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国軍尉官期
3 決闘です 2
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訓練場に移動して私と相手が中央で対峙する。
私は双剣、相手は大きめの剣が武器で、もちろん、訓練用の刃を落としたものだ。
「おまえ、大将の知り合いからの推薦で入隊したんだってな?」
「そうですね」
「コネで尉官になって偉くなったつもりだろうが、残念だったな。国軍は完全実力主義だ。世間知らずのお子様には痛い目を見てもらわないといけない」
台詞の噛ませ犬感がすごいけど、実技試験で1位だったのなら嘗めてかかってはいけない。
「始め」
ルーカスの合図があった瞬間、相手が走り出す。
相手の実力が分からないので、私は防御に専念して様子を見ることにしたのだが……
…………ん?遅くね?
本気で蹴り出したらもっと速く進めるだろうに、何で小走りなんかしてるんだ?
「ねえ、子供だからってなめてるの?本気でかかってきてくれないと困るんだけど」
そう言う間に木剣を振る速さも技術も、私がいた傭兵団では見習いのそれだ。
しかし、私が言った事実は、相手にとって挑発にしか聞こえなかったようだ。
「なっ!?……ふざけるな!」
相手が怒りをあらわにしたのを見て、やってしまったとは思ったが、こんなことで平静を失ってもいいものなのかは甚だ疑問だ。
そして本気になったらしいのだが、多少力と早さが上がったくらいで、その動きは目線や体勢で分かってしまうようなものだった。
あまりの稚拙さに思わずため息を吐く。
本気の戦闘を想定しての双剣スタイルだったのに、いまだに片方しか使っていないのは拍子抜けもいいところだ。
相手が剣を振り下ろしたところで受け流しつつ懐に入る。その喉元に短剣を持ってくると、「そこまで」と言うルーカスの声が響いた。
「シュナイダー少将。今年はもしかしてハズレ年でしたか?」
呆然とした様子で地に膝をついた相手は置いておいて、ルーカスに聞く。
本気で疑問に思ったことだったのだが、ルーカスは小さく笑い出した。
「ふっ……くくっ、おまえが入隊した時点で大当たりだろう。それ以外の兵の質も例年通りだ」
「えぇ……」
「新兵は弱くて当然だ。そこで呆けているのも含めて、ほとんどが子供なのだからな」
それを聞いて納得はできた。私が強くなれたのは師匠のおかげだし、8歳からあの苛酷な修行をするような子供がたくさんいて良いはずがない。
「それで?新兵を1人倒したくらいでは納得できない輩もいるようだが、どうする?」
野次馬の方を見れば、一部の人間を除いて、未だに敵意や嘲りを見せる人が多くいた。
「そうですね……どこまでできるかは分かりませんが、まとめて相手をしてみましょうか」
「何が『どこまでできるかは分かりませんが』だ。自信が無ければそのような言葉は出こないだろう」
口の端を上げて言う私に、ルーカスが呆れ顔で突っ込む。
私はそれを無視して声を張り上げた。
「さて、いまだに納得がいっていない人が多くいらっしゃる様子。一人一人相手をすると日が暮れてしまうでしょう。そこで提案です」
私たちを囲むようにして見ている野次馬をぐるりと見渡す。
「まだ文句があるという方は全員でかかってきてください!私が皆さんにどこまで食い下がれるか、それで尉官就任の是非を判断していただきたい!」
私は双剣、相手は大きめの剣が武器で、もちろん、訓練用の刃を落としたものだ。
「おまえ、大将の知り合いからの推薦で入隊したんだってな?」
「そうですね」
「コネで尉官になって偉くなったつもりだろうが、残念だったな。国軍は完全実力主義だ。世間知らずのお子様には痛い目を見てもらわないといけない」
台詞の噛ませ犬感がすごいけど、実技試験で1位だったのなら嘗めてかかってはいけない。
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…………ん?遅くね?
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しかし、私が言った事実は、相手にとって挑発にしか聞こえなかったようだ。
「なっ!?……ふざけるな!」
相手が怒りをあらわにしたのを見て、やってしまったとは思ったが、こんなことで平静を失ってもいいものなのかは甚だ疑問だ。
そして本気になったらしいのだが、多少力と早さが上がったくらいで、その動きは目線や体勢で分かってしまうようなものだった。
あまりの稚拙さに思わずため息を吐く。
本気の戦闘を想定しての双剣スタイルだったのに、いまだに片方しか使っていないのは拍子抜けもいいところだ。
相手が剣を振り下ろしたところで受け流しつつ懐に入る。その喉元に短剣を持ってくると、「そこまで」と言うルーカスの声が響いた。
「シュナイダー少将。今年はもしかしてハズレ年でしたか?」
呆然とした様子で地に膝をついた相手は置いておいて、ルーカスに聞く。
本気で疑問に思ったことだったのだが、ルーカスは小さく笑い出した。
「ふっ……くくっ、おまえが入隊した時点で大当たりだろう。それ以外の兵の質も例年通りだ」
「えぇ……」
「新兵は弱くて当然だ。そこで呆けているのも含めて、ほとんどが子供なのだからな」
それを聞いて納得はできた。私が強くなれたのは師匠のおかげだし、8歳からあの苛酷な修行をするような子供がたくさんいて良いはずがない。
「それで?新兵を1人倒したくらいでは納得できない輩もいるようだが、どうする?」
野次馬の方を見れば、一部の人間を除いて、未だに敵意や嘲りを見せる人が多くいた。
「そうですね……どこまでできるかは分かりませんが、まとめて相手をしてみましょうか」
「何が『どこまでできるかは分かりませんが』だ。自信が無ければそのような言葉は出こないだろう」
口の端を上げて言う私に、ルーカスが呆れ顔で突っ込む。
私はそれを無視して声を張り上げた。
「さて、いまだに納得がいっていない人が多くいらっしゃる様子。一人一人相手をすると日が暮れてしまうでしょう。そこで提案です」
私たちを囲むようにして見ている野次馬をぐるりと見渡す。
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