところで部屋にノックの音が響いた。
「はい、どうぞ。開いてますよ」
私が答えると扉が勢いよく開く。
「おっはよー!レミーくん、元気ー?」
「おはようございます。私は元気ですよ。レベッカは今日も綺麗ですね」
「もー!レミーくんったらお上手なんだからー!」
入ってきたのは傭兵団の先輩団員、『美しすぎる傭兵』として人気ナンバーワンの美人であるレベッカだった。
闊達で、けっこう適当な性格であるものの、魔法使いとしての実力は折り紙付き。
『ホリヴァル』では豪ノ国の攻略対象者の一人であるイアンの姉として登場し、彼女に認められるかどうかがイアンルート攻略の鍵の一つなのだ。
それはおいといて。
「今日はどうされたんですか?」
「今日は久しぶりに女子メンバー全員の都合が合ったから、皆でショッピングをすることになってるの。だからレミーくんも一緒に行くのよ!」
「え?」
私は今でも傭兵見習いだが、団員は気さくな人が多く、けっこう可愛がってもらっている。
私が国軍の左官を目指しているということを知っている人も多いので応援してもらったりもするが、こういうお誘いは初めてだった。
「いっつも訓練ばっかりしてるんだもの、たまには遊ばないと!」
そう言って、訓練用に用意していた無骨な鞄を取り上げられた。
「お休みは団長にもらってるし、訓練には行かなくて良いわよ!さあ、早く着替えて」
そう言ってクローゼットを開けたレベッカさんは悲鳴を上げた。
「な……何よ、これ!?私服が1着もないじゃないの!」
「あー……背が伸びてしまって最初に持ってきた服はもう入らないので元いた孤児院に送ってしまいました」
今、私は12歳。8歳の頃の服はほとんど着ることなく成長してしまった。
ここまで心が折れていないとなると、レミーのチート能力は精神面にも存在するようだ。
「毎日訓練しかしてなかったので、そういえば団支給の服しか着てないですね」
「なんてこと……」
私はこの後、衝撃を受けたらしいレベッカさんと傭兵団の女性陣によってショッピングに連れ出されるのだった。
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